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三十糎艦船連合呉支部

三十糎艦船連合呉支部

1986年(昭和61年)10月19日建立。 合祀者95柱。(1)

第百十三號輸送艦慰霊碑

碑文

第百十三號輸送艦慰霊碑

第百十三號輸送艦について

二等輸送艦
二等輸送艦

「第百十三號」輸送艦は第百一号型輸送艦(二等輸送艦)の1艦である。

海洋に囲まれた日本は、外征ま場合には陸上兵力の洋上輸送が必要であり、このため日本陸軍は戦前より、大発動艇(上陸用舟艇)や神州丸(揚陸艦)のような上陸作戦支援艦艇を整備していた。 日本海軍においても、旧式駆逐艦を転用した哨戒艇の艦尾にスリップ・ウェイを設けて、大発を発進させる機能を持たせ、緒戦の島嶼攻略戦に使用した、 1942年(昭和17年)8月に始まったガダルカナル戦では敵制空権下での兵員物資輸送が実施された。 これは、夜間に駆逐艦などの高速艦艇で突入し、夜明けまでに敵制空権外に脱出する任務であり、多くの駆逐艦を喪失することとなった。 このような背景から、高速大量輸送ができる輸送専門の艦艇が要求され、1943年(昭和18年)中期ごろに軍令部より2種の輸送艦の計画要求があり、これにより出現したのが第一号型輸送艦(一等輸送艦)および第百一号型輸送艦(二等輸送艦)である。

第百一号型輸送艦は「戦車輸送」の要求を受けて計画されたもので、海岸へ直接接岸して戦車などを揚陸する機能を持った艦である。 海軍ではこれをSB艇と称し、Sは戦車、Bは海軍の意味(当時の徴用船はAが陸軍、Bが海軍)であった。 設計にあたっては、戦時急造に適するように簡易化につとめ、兵装や艤装も最低限にとどめられた。 また、船体線図は曲線を用いず、船体3個のブロックに分けて建造する方式により、建造期間を3ヶ月に短縮することができた。 計画に当っては、適当な機関が無かったため、中速ディーゼル3基3軸としたSB(D)艇を6隻建造し、その後は艦本式タービン1基1軸としたSB(T)艇の建造に切り換えた。 尚、タービン推進艦を第百三号型輸送艦として区別する場合がある。

本型は、船体前半部を搭載用船倉とし、艦首前面に門扉と揚陸用道板を兼ねたランプが設けられている。 搭載能力はSB(T)艇で220トン(九七式戦車9両、人員120名、貨物22トン)、機関区画が短いSB(D)艇では250トン(九七式戦車9両、人員320名、貨物26トン)であった。 兵装は8cm単装高角砲1門、25mm3連装機銃2基を搭載、機銃は後に増備された。

103隻が計画され、69隻が完成。 完成艦のうち20席が陸軍にSB艇として引き渡された(後に6隻が海軍に返還)。 海軍所属艦のうち40隻が戦没した。 竣工後に充分な訓練が行われないまま南方方面の輸送作戦に投入され、その多くが極めて短期間に失なわれた。 「第百十三号」輸送艦は竣工後41日で沈没したが、短いものでは31日(「第百三十号」、「第百三十三号」)というものがある。(2)(3)

要目(3)(4)

新造時
艦種二等輸送艦
建造所大阪造船
基準排水量 ※1870トン
公試排水量 ※21,020トン
垂線間長72.00m
水線長75.00m
水線最大幅9.10m
喫水2.94m
主機艦本式甲25型オール・ギヤード・タービン1基、1軸
主缶ホ号艦本式水管缶(重油専焼)2基
出力2,500馬力
速力16.0ノット
燃料重油:208トン
航続力16ノットで1,000浬、14ノットで1,700浬
乗員100名
能力搭載能力:220トン(九七式戦車9両、人員120名、貨物22トン)
兵装40口径三年式8cm単装高角砲1基
九六式25mm3連装機銃2基
その他

※1:英トン(1.016メートルトン)、※2:メートルトン

艦歴(3)(5)(6)

年月日履歴
1944年(昭和19年)7月13日大阪造船において起工。
1944年(昭和19年)8月8日進水。
1944年(昭和19年)10月15日竣工。 連合艦隊第一輸送戦隊所属。
1944年(昭和19年)11月14日佐世保発。 陸軍自走砲および物件輸送任務のためマニラに向う。
1944年(昭和19年)11月16日基隆着。
1944年(昭和19年)11月17日基隆発。
1944年(昭和19年)11月18日高雄着。
1944年(昭和19年)11月22日高雄発。
1944年(昭和19年)11月24日サンタクルーズ湾着。 仮泊。
1944年(昭和19年)11月25日サンタクルーズ湾発。 マニラに向う途中、ルソン島ダソル湾外でアメリカ空母機の攻撃を受け沈没。
1945年(昭和20年)1月10日除籍。

参考資料

  1. 梶本光義(編集責任者).呉海軍墓地誌海ゆかば:合祀碑と英霊.呉海軍墓地顕彰保存会,2005,p127
  2. 雑誌「丸」編集部編.写真日本の軍艦 13巻 小艦艇.東京,光人社,1990,p250-251
  3. abc日本海軍特務艦船史.東京,海人社,1997,世界の艦船.No522 1997/3増刊号 増刊第47集,p107-109
  4. 福井静夫.(写真)日本海軍全艦艇史資料篇.東京,ベストセラーズ,1994,p54
  5. 第百六十一號輸送艦 戦時日誌.アジア歴史資料センター,リファレンスコード:C08030604600(第26〜33画像目).昭和19年8月19日〜昭和20年5月11日 第157号輸送艦戦時日誌戦闘詳報(3),(防衛省防衛研究所)
  6. 昭和19年11月25日 第百六十一號輸送艦 戦闘詳報(第壱號).アジア歴史資料センター,リファレンスコード:C08030604600(第34〜37画像目).昭和19年8月19日〜昭和20年5月11日 第157号輸送艦戦時日誌戦闘詳報(3),(防衛省防衛研究所)

謝辞

アイコンはsinn様の「アイコン工房」より、ご提供頂いた。