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三十糎艦船連合呉支部

三十糎艦船連合呉支部

呉の数少ない名物である「肉じゃが」の調理法を紹介する。 一応、「海軍厨業管理教科書」の「甘煮」のレシピに基づいているが、調理の際は自己責任において実施していただきたい。

尚、分量は約1000人分である。

それでは、以下を参照して肉じゃがの調理に挑戦していただきたい。

零.準備

準備1

30,000kcalのガスバーナを備えた鍋。 クレーン付きの2トン車でなければ運べないらしい。

準備2

馬鈴薯100kg。

準備3

玉葱30kg。

準備4

生牛肉30kg、白滝15kg。 醤油、砂糖大量。

一.油入れ送気

油入れ送気

30,000kcalの火力を誇るガスバーナに点火、鍋を十分熱して油を入れる。

二.3分後、生牛肉入れ

生牛肉入れ1

生牛肉入れ2

7

三.7分後、砂糖入れ

砂糖入れ

このあたりの手順は「すき焼き」に似ている。

四.10分後、醤油入れ

醤油入れ1

醤油入れ2

7

五.14分後、蒟蒻および馬鈴薯入れ

馬鈴薯入れ1

馬鈴薯入れ2

馬鈴薯入れ3

馬鈴薯入れ4

六.31分後、玉葱入れ

玉葱入れ1

玉葱入れ2

七.34分後、終了

終了1

終了2

終了3

終了4

終了5

以上、2006年4月29日の「呉みなとまつり」での「くれ肉じゃがの会」の皆さんの奮闘でした。

ちょっとした考察

肉じゃがのルーツは、かつて東郷平八郎がイギリス留学中に食べた「ビーフシチュー」を艦上食として作るように命じ、調理員が当時貴重だった赤ワインのかわりに醤油を代用した結果、肉じゃがの原型である「甘煮」が生まれたという説がある(1)。 また、舞鶴鎮守府の初代長官として舞鶴に赴任した東郷平八郎が、ビーフシチューを料理長に命じて作らせたが、当時の舞鶴にはワインやバターなどの調味料がなく、料理長は、醤油、砂糖、胡麻油で味付けをして作ったという説もある。(2)

ワインやバターなどがビーフシチューに必要とされているが、戦前の海軍主計兵調理術教科書のビーフシチューのレシピではワインやバターは使用しない。 あるのはヘット(牛脂)を小麦粉と炒めて、スープとトマトソースを加えてドミグラスソースにするという記述である(3)。 このため、ワインやバターなどがないので代用品を使った結果、現在の肉じゃがのルーツになったという説には疑問が残る。

そこで、肉じゃがに近いイギリス料理を調べるとアイリッシュシチューが該当する。 帝国ホテルの料理長であった村上信夫氏によると、アイリッシュシチューはアイルランドの農家で昔から食べられていた料理で、畑仕事に出かける前に材料を仕こんで、鍋を暖炉にかけておき、仕事を終えて帰ってくる時刻に、ちょうど煮あがっているような料理であった。 材料は羊肉、じゃがいも、玉ねぎ、塩、胡椒で、このシチューは塩、胡椒以外の調味料を入れない料理であった。(4) このアイリッシュシチューの肉を、牛肉や豚肉に変え、醤油を入れ甘みをつければ肉じゃがになりそうである。 このことから、管理人は肉じゃがのルーツはアイリッシュシチューではないかと、類推する。

参考資料

  1. 呉の肉じゃが 広島県 | うちの郷土料理:農林水産省.https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/42_20_hiroshima.html.2025年10月10日確認
  2. まいづる肉じゃがまつり実行委員会.http://www.nikujyaga.info/.2025年10月10日確認
  3. 高橋孟.海の男の艦隊料理 : 「海軍主計兵調理術教科書」復刻.東京,ノーベル書房,1983,p178
  4. 村上信夫.村上信夫の西洋料理 −本場の味をだす秘訣−.東京,経済界,1982,p65-66
せ65-67