コンパクトなDOSマシン PC−9801EX前編
2000年5月18日改訂
2000年3月28日公開

購入のいきさつ

PC-9801EX2
 V30〜80386時代の3.5インチFDDモデルの98は、5インチFDDモデルに比べて一回り小さな筐体におさめられており、そのコンパクトさが一つの特徴でした。
 DOS専用のサブマシンとしては、馬鹿でかい5インチモデルよりコンパクトな3.5インチモデルのほうが使いやすいのではと、つねづね考えていました。そんな矢先、行きつけのジャンク屋さんでタイミング良く98の3.5インチ機を見つけました。それがPC−9801EXでした。
 PC−9801EXは1989年4月に発表された、UXの後継機種にしてRXの3.5インチ版に位置づけられる98。CPUはRXと同じ80286(12MHz)とV30。筐体はRXよりも一回り背が低く、そのため拡張スロット数は1つ少ない3スロット。ただFM音源(26K)が標準装備なため、それを考えれば実質の空きスロット数は5インチ機と同じ。定価34万8千円で、当時の中堅機種です。
 DOS専用機にするとは言っても、いまどき286マシンを購入することに抵抗がなかったわけでもなかったのですが、大きさがちょうど良かったし、いざとなったらPC/AT互換機に改造すればいいやと思って、その場で購入してしまいました。

 家に持ち帰り、さっそく蓋を開けます。前のユーザーはあまりパワーアップを行わなかったようで、数値演算プロセッサもCPUアクセラレータも内蔵拡張メモリーもついていません。ただ、拡張スロットにメルコのEMJ-4000mkIIが入っていました。ハードウェアEMSとして使っていたのでしょう。プロテクトメモリーとして増設しても、286マシンではEMSメモリーとして利用できないのです。
 30分ぐらい内部をしげしげ眺めたあと、ふたを元に戻し、動作チェックを行うことにしました。電源を入れると、ピポという起動音とともにメモリチェックを開始。そして、何事もなくROM-BASICが起動。まったく問題なさそうです。

強力DOSマシンへパワーアップ!

PK-X486S50-L
 さて、動作は問題ないにしても、このままではFDDベースのDOS/BASICマシンです。やはりHDDぐらいは欲しいもの。それにいくらDOS専用とは言っても、286ではさすがにストレスが溜まります。そういうわけで、手持ちの98用周辺機器を使ってパワーアップです。
 まずHDDの装着。せっかくのコンパクトな筐体なので内蔵HDDといきたいところですが、さすがにEX用内蔵HDDの入手は困難です。それに手に入ったとしてもSASI規格の80MB程度の物しかないでしょう。ここは素直に外付けSCSI規格のHDDを使うのが得策です。手元にロジテックのSCSI2−340MBのHDD、SHD−B340と、それに付属していたCバス用SCSI2インターフェイスボード、LHD−310があったので、これを装着しました。
 次にCPUのパワーアップです。これまた手元にあったI・OデータのPK−X486S50−Lを装着します。これはIBM製の486SLC2を用いた4倍速のアクセラレータです。CPUのクロックは50MHz、キャッシュは内蔵16kBです。元々の286CPUと入れかえて装着します。このアクセラレータ、なんといまだにI・Oデータのカタログに記載されており、Webサイトにも載っています(http://www.iodata.co.jp/products/cpu/pkx486s.htm)。定価24,800円。いまどき新品購入する方がそんなにいるのでしょうか?はたまた在庫が大量にあるのでしょうか? ま、なんにしても、ジャンク98愛好家として、現役の286用アクセラレータの存在は頼もしい限りです。
 次はメモリー増設です。これはすでにCバスに刺さっているメルコのEMJ-4000mkIIを使うことにします。CPUが486系になっているので、プロテクトメモリーとして増設します。
 せっかくなのでCD-ROMも付けましょう。今は無きICMのSCSI−4.4倍速CD−ROM、CD-660Sが余っていたので接続しました。

DOS6.2のインストール
 増強が済んだところで、MS−DOSをインストールします。
 MS−DOS6.2の場合、そのままインストールしようとすると、 「CPUが80286以下の機種のためインストールできません」というエラーが出て、 インストールさせてくれませんが、PK−X486S50のマニュアルにあるように、サポートソフトウェアのinit62を使うことで、HDDへインストールすることができます。
PK−X486S50を装着したときに気を付けなければならないのは、DOS標準のXMSドライバーHIMEM.SYSが使えなくなることです。代わりにサポートソフトウェアのPKXMS.SYSを使わなければなりません。また、IBM486SLCの一次キャッシュを有効にするため、キャッシュコントロールユーティリティを組み込む必要があります。これは早い話PK486SQ.COMをconfig.sysの先頭に組み込むだけでOKです。この辺の設定はサポートソフトウェアをインストールすれば自動的に設定してくれます。
なお、仮想EMSドライバーEMM386.EXEはDOS標準のものが使えるようですが、組み込んだあとでPK486SQ.COMによるキャッシュ設定が行えなくなるので、PK486SQ.COMはEMM386.EXEの前に組み込むようにします(config.sysでEMM386.EXEの前にPK486SQ.COMを記述する)。

強化後のスペック
さて、強化EXのスペックをまとめたのが下の表です
 購入時パワーアップ後
CPUi80286-12MHzIBM486SLC2-50MHz(PK-X486S50)
メモリー640KB640KB+4MB(EMJ-4000mkII)
HDD(なし)340MB-SCSI2(SHD-B340)
そのほか(なし)4.4x CD-ROM(CD-660S)
SCSI2インターフェイス(LHD-310)

それでは、どのぐらい速くなったのでしょうか。DOS系のベンチマークプログラムで検証してみます。
機種CPUCPU BENCHNorton SI
PC-9801NS/Ti386SL
(20MHz)
11.42.00
PC-9801EX
+PK-X486S50
IBM486SLC
(50MHz)
45.56.11
PC-486GR
+DX2ODP
i486DX2
(50MHz)
48.37.33
486マシン並みとは言えませんが、ノーマルの386マシンよりはずっと良いようです。


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