オールド98ノートでネットワーク
2001年10月27日執筆
未だ現役、98ノート
当サイトの文章の半分ぐらいは、10年位前に買った98ノート、PC−9801NS/Tを使って書いています。コントラストの高いモノクロ液晶に表示された、大きな98フォントは疲れた目に優しく、またMS−DOS上で使う一太郎は、キーボードのみで全ての操作でき、夜中に寝床で布団の脇に置いて文章を書くのにまったく最適です。何よりもシンプルこの上ない質実剛健な外見は、最近のWindowsのようなド派手なOSと比べて、かえって文章書きに集中する気にさせてくれます。
問題になるのは、書いた文章をWebにまとめるため、文章ファイルをメインの自作DOS/Vマシンに移す時です。今のところ2DDのFDを使って、データ交換を行っていますが、FDなのでファイルの保存や移動など結構時間がかかり、何より面倒です。
MS−DOSでファイル共有
Windowsマシン同士なら、ファイル共有を使ってネットワーク越しにファイルのやりとりが簡単に出来ます。DOSからこの共有ファイルにアクセスすることは出来ないのでしょうか?
MS-DOS、LAN、Microsoftとくれば、Microsoft LAN Managerが思い出されます。雑誌のバックナンバーを漁ったところ、Software Design誌1998年6月号のDOS特集記事に、LAN ManagerでWindowsの共有ファイルにアクセスする記事を見つけました。その記事によると、Windows NT ServerのCD−ROMにPC−9801用の日本語版のLAN Managerが収められていると書いてあります。たまたま持っていたWindows NT ServerのCD−ROMを調べてみると、該当のフォルダーを見つけることが出来ました。これを使えば98ノートとメインDOS/Vマシンのファイル共有が実現できそうです。
また記事中には、LAN Maneger以外にもNetwork Client for DOSやWorkgroup Clientといったソフトでも共有ファイルにアクセスできるあり、これらのソフトウェアがマイクロソフトのFTPサイトから入手できるそうです。ところが、これらはすべてAT互換機用の英語版のソフトウェアなので、PC−9801用のDOSでは使えません。残念。
ちなみ記事によれば、LAN ManagerはOS/2の、Network Client for DOSはWindows NT 3.5の、Workgroup ClientはWindows for WorkgroupのためのDOSクライアントとして、本来位置づけられていたそうです。
98ノートにネットワーク装着
98ノート用のネットワークアダプタは、以前、秋葉原のジャンク屋で¥980で入手したコンテック社のC-NET(9N)Lを使うことにしました。ジャンク品なためドライバー類はもちろん無いのですが、幸いなことにコンテック社のサイトにドライバーが公開されていました。古い製品のドライバーを公開しなかったり削除したりするメーカーもあるようですが、その点この会社にはたいへん好感が持てます。
このアダプターは98ノートの左後ろのコネクターに差し込むようになっています。右の写真がアダプタを装着したところです。ちなみに、うちの98ノートはすでにバッテリがダメになっていて、付けていても重いだけなので、取り外してあります。
LAN Managerのインストール
Windows NT ServerのCD−ROMに6つのフォルダーがディスク別に作ってあるので、それぞれ内容をFDにコピーします。もちろんFDはNS/Tで読むことの出来る1.2MB8セクタフォーマットです。
LAN Managerのインストールですが、CD−ROMのDISK1フォルダーがセットアップのディスクとなります。98ノートのHDDからMS−DOSを起動して、このディスクのSETUP.EXEを起動すればセットアップが始まります。
あとはセットアップソフトの指示通りですが、いくつか注意点を記しておきます。
・ネットワークアダプタが使用する割り込み番号とI/Oアドレスは前もって調べておきます。
MS−DOSにはプラグアンドプレイなど無いので当然必要となる作業です。C-NET(9N)Lの場合、ドライバディスクにアダプタ設定・検査プログラムがあり、これを起動することで必要な情報を得ることが出来ました。
・インストールの最初で基本版と拡張版の選択画面が現れます。
ここでは拡張版の方を選択します。
・途中、何回かディスクの入れ替えを要求されます。
