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床組み

 古民家は太い柱や梁を互いに堅固に組み上げた、全体としては家が大きな鳥籠のような構造をしており、部屋と部屋の間に壁はありません。   地震の揺れに対して、 木と木とが多少めりこみあいながら建物全体が一緒に揺れることにより、地震の力を「柔らかく」受け流し建物全体で揺れを吸収する、というのが古民家構造で 「柔構造」ともいえます。

 ここでは、そのうち「床組(ゆかぐみ)」部分のリフォーム工事をやっていきます。  「床組(ゆかぐみ)」とは、木造建築物において、床面を支えるための骨組のことを指し、以下の4種類があります。

▼「床組(ゆかぐみ)」▼

 現行の建築工法は、筋交いや構造用合板を入れた壁を設け、金物で軸組を接合することで、「強固に、ガッチリ」組上げることで地震の揺れに耐える「剛構造」で建てられます。      それに影響され、古民家においても、地震対策だからといって、現代の家に施す耐震補強の「固い」やり方を、そのまま古民家に単純に取り入れてしまうケースが見受けられます。

 しかし、その方法では地震の時にその部分に応力が集中し、結果的に周辺部材を破壊してしまう恐れがあります。   せっかく「柔構造」でバランスを保っていた古民家が、よくない影響を受けてしまうわけです。


古民家の床組み・【束立て床】

 建物の自重や風等の力を基礎に伝達し支える古民家の骨組み・「床組」は、鎹(かすがい)で留めた床束を介して束石に乗っているだけ、という構造となっています。  つまり、 「床組」と地面は留め具などで結合されていないわけです。   それに対し、現代建築では土台はボルトで基礎にガッチリ緊結されています。

    束立て床 古民家の床組み構造は図のように部材が縦横に配置され、1階部分の床を支えています。

大引きの両端は土台が支えていますが、大引きは地面と直接繋がっておらず宙ぶらりの状態で、そこを床束と呼ばれる部材を用いて地面から支えています。

古民家の1階部分の床に掛かる荷重は、「土台・床束・大引・根太」から構成される「束立て床」で受けているわけです。

大引きは土台より若干細い部材で、また1階床でも、束などで基礎と支持されていない、長さ1間(1.8m)以上の大引きは、梁となります。

 


「束立て床」は日本の気候に適した仕組み

 束立て床とは、日本の伝統的な木造建築で広く用いられている床の構造で、床を地面から浮かせることで、床下に空気の流れを生み出し、 床下の湿気を効果的に逃がす構造となっています。

 さらに、床下に空間ができるため、配管や配線を容易に敷設でき、メンテナンスや改修工事をしやすいというメリットもあり、日本の高温多湿な気候に対応した優れた仕組みとなっています。    そのためには床下の通気口は絶対に塞がないことが重要です。

 「束立て床」の基本的な構造としては、地面に「束石」と呼ばれる、建物の荷重を地面に伝える役割を担う礎石を等間隔に配置し、その「束石」の上に木材の束を立て、 その上に「大引き」と呼ばれる横木を渡します。    「大引き」は床の荷重を支え、床の高さを調整する役割も担っており、水平性を保つ主要な構造材です。

 大引きの上に、直交するように並べられるのが、「根太」と呼ばれる部材です。  「根太」の上には構造用合板が張られ、 その上に「床板(フローリング)」が貼られます。 「根太」は床板のたわみを防ぎ、安定した歩行面を作る役割があります。

 一方、床下の通気がいいということは、地面の冷気が室内に伝わり、冬場は床板が冷えてしまいます。  そこで、「根太」材の間に断熱材が入れるのが一般的で、 寒冷地では床暖房を設置することもあります。  また、湿気があるとシロアリ被害を受けるので、定期的な防蟻・防虫処理が必要です。(2025.10.20)

 

シロアリ対策は重要

 土台の防腐剤塗布は、建築基準法では地面から1m以内の土台は必須とされるが、木材の含水量が15%くらいを保持し、床下が換気され湿度が安定した状態ならば、クレオトップ(クレオソート)、 九三七一などの防腐剤塗布は必要でなくなる。

 しかし、なかなかそのような環境の木造日本家屋家は少なく、建物の寿命をのばすには永続性のあるシロアリ対策が非常に重要。  日本の家屋に被害を及ぼしている 「地下シロアリ」に分類される「イエシロアリ」や「ヤマトシロアリ」は水分を好み、 地盤面に近いところから食害してくるが、定期的に床下を点検して蟻道がなければ、シロアリ被害が発生していないことをある程度判断することが可能。

