LM380(5)−反転増幅回路を試す−−

2008年4月9日公開
2008年4月16日改訂

LM380による反転増幅回路

反転&非反転回路

 これまでの実験は、すべて上図の左の回路のような非反転増幅器で行ってきました。

 ご存じの通り、オペアンプを使った増幅回路の基本形として、非反転増幅と反転増幅があります。LM380は、厳密にはオペアンプではないのですが、オペアンプのように反転増幅器として使うことが出来ます。

 上図の右が反転増幅型の回路です。
 オペアンプでは、一般的に、反転型の方が歪みが少ないと言われていますが、LM380ではどうでしょうか?

 実際に回路を作って、測定してみました。
 

測定

歪み率

 両増幅器の歪み率の測定結果を右に示します。ちなみに利得は、反転型で22dB、非反転型で25dBとなりました。

 見ての通りわずかですが、非反転型の方が歪み率が良いという結果になりました。利得からすると、反転型の方が多くNFBがかかっているはずですが、それでも非反転型の方が低歪みというのは、興味深い結果です。

(2008/4/16訂正。横軸が間違っていたのでグラフを差し替えました。)

 

まとめ

 LM380でもオペアンプのように、反転型と非反転型の両方の増幅回路が実現できることが分かりました。
 反転型では帰還抵抗(上の回路図で言えばR1)で入力インピーダンスが決まってしまうので、高い入力インピーダンスが必要な時には帰還抵抗に高抵抗を使わなくてはならず、ノイズの点で不利です。歪み率についても、非反転型の方が低いという結果なので、無理に反転増幅器として使う必要はないと思われます。