DISK2フォルダーのDOS WORKSTATION、DISK3フォルダーがDOS DRIVERS、DISK4フォルダーがCONNECTIVITY SETUPにそれぞれ相当しています。
・プロトコルの選択画面では、NetBEUIかTCP/TPを選びます。
ここでは、先のSofuware Design誌の記事に従いNetBEUIを選びました。
・コンピュータ名にはネットワーク内で誰も使っていない名前を付ける必要があります。
うち場合はLAN(家庭内LAN)に3台しかつなげていないので、"98NST"という安易な名前にしました。
・ユーザー名にはログイン時に使用するユーザー名を指定します。
NTサーバーの共有ファイルにアクセスする際にはきちんと指定する必要がありますが、Windows95/98の共有ファイルにアクセスする場合は適当な名前でOKです。
・ドメイン名にはNTドメインもしくはワークグループ名を入力します。
Windows側のネットワーク設定に準じて設定します。
・Windows側の準備として、ネットワークにNetBEUIプロトコルを組み込むことと、共有したいフォルダーに共有指定を行います。また、Microsoftネットワーク共有サービスのLMアナウンスを「はい」に設定する必要があります。
LAN Managerを使う
インストールが完了し再起動すれば、LAN Managerが組み込んだDOSが起動します。LAN内にNTドメインコントローラがない(普通の家庭内LANはそうだと思いますが)場合、ドメインがないと途中で警告が出ますが、気にする必要はありません。
"NET VIEW" とコマンドでWindowsマシンの共有資源が表示されます。
たとえば、うちのうちのメインDOS/Vマシン"CELENIA"でフォルダー"Kyoyu"が共有設定してあったとすると、
A:\>NET VIEW \\CELENIA ("CELENIA"はうちのメインDOS/Vマシンの名前)
\\celenia の共有資源
シェア名 種類 使用 注釈
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「
KYOYU DISK
コマンドは正常に終了しました.
と表示されます。
共有フォルダーにアクセスするため、NET USEコマンドで共有フォルダーをドライブとして使えるようにします。たとえば先のKYOYUフォルダーをN:として使うときには
A:\>NET USE N: \\CELENIA\KYOYU
というコマンドを打ちます。このとき、共有フォルダーにパスワードが設定してあった場合は、当然、パスワードが要求されます。
プロトコルとメモリー使用量
めでたく共有フォルダーにアクセスできるようになりましたが、新しい機能を組み込むと気になるのがメモリーの使用量。メモリー使い放題のWindowsからは考えられないですが、DOSの場合640KB(!)しか使えないという厳しい壁が存在します。いわゆるDOSのコンベンショナルメモリーというやつです。コンベンショナルメモリー以外にもEMSやUMBといったものもありますが、何かと制限の多いメモリーで、一般的なDOSソフトはコンベンショナルメモリーを主として使います。したがって、コンベンショナルメモリーを多く消費すると、メモリー不足で動かなくなるDOSソフトが出てくる可能性があり、メモリー消費量は極力抑えたいわけです。
そこで、LAN Managerを組み込む前と後で、利用可能コンベンショナルメモリーを比較してみました。
| 利用可能コンベンショナルメモリー |
組み込み前 | 587.9K |
LAN Manager(NetBEUI設定) | 504.2K |
LAN Manager(TCP/IP設定) | 465.5K |
かなりメモリーを消費しています。特にプロトコルにTCP/IPを使った場合の消費量は甚大で、これでは一太郎の起動もままなりません。対してNetBEUIの時は、500KB以上が利用可能で何とか許せる範囲です。家庭内LANでファイル共有程度ならTCP/IPである必要はないので、NetBEUIプロトコルで使うことにしました。
さいごに
ネットワークとは無縁と思っていた98ノートNS/T。見事にうちのメインマシンと接続することが出来ました。ネットワークドライブを指定すれば、DOS時代には想像も付かなかった、数十ギガバイトものディスク容量を使うことが出来るのです。
ネットワークを装着しより使いやすくなった98ノート。壊れるまで使い倒そうと思っています。
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