 そのため、「長期優良住宅」の認定基準の一つの「劣化対策等級3」に定められているシロアリ対策(防蟻)の認定基準のうち 「薬剤処理」は「地面から1m」まででもよいとされている。  現在主流となっている合成殺虫剤系の防蟻処理は、5年程度で防蟻効果がなくなるとされるが、 駆除作業は床下のみでよかったので対応が出来ていた。

 しかし、近年では従来の「地下シロアリ」とはまったく生態が異なる、外来種の「アメリカカンザイシロアリ」による被害拡大が懸念されており、被害は岩手県あたりまで拡大している。    このシロアリは輸入家具から発生するとみられるが、厄介なのは水分をあまり必要とせず、蟻道をつくらないので発見が難しいこと。

 また「地下シロアリ」はヒノキをあまり好まないが、外来種はヒノキが大好物。  駆除方法も面倒で手間も金もかかるが、簡単な外来種シロアリ対策としては「地面から1m以内の外壁の軸組等」だけではなく、 人体に無害のホウ酸処理を主要構造部も含めて、床下だけではなく屋根裏まですべての箇所にほどこす。

 すでに建っている住宅の場合は、細かいホウ酸の粉を床下や小屋裏に噴霧する「ダスティング処理」もある。   シロアリは巣に帰ってから自分や仲間でお互いに足を舐め合ってきれいにする習性があるので、シロアリが床下や小屋裏のホウ酸の上を歩くと、 シロアリの足に粉が付くので、ホウ酸が体内に入って死んでしまう。  さらに、死んだ仲間を食べる習性もあるため、ホウ酸入りの死骸を口に入れたシロアリもまた死んでしまう。(2025.10.20)

 

古民家の床組み・基礎部分

        
古民家の床組み・基礎部分
【大昔の床下構造(独立基礎)】

床束(ゆかづか)とは床を支える短い柱のこと。  大引きと接合されている床束は、自然石の束石にただ乗っけているだけ。

これでは「根がらみ貫」を使わないと束石から床束が外れてしまうのは確実。

床組全体の重さを支える地盤はよく締め固めるか、土間コンクリート、ベタ基礎が理想。
【根がらみ貫】

独立基礎で昔の玉石(ぎょくいし)の束石をつかっていた時代は、束石が平らではなく、そこに乗る床束も不安定だった。

そのため、「根がらみ貫(ねがらみぬき)」を使って束同士を連結していた。

「根がらみ貫」は平らなベタ基礎や布基礎では、もう使用されなくなっている。
【今回リォームする古民家の束石】

束石は自然石からコンクリート製に交換されている。

地面にも防湿シートが敷き詰められている。

最近は木製束の代わりに、高さが調整できる鋼製束が主流のようだが、今回は既存の木製束を再利用する。

【古民家の床組み(基礎部分)】

「床組(ゆかぐみ)」とは、木造建築物において、床面を支えるための、大引きや根太などの骨組のことを指す。

古民家の床組みは、束石にそのまま乗せられただけの構造。  束石に固定されていないので、地震時には左右に動く。

そのため、束石の頭部面積はできるだけ広くしておきたい。
【束の状態をチェック】

床下は湿気があるうえ、ホコリも舞っていて、これが束の木口(きぐち・束石との合わせ目)の周囲に積る。 それが水気を吸って束を腐らせ、   ふやけた結果床が下がる、という現象が起こる。

そのため、束はヒノキかスギの腐りにくい芯持ち材の赤身を使え、と言われる。 束の端部にはシロアリ予防の防腐剤を塗る。

大引きを910mm間隔で配置したら、90mm角の束石と大引きの間に床束を入れ、ビスで斜め止めする。  
【束を設置する】

大引きを910mm間隔で配置したら、90mm角の束石と大引きの間に床束を入れ、ビスで斜め止めする。

床下は湿気があるうえ、ホコリも舞っていて、これが束の木口(きぐち・束石との合わせ目)の周囲に積る。 それが水気を吸って束を腐らせ、   ふやけた結果床が下がる、という現象が起こる。

