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三十糎艦船連合呉支部

三十糎艦船連合呉支部

1982年(昭和57年)11月14日建立。 合祀者55柱。(1)

軍艦衣笠慰霊碑

碑文

軍艦衣笠慰霊碑

軍艦衣笠について

衣笠
一等巡洋艦「衣笠」1940年

「衣笠」は古鷹型巡洋艦に改正を加えた青葉型巡洋艦の2番艦である。 古鷹型巡洋艦は、1920年(大正9年)の八八艦隊計画で要求された8,000トン型巡洋艦の発展型である。 古鷹型巡洋艦は、従来の5.500トン型巡洋艦(球磨型、長良型、川内型:14cm砲7門、35〜36ノット)が、アメリカのオマハ級巡洋艦(15.2cm砲12門、34ノット)やイギリスの改バーミンガム級巡洋艦(19cm砲7門、30ノット)に対して非力であるため、これらに対抗するものとして、20cm砲単装砲6門、35ノットの計画としたものである。 青葉型巡洋艦は、古鷹型巡洋艦の20cm砲単装砲6基6門(一部人力給弾)を連装砲3基6門(機力給弾)としたもので、主砲発射速度の向上を狙ったものであった。

「衣笠」は、1938年(昭和13年)10月15日〜1940年(昭和15年)10月30日にかけて佐世保工廠で改装された。 改装の内容は、主砲を20.3cm砲に換装、魚雷発射管の換装と九三式魚雷(酸素魚雷)の塔載、缶の重油専焼化などが実施された。 衣笠はこの状態で開戦を迎え、1942年(昭和17年)11月14日の第三次ソロモン海戦で被爆沈没した。(2)

艦名

艦名は山岳名。 衣笠山は神奈川県横須賀市にある標高134.2mの山。 衣笠山にある衣笠山公園は桜の名所としてサクラ日本100選に選ばれている。 この桜は、1907年(明治40年)に、日露戦争の戦死者を慰霊するために記念碑を建て、桜が植えられたものである。(3)(4)(5)

要目(6)(7)(8)(9)

完成時1940年改装後
艦種一等巡洋艦
建造所三菱造船長崎造船所
基準排水量 ※18,300トン9,000トン
公試排水量 ※29,854トン10,822トン
垂線間長176.78m
水線長182.58m
最大幅15.83m17.56m
喫水5.71m5.66m
主缶ロ号艦本式水管缶(重油専焼)10基
ロ号艦本式水管缶(石炭・重油混焼)2基
ロ号艦本式水管缶(重油専焼)12基
主機ブラウン・カーチス式オール・ギヤード・タービン4基
推進軸4軸
出力104,000馬力104,200馬力
速力34.5ノット33.43ノット(公試)
燃料重油:1,400トン 石炭:400トン重油:2,040
航続力14ノットで7,000浬14ノットで8,223浬
装甲水線76mm、甲板36mm
兵装50口径三年式20cm連装砲3基
45口径十年式12cm単装高角砲4基
留式7.7mm機銃2基
九三式13mm連装機銃2基
61cm一二式連装発射管6基(固定式)
八年式魚雷24本
50口径三年式二号20cm連装砲3基
45口径十年式12cm単装高角砲4基
九六式25mm連装機銃4基
九三式13mm連装機銃2基
61cm九二式4連装発射管2基
九三年式魚雷16本
射出機呉式二号五型1基
航空機水上偵察機2機(定数)
乗員643名657名
その他

※1:英トン(1.016メートルトン)、※2:メートルトン

艦歴(10)

