ここ最近のSSD(Solid State Drive)の進歩はめまぐるしく、あっという間に、結構な容量の製品が簡単に、しかも手頃な価格で手に入れられるようになってきました。またメモリーカードをSSD化する変換ボード類も各種販売されており、余ったSDやCFメモリーをSSDとして使うことも可能です。容量もギガバイト級が一般的で、メガバイト級のメモリーはすでに過去のものになりつつあります。
一方、このサイトのコンテンツであるPC−9801ですが、すでにハードオフなどでも見ることもなくなり、完全に過去のマシンと化しています。このため故障すると交換部品の入手が大変です。一応PC−9801を扱っている店もあるにはありますが、ジャンク98から部品取りするのとは違い、それなりに出費が必要です(とは言うものの、98全盛時代の純正パーツはとかく高価だったので、それと比較すれば、現在市販されているパーツの価格はリーズナブルだと思います)。
パソコンで故障しやすい部分は何と言ってもHDDです。98用のHDDは、すでに製造後十年以上経過したものもあり、いつ故障してもおかしくはありません。98用HDDは、特に古い機種では本体以上に入手困難です。VXやRA、DAといった時代のHDDは数十MB程度の容量が一般的だったので、現在市販されているHDDを使うことは不可能です。
もう諦めるしかないのかと思っていたところ、現在ほとんど叩き売り状態にある、MB級のメモリーカードをSSDとすれば、98に使えるのではないかと言うことに気が付きました。可動部分の無いSSDですので、古い98用HDDよりはるかに信頼性が高く、安心して使うことが出来ます。また書き換え回数に制限があるのがSSDの欠点ですが、MS−DOSで使う場合、Windowsのような頻繁なディスクアクセスは無く、またそのアクセスも読み込みが主体なので、寿命の点ではるかに有利です。
考えれば考えるほどSSDを使う利点が多いことから、98HDDのSSD化にトライしてみました。
今回SSD化するターゲットは、PC−9801RX2です。友人が持っていたものを譲り受けました。購入時、友人はまだパソコン未経験者で、私もショップに同行して一緒に機種選定したという、思い出深いマシンでもあります(もう20年も前の話です)。
この時代の98用HDD規格はIDEではなく、SASIかSCSIでした。増設する方法としては、内部の専用スロットに専用HDDを増設するか、拡張スロットにインターフェイスボートを挿して外付けHDDを接続するかの選択となります。いずれにしてもIDEやS−ATA規格のSSDは、そのままでは接続できません。
そんな状況で朗報だったのが、右の写真にあるアイ・オー・データ社のIDE−98です。製品名でも分かるように、98拡張スロットに挿入することでIDE−HDDが使えるようになるというものです(ただし8.4GBのHDDまでしか対応していないため、最近の数百GBのHDDは使えません)。ただRA2はIDE−98の対応機種には入っていません。果たして使えるでしょうか?。
SSDとして、CFカードをSSD化するKRHK−CDIFE(玄人志向)という製品を使いました。これにホームセンターのワゴンセールで格安で入手したCFメモリーカード(ハギワラ製)を取り付け、256MBのSSDとしました。
IDE−98を拡張スロットに挿入し、SSDを取り付けます。KRHK−CDIFEのIDEコネクタは雌ですので、写真の通りIDE−98のIDEコネクタ(オス)に直接挿すことが出来ます。
電源を入れると、いつものピポ音が鳴りメモリーカウントが始まり、写真のようなIDE−98のBIOSが起動します。これはうまくいくかな・・・と一瞬思いましたが、この直後、残念ながらハングアップしてしまいました。
もともと対応機種ではないので諦めるところでしたが、対応機種を見ていると全て486以上の機種であることに気づきました。もしかしたら486互換CPUにアップグレードすれば、問題を回避できるかもしれません。
そこで手元にあったCx486SLC搭載のCPUアクセラレータを取り付けました。ジャンクの98から引っこ抜いたもので、基板の印刷からバッファロー社のアクセラレータのようです。HSP-16V-Bという印刷もあったのですが該当する製品名が無かったので、元々どういう型番の製品なのかは不明です。搭載CPUが25MHzであることや該当するバッファロー製品の概要から、独立25MHzの倍速アクセラレータだと思われます。
さっそく写真のように取り付けて再び電源を投入したところ、今度はハングアップすることなく、無事にFDDからMS−DOSが起動しました。
後は順調です。まずSSDのフォーマットとMS−DOSのインストール。
MS−DOSのバージョンはあえて3.3Dとしました。このバージョンでは1パーティションが128MBまでしか取れませんが、MS−DOSで活用するので、そんなに容量は必要ありません。
MS−DOSをフロッピーから起動し、メニューにしたがってフォーマット(領域確保)とインストールを行います。控えめに96MBほど確保しました。
MS−DOSをインストールした後、再起動してSSDからMS−DOSを起動します。その後、CPUのキャッシュコントロールユーティリティやIOバンクメモリードライバーの導入を行い、config.sysとautoexec.batを編集して、環境を作成します。今となっては懐かしさを感じさせる作業です。
動作確認のために、一太郎Ver.3をインストールしてみました。写真の通り、問題なく動作しました。
実はインストールには結構苦労しました。というのは一太郎Ver.3で使われているATOK6にはいささか問題があって、辞書ファイル(ATOK.DIC)はFAT12のドライブに置く必要があるのです。つまり、辞書ファイルをHDD(SSD)に置く場合、そのディスク容量は20MB以下でなければならないということです。
このことを知らなかったため、最初はATOK6が正常に動作せず、ずいぶん頭をひねりました。最終的にWebであちこち検索しているうちにこの問題に気づき、新たにSSD上に10MBの容量を確保してBドライブとし、そこに辞書ファイルを置くことで解決しました。20年近く前のノウハウなので、すっかり忘れていました。
今から見るとほとんどテキストエディタのような外観ですが、当時のベストセラーパソコンワープロとして一世を風靡し、ジャストシステム躍進の礎となったソフトです。遊びでちょっと使ってみましたが、文書作成に徹するにはこのぐらいシンプルな方が良いようにも感じられました。
単なるノスタルジーかもしれませんが・・・
インストール中はSSDを直接IDE−98に挿していましたが、これでは上蓋が閉められません。そこで、IDE延長ケーブルを使ってSSDを寝かせて設置することにしました。延長ケーブルでSSD基板を簀巻きして、基板を絶縁できてなかなかいい感じです。
大昔のPC98ですが、見事にSSD化が実現しました。これでHDDの故障に怯えることなく、今後も使い倒すことが出来そうです。