そのため、束はヒノキかスギの腐りにくい芯持ち材の赤身を使え、と言われる。 束の端部にはシロアリ予防の防腐剤を塗る。  
【便利な工業製床束】

いまは木製の床束ではなく、ネジをまわすことにより高さ調整が可能な、プラスチック製や鋼製製の床束が主流。

床の高さを微調整でき、下がったりしても、簡単に調整できるのでとても便利。  湿気の多い床下でも腐朽することはない。

高さが決まったら、締めるときは鋼製束の真ん中をしっかり握り、ナットを固定する。
【シロアリ被害の対処】

食われてしまった土台は、それ以上被害が拡大しないよう、ドリルで穴をあけ、薬剤を注入する。

土台が元に戻るわけではないが、内部のシロアリ退治と、次のシロアリ侵入を防ぐ。



【後施工金物1による柱と土台の緊結】

耐震補強に「カネシン後施工金物」を使用することにより容易に柱・梁の増設ができる。

ビス止め金物なので木材の欠損を抑えられる。

羽子板ボルトの施工ができない部分でも可能。

檜もシロアリの被害は避けられないが、昔からシロアリ被害を受けにくいのは「栗の木」とされる。     





床下腐食部分の補修について

 古民家リフォームにおける床下基礎部分の補修については、 古民家解体作業....広い空間を作りたいも参照。         

古民家の基礎部分の補修
【腐食部は一般的な「根継ぎ」で補修】

「根継ぎ」は、柱の下部が腐食した時、柱全体を入れ替えずにその部分だけ新しい材に交換すること。

腐った古い柱の一部をカットし、新しい柱を根継ぎして一体化させる。

本職なら金輪継ぎ(かなわつぎ)や、追掛大栓継ぎ(おっかけだいせんつぎ)などの継手を使うところだが、シロウトは一番簡単な「相欠き継ぎ」で接合。
【コーナー部の土台補修方法】

「土台上げ工法」で、角材を梁に45度に添え、ジャッキで真下から持ち上げる。

地面がめり込まないよう、ジャッキの下に耐圧板を設置してジャッキアップ作業を行う。

カージャッキを使う場合、キャスター付きは避けた方が無難。 使うときは転がり止めはしっかりと行う。     
【交換する材は、「相欠け継ぎ」で接続】

床束の一部腐食なら、腐った部分だけをカットし、檜材で作った木材を、「相欠け継ぎ」で元の材に繋ぐ。

「相欠け継ぎ」にすることにより、接合強度が上がる。

ジャッキは回して持ち上げるタイプは、柱も回転してしまい使いずらい。  油圧のポンピングで持ち上げる方式が使いやすい。 ただし、下げるとき一気に下がるので注意。

【破損・欠損部の補修】

腐食や欠損部は伝統的な仕口で継ぐのがプロの仕事だがハードルが高い。

継ぎ目に溝を掘り、鉄筋を入れエポキシ樹脂で固定する方法が楽。 腐ってボロボロになった部分は下地の木部が出るまで取り除く。

液体のエポキシ樹脂は木材によく染み込んで硬化するので、木材の補強に最適。  補修する部分に液体エポキシを塗布。 染み込む場合はしばらく時間をおいて何度も塗布。
【エポキシ樹脂による簡単補修作業】

既存材と追加材に溝を掘り、鉄筋を入れる。

隙間に粘度状にしたエポキシ樹脂をギュウギュウに埋め込んでやる。

この方法なら、大工が仕口を加工して組み合わせなくても、簡単に短時間で補修施工が可能となる。

柱と梁の直工部も、古民家は材が丸い場合が多く、一般的な金物ではやりにくい。

その場合も、結合部に溝を掘って鉄筋とエポキシ樹脂を使えば、簡単に確実に緊結出来る。



【古い柱を抜く】

古い柱を抜くには、その前に梁や桁を支える支柱を予め立てて、交換する柱にかかっている、上からの荷重を取り除いておく必要がある。

そのため、桁や梁に支え柱を当てて、ジャッキで持ち上げる方法が一般的。 管柱は上下ホゾで梁と接合しておりノコ刃の隙間があれば、ホゾをカットし外せる。

しかし、図のケースでは途中にまぐさがあるので、桁に直接当てられない。(一応端の出っ張りはないケースで考える)





「束立て床」の土台と大引きの仕口

 ピアノや薪ストーブなど、重いものを置く床は、追加の大引きを渡し、束の間隔を狭くするなどして、頑丈な床組みにする必要がある。

       