年月日履歴
1924年(大正13年)2月2日三菱造船長崎造船所において起工。
1926年(大正15年)10月24日進水。
1927年(昭和2年)9月30日竣工。 佐世保鎮守府籍に編入。
1927年(昭和2年)12月1日第二艦隊第五戦隊に編入。
1928年(昭和3年)3月29日有明湾発。 青島方面行動。
1928年(昭和3年)4月9日旅順着。
1929年(昭和4年)3月28日呉発。 芝罘方面行動。
1929年(昭和4年)4月3日旅順着。
1930年(昭和5年)5月17日古仁屋発。 南洋方面行動。
1930年(昭和5年)9月19日横須賀着。
1932年(昭和7年)12月1日第二艦隊第五戦隊に編入。
1933年(昭和8年)5月20日第二艦隊第六戦隊に編入。
1933年(昭和8年)6月29日佐世保発。 中支方面行動。
1933年(昭和8年)7月5日馬公着。
1933年(昭和8年)7月13日高雄発。 南洋方面行動。
1933年(昭和8年)8月21日木更津沖着。
1933年(昭和8年)10月15日佐世保工廠で二キロ信号灯装備工事。 18日完了。
1934年(昭和9年)9月27日旅順発。 青島方面行動。
1934年(昭和9年)10月5日佐世保着。
1934年(昭和9年)11月15日佐世保鎮守府籍から呉鎮守府籍へ転籍。
1935年(昭和10年)3月29日油谷湾発。 中支方面行動。
1935年(昭和10年)4月4日佐世保着。
1935年(昭和10年)11月15日第二艦隊第七戦隊に編入。
1936年(昭和11年)4月13日福岡湾発。 青島方面行動。
1936年(昭和11年)4月22日佐世保着。
1936年(昭和11年)8月4日馬公発。 厦門方面行動。
1936年(昭和11年)8月6日高雄着。
1936年(昭和11年)12月1日予備艦となる。
1937年(昭和12年)8月15日警備艦となる。
1937年(昭和13年)10月15日〜1940年(昭和15年)10月30日佐世保工廠で改装。
1941年(昭和16年)3月1日第一艦隊第六戦隊に編入。
1941年(昭和16年)9月13日呉工廠に入渠。
1941年(昭和16年)9月18日呉工廠を出渠。
1941年(昭和16年)10月7日呉発。 室積沖に回航。
1941年(昭和16年)10月21日佐伯に回航。
1941年(昭和16年)11月13日柱島に回航。
1941年(昭和16年)11月30日母島に向け、柱島発。
1941年(昭和16年)12月2日母島着。
1941年(昭和16年)12月4日グアム島攻略作戦のため母島発。
1941年(昭和16年)12月10日グアム島攻略作戦の支援を解かれる。
1941年(昭和16年)12月12日トラック着。
1941年(昭和16年)12月13日トラック発。
1941年(昭和16年)12月16日ルオット着。
1941年(昭和16年)12月21日ルオット発。 ウェーキ島攻略作戦支援。
1941年(昭和16年)12月25日ルオット着。
1942年(昭和17年)1月5日ルオット発。 ロンゴラップ南西方に出撃し、アメリカ機動部隊にそなえ迎撃配備につく。
1942年(昭和17年)1月6日ルオット着。
1942年(昭和17年)1月7日ルオット発。
1942年(昭和17年)1月10日トラック着。
1942年(昭和17年)1月18日トラック発。 ラバウル攻略作戦支援。
1942年(昭和17年)1月20日ラバウル上陸作戦成功。
1942年(昭和17年)1月30日ラバウル発。
1942年(昭和17年)2月1日イサベル泊地発。 クェゼリンに向かう
1942年(昭和17年)2月4日ルオット着。 警戒待機。
1942年(昭和17年)2月5日クェゼリンに回航。
1942年(昭和17年)2月6日クェゼリン発。
1942年(昭和17年)2月10日トラック着。
1942年(昭和17年)2月20日トラック発。 ソロモン北方で迎撃配備につく。
1942年(昭和17年)2月23日トラック着。
1942年(昭和17年)3月2日トラック発。
1942年(昭和17年)3月4日ラバウル着。
1942年(昭和17年)3月5日ラエ、サラモア攻略部隊支援部隊として、ラバウル発。
1942年(昭和17年)3月9日ブカ島クインカロラ着。
1942年(昭和17年)3月10日陸戦隊揚陸。 クインカロラ発。
1942年(昭和17年)3月11日ラバウル着。
1942年(昭和17年)3月14日ラバウル発。
1942年(昭和17年)3月15日クインカロラ着。
1942年(昭和17年)3月17日クインカロラ発。
1942年(昭和17年)3月18日メウエパセージ着。
1942年(昭和17年)3月25日メウエパセージ発。
1942年(昭和17年)3月26日ラバウル着。
1942年(昭和17年)3月28日ラバウル発。 ブーゲンビル島攻略作戦参加。
1942年(昭和17年)3月30日ショートランド敵前上陸成功。
1942年(昭和17年)3月31日キエタ攻略。
1942年(昭和17年)4月1日ラバウル着。 同日、ラバウル発。
1942年(昭和17年)4月2日メウエパセージ着。
1942年(昭和17年)4月7日メウエパセージ発。 アドミラルティ攻略作戦支援。
1942年(昭和17年)4月10日作戦支援終了。 トラック着。
1942年(昭和17年)4月26日ラバウル東方海面に敵機動部隊出現の報により、トラック発。
1942年(昭和17年)4月27日誤認により反転帰投。
1942年(昭和17年)4月30日モレスビー攻略主隊として、トラック発。
1942年(昭和17年)5月3日ツラギ攻略。 クインカロラ着。
1942年(昭和17年)5月4日ツラギ方面に来襲する機動部隊にそなえ、クインカロラ発。
1942年(昭和17年)5月5日ショートランド着。
1942年(昭和17年)5月6日ショートランド発。 モレスビー攻略部隊支援に向かう。
1942年(昭和17年)5月6日珊瑚海海戦に参加。 航空母艦祥鳳を援護。
1942年(昭和17年)5月8日機動部隊と合同。
1942年(昭和17年)5月12日キエタ入泊。
1942年(昭和17年)5月13日ショートランドへ回航。
1942年(昭和17年)5月14日補給後キエタに帰投。 対潜哨戒に従事。
1942年(昭和17年)5月15日作戦支援のためツラギに向けキエタ発。
1942年(昭和17年)5月17日作戦支援をやめ反転、トラック着。
1942年(昭和17年)5月31日トラック発。
1942年(昭和17年)6月5日呉着。
1942年(昭和17年)6月10日呉工廠に入渠。
1942年(昭和17年)6月15日呉工廠を出渠。
1942年(昭和17年)6月29日長浜沖発。
1942年(昭和17年)7月4日トラック着。
1942年(昭和17年)7月7日トラック発。
1942年(昭和17年)7月9日キエタ着。 補給。
1942年(昭和17年)7月10日レカタへ回航。
1942年(昭和17年)7月14日レカタ発。
1942年(昭和17年)7月16日メウエパセージ着。
1942年(昭和17年)7月18日メウエパセージ発。
1942年(昭和17年)7月19日カビエン着。
1942年(昭和17年)7月22日ラバウル着。 補給。
1942年(昭和17年)7月23日メウエパセージに錨地を変更。
1942年(昭和17年)7月24日イサベルへ回航。
1942年(昭和17年)7月26日メウエパセージへ回航。
1942年(昭和17年)8月7日ツラギにアメリカ機動部隊来襲。 メウエパセージ発。
1942年(昭和17年)8月7日第一次ソロモン海戦に参加。 他艦と共同して重巡洋艦4隻撃沈。
1942年(昭和17年)8月10日メウエパセージ入泊。 警戒停泊。
1942年(昭和17年)8月17日メウエパセージ発。
1942年(昭和17年)8月19日レカタ入泊。
1942年(昭和17年)8月20日レカタ発。
1942年(昭和17年)8月23日ショートランド着。 同日、ショートランド発。
1942年(昭和17年)8月24日第二次ソロモン海戦に参加。
1942年(昭和17年)8月26日ラバウル着。
1942年(昭和17年)8月27日ラバウル発。
1942年(昭和17年)8月28日ショートランド着。
1942年(昭和17年)8月29日ショートランド発。
1942年(昭和17年)8月30日ショートランド着。
1942年(昭和17年)8月31日ショートランド発。
1942年(昭和17年)9月1日キエタ着。
1942年(昭和17年)9月15日ショートランドへ回航。
1942年(昭和17年)9月18日ショートランド発。 ガダルカナル島入泊荷役中の敵増援部隊攻撃に向かうが、敵退却の報により反転。
1942年(昭和17年)9月19日ショートランド着。 27日まで昼間ブイン沖で漂泊警戒、
1942年(昭和17年)9月19日ラバウル着。 弾薬、糧食、燃料搭載。
1942年(昭和17年)9月30日ラバウル発。
1942年(昭和17年)10月1日ショートランド着。
1942年(昭和17年)10月11日ガダルカナル島砲撃のためショートランド発。 サボ島沖海戦に参加。
1942年(昭和17年)10月12日ショートランド着。
1942年(昭和17年)10月13日ショートランド発。
1942年(昭和17年)10月14日ガダルカナル島飛行場砲撃。
1942年(昭和17年)10月15日ショートランド着。
1942年(昭和17年)10月24日陸軍部隊のガダルカナル島攻撃支援のため出撃。
1942年(昭和17年)10月26日ショートランド着。
1942年(昭和17年)11月1日ガダルカナル島増援部隊支援のため、ショートランド発。
1942年(昭和17年)11月5日ショートランド着。
1942年(昭和17年)11月10日第八艦隊に編入。
1942年(昭和17年)11月13日ガダルカナル島上陸部隊間接支援のため、ショートランド発。
1942年(昭和17年)11月14日第三次ソロモン海戦で被爆沈没
1942年(昭和17年)12月15日除籍。