土台と大引きの接合方法「仕口」
【大引き】

木材強度は、繊維と直角方向は弱く、土台に柱がめり込むことも考えられる。  対策として柱のホゾを基礎に載せるか、土台を太くする。   防腐剤としてキシラデコールなどを塗布しておく。

大引き(おおびき)とは、床と根太を支える横木(横架材)で土台に接合される。 大引き下に3寸(90cm)間隔で床束を入れる。

大引きは谷状態(下側に曲がる)に使い、床束で持ち上げるようにする。
【標準的な大引きの配置】

床の基礎的な部分である「大引き(90㎜角以上推奨)」は、120㎜×120㎜の角材を組み、水平に並んでいるか確認し束で支える。  一般的に大引きの芯々は909mmで配置する。

床下地に1820×910の尺モジュール合板を使う場合、120mm角大引きだと、ピッチを910-120(60+60)=790mmにすれば、大引き上に合板端がキッチリ載る。
【「大引き」は魚の骨のように渡される】

大引き材は4mで販売されているが、部屋は短手でも4m以上ある場合も。 一本の大引きで届かない場合、中央に長い大引きを渡して中継させる。

廻りの土台と中央の大引きに対し、魚の骨のように左右に大引きを渡す。

長さ1間(1.8m)以上の大引きは、梁と呼ばれる。  
【土台と大引きの接合例】

床部分の重さを受け止める大引きは、両端を「腰掛大入れ」で土台にビス止めする。   N75を2本打ちする。

大引きは910mm間隔で土台に組まれるのが一般的。

リフォームでは、床を張る前に、土台・大引き・束柱はよく清掃し、防腐剤を丁寧に塗布しておく。



「大入れ蟻掛け」 【「大入れ蟻掛け」】

」とは、男木(図は大引き)に蟻の頭部形状のような「逆ハの字」加工を施す技法。 「大入れ」は段差がついた腰掛部分。

「大入れ蟻掛け」とは、横木側面(土台)に「蟻穴」と「大入れ」を設け、直角に取り合う材の先端に逆ハの字の蟻ほぞを付け、接合する仕口のこと。

女木(図は土台)の「大入れ(腰掛部分)」に大引きが載る形になる。  蟻ほぞf引き抜きに強度を発揮する。

リフォームでは、趣味人でもない限り、まずこんな面倒な加工はやらず、「大入れ掛けが主流」。
大入れ掛け 【シンプルな大引きの仕口...「大入れ掛け」】

プロは土台と大引きの仕口は「大入れ蟻掛け」にするが、シロウトなら簡単な「大入れ掛け」が一般的。

大引きを斜め留めする釘は、N75を2本打ちすることが決められている。

一応、「大入れ(腰掛部分)」を設けるので、土台に大引きが載る形にはなる。

【大引き専用の固定金具】

最近のリフォームにおいては、土台と大引きの接合は、イモづけ(ドン付・継手や仕口加工しない)と専用金具で行うのが主流。

そもそも、リフォームで材を差し替える場合、ホゾがあると部材間に入っていかない。
「いもすけ」 【ホントはやってはいけない仕口・その1  「いもすけ」】

仕口を全く加工せず、切ったままポン付するのが「いもすけ(ドン付・継手や仕口加工なし)」。

素人リフォームでは、簡単な「大入れ掛け」加工もせず、いもすけで接合するケースもある。

ビスや釘だけで荷重を受けているため、構造的にはアウト。  ただ、接続金物が優秀になったので併用すれば問題ないケースも多い。  いずれ「いもすけ」が主流になるかも。
「蟻ホゾ」 【やってはいけない仕口・その2 「蟻ホゾのみ」】

「蟻ホゾのみ」とは、「大入れ(腰掛)」部分がなく、細い「蟻ホゾ」だけで支える仕口。

90mm角材だと蟻ホゾの根本幅30mmの細さだけで全体荷重を支える仕口となり脆すぎる。

蟻幅を大きくするプレカットもあるが、通常は「大入れ(腰掛)」を入れ「大入れ蟻掛け」とする。

【交差する仕口加工】

「土台」に「大引き」と「柱」が接合される時の仕口の例。

120mm角材を使った場合、土台は上端から60mmの深さに段付き加工。  段あごは15~30mmの幅。

土台と柱を交差させるので、柱のホゾが差し込まれる部分も同時にホゾ穴を掘る必要がある。

このように切り欠き箇所が増えるほど、部材が欠損されてしまい強度が落ちる。
【土台に両側から大引きが接合される仕口】

土台の上に配置されるので、段付き加工はしない。

木材強度は、繊維と直角方向は弱く、土台に柱がめり込むことも考えられる。  対策として柱のホゾを基礎に載せるか、柱を太くする。

また、土台と基礎は「アンカーボルト」で結束する。
【三方向を結合する仕口】

屋根廻りで、三方から一か所に接合される仕口の例。

差し込まれる箇所が多いほど部材の欠損は大きくなるので、地震で強い力がかかると、接合部が破損し外れる場合が考えられる。

そのため、接合部の補強が重要。  「ホールダウン金物」は柱と土台、あるいは柱と梁の接合部など、力の集中が起きやすい箇所を強固に固定するための金属製パーツ。
【重量物が載る部分の床組みを補強】

ピアノや薪ストーブなど重いものを置く箇所は、大引きを追加して頑丈な床組みにしておくことで、少なくとも床が抜けて床下へ燃焼中のストーブが落下し火災発生、という最悪のケースは防止できる。

大引きや根太を張った後では、工事が面倒になるので出来るだけ事前に計画しておく。

この後、床に断熱材を敷き込み、「剛床工法」用合板を乗せる。  追加材の防虫対策も忘れずに。





出隅部の土台と柱の接続

 家には壁や板が出会う箇所、いわゆる「角」がありますが、それを内側から見たのか、それとも外から見たのかを区別する、「入隅(いりすみ)」、「出隅(ですみ)」という言葉があります。

 入隅部とは内部から見た壁や板が出会う箇所で「内側の隅」を表します。   一方、出隅分は外から見た壁や板が出会う箇所で「出っぱった角」を表しています    

【出隅部の土台と柱】

隅柱の大入れ蟻掛けによる仕口。

土台ホゾ穴は幅30×長さ60mm×深さ90mm。  ホゾは中心に開けず、強度アップのため土台長手方向に偏心させている。

土台の横木側面に大入れ欠きと蟻穴を設け、直角に取り合う材の先端に蟻ほぞを付け、はめ込む。

土台の女木に合わせ、男木(隅柱)のホゾも、仕口に近い方は15mm、外側は45mmと偏心させている。

ホゾは120mm角の場合、厚み30mm、長手は60mm。 長さは90mm。

【隅柱の仕口・大入れ蟻掛けの収まり】

隅柱の大入れ蟻掛けによる仕口。

ホゾは中心に開けず、強度アップのため材の内側に偏心させている。

横木側面に大入れ欠きと蟻穴を設け、直角に取り合う材の先端に蟻ほぞを付けはめ込む。

【大入れ蟻掛け・男木の寸法】







【土台・柱・大引きの接合】

大引きサイズは標準だと90mm角。  大引きは910mm間隔で土台の上に設置する。

本格的な施工では柱と大引き接合は、イモづけ(ドン付・継手や仕口加工しない)と専用金具で行う。



【土台・大引きとの接合部】

柱部と大引きの本格的な「大引き蟻掛け」仕口。

以前は、土台と大引きの仕口は「大引き蟻掛け」が一般的だったが、いまは「大入れ掛け」が一般的。

ただし、リフォームでは面倒な仕口加工はほとんどしない。  次項の「大引き蟻掛け」でさえ、よほどの手練れでもない限りまずやらず、 簡単なイモづけ(ドン付・継手や仕口加工なし)で固定している。





大引き高さを揃える

   