参考資料

  1. 梶本光義(編集責任者).呉海軍墓地誌海ゆかば:合祀碑と英霊.呉海軍墓地顕彰保存会,2005,p42
  2. 雑誌「丸」編集部編.日本海軍艦艇写真集:ハンディ判 11巻 重巡古鷹・加古・青葉・衣笠.東京,光人社,1997,p78-84
  3. 片桐大自.聯合艦隊軍艦銘銘伝.東京,光人社,2003,p87-88.(ISBN4-7698-1151-9 )
  4. 軍艦衣笠艦名起原に関する件.アジア歴史資料センター,リファレンスコード:C04015649300.公文備考 艦船11 巻40,(防衛省防衛研究所)
  5. 衣笠山公園|横須賀市.http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/4130/sisetu/fc00000432.html
  6. 日本巡洋艦史.東京,海人社,1991,p68,190-191,世界の艦船.No.441 1991/9増刊号 増刊第32集
  7. 福井静夫.(写真)日本海軍全艦艇史資料篇.東京,ベストセラーズ,1994,p40
  8. 前掲.日本海軍艦艇写真集:ハンディ判 11巻 重巡古鷹・加古・青葉・衣笠.p78-84
  9. 福井静夫.海軍艦艇史(2)巡洋艦・コルベット・スループ.東京,ベストセラーズ,1980,p457-459
  10. 前掲.日本海軍艦艇写真集:ハンディ判 11巻 重巡古鷹・加古・青葉・衣笠.p105

謝辞

アイコンはsinn様の「アイコン工房」より、ご提供頂いた。