【大引きをビスで土台に固定】

大引きをカケヤなど使い上から叩き、土台にキッチリ戻してやる。 土台と大引きの接合部を、N75ビスで上から左右2箇所ずつ固定していく。

床束が傷んでいたら新しい床束交換するが、この際プラ束か鋼製束に替えたいところ。 これだと高さ調整も楽でシロアリも食わない。
【レーザーで大引きの水平を出す】

計測により大引きの一番高い部分が分かるので、目的床高さの5ミリ程度上げて、新しい大引き高さの上端にする。

レーザーラインで四方の目的水平高さをマーク。

【必要に応じ大引きを新しいものに交換】

常態が悪い大引きは、新しい大引きと交換する。

大引きは90~120mm角、長さ3~4mのスギ・マツ系規格材が多く使用される。



【大引き高さを基準線に合わせる】

大引き上端高さを、レーザーの基準ラインにピッタリ合わせる。

鋼製束があれば、大引きの高さ調整が容易に行える。

ここから床の高さは、(太鼓根太の厚み)+(断熱材30mm)+(フローリング材30mm)となる。

【水糸で大引きの高さを調整する】

部屋に渡された、基準となる大引き両端の高さを、レーザーを使い確認・調整しておく。 基準となる大引きは全体を見渡して中間の高さのものとする。

基準大引きの両端に水平糸(水糸)を張り、「スペーサー(基準高さ材)」を咬ませ、各ポイントの高低の基準高さとする。

同じ厚みのスペーサーを複数枚用意しておき、計測したい箇所に張られた水平糸の下に「基準高さ材」を入れれば、大引き高さの違いがどの程度ズレているか、肉眼で確認出来る。

全部の大引きの水平が正確に取れていれば、どの位置の大引きでも、上に張り渡した水糸と大引き上端の間隔は同じはず。
【大引き高さ確認は水糸を使うと確実】

高さ確認は、古典的な糸張りのほうが目に見えるので、レーザーよりやりやすい。

したがって一本単位で高さを確認するときは水糸が確実。

同じ厚みのスペーサーを準備し、端から端に渡した糸の各ポイントにスペーサーを入れ高さを確認する。
【水糸は確実】

水平に張られた水糸と大引きの間隔は、スペーサーによって確認できる。

上端が合うよう大引き(太鼓根太)の高さ上下を調整する。

鋼製束を使うと大引き高さの調整が楽。
【大引き高さ調整は束材とのスキマに矢を】

古い束材は大体緩んでいるので、床束を一個ずつ叩いてみて、大引きにしっかり効いているか、浮いていないか確認し大引きにビスで固定していく。

床束は腐っていなくても縮んで短くなる。 ブラブラになっている場合、三角に削った矢を大引きとの間に差し込む。 固定は下側からビス留め

傷んでいたら新しい床束に交換するが、プラ束か鋼製束なら高さ調整も楽でシロアリも食わない。
【ジャッキで大引き高さを調整】

大引きの高さ調整は、ジャッキを大引きにあてがい基準高さに揃える。

大引き高さが決まったら、床束材を正確にカットする。  大引き材は必ずしも真っすぐではなく、正確に高さを出すのは大変。  

これを一本ずつやっていくのは大変なので、自由に高さ調整できる「鋼製束」があると便利。
【大引き高さの微調整】

大引き高さが微妙に低い場合、簡単で楽なのが荷物の結束や固定など様々な場面で使われている強度と汎用性の高い「PPバンド」を挟み込む方法。

ただ、PPバンドは耐候性が低く、直射日光や紫外線の影響を受けやすいので、長時間直射日光が当たる場所での使用はNG。








「根太工法」以外の床組みの方法

 従来の床組では、90㎜から105㎜角の「大引き」を910㎜間隔に配置し、その上に45㎜角の「根太」を303㎜間隔で並べ、その上に、厚さ12㎜の「構造用合板」、さらに12㎜厚の「床材」を張るのが一般的でした。

 「根太レス工法」....最近は「根太」を置かず、大引きの上に24㎜の構造用合板を直接打ち、その上に床材を貼る「根太レス(直貼り工法)」が増えてきました。 施工が容易な根太レス工法は、工期も根太工法より短く、 仕上がりにムラが起きにくいのが特徴で、 また根太や火打ち梁を使っていないので費用を安くでき、さらに床の位置も下げられ、部屋空間を高くできるというメリットがあります。

 ただ、24㎜厚程度の構造用合板では、大引きと大引きのまん中付近が「たわむ」、「踏み心地が柔らかい」という状態になりやすいとされます。  大引き間隔910㎜にする場合、303㎜間隔で根太を配置し、 12㎜の構造用合板で構成される根太工法と同じ床強度にするなら、根太工法より3倍広いので、 構造用合板も3倍の36㎜厚が必要とされます。

 従来の根太工法でも、根太のサイズを45mm×105mm以上とし、 床下地合板を規定に準じて設けると剛床仕様となり、火打ち梁を外す事が可能です。

 「剛床工法」....根太や火打ち梁を使わない剛床工法は、水平保持力が高く地震の横揺れや、歪みに強い工法とされます。  ただ、床構造用合板の接着剤は湿気に弱く、 20年ほどでブヨブヨになるとされますから、湿気対策は丁寧にやっておく必要があります。



       

【「根太レス工法」とは】

最近は「根太」を置かず、大引きの上に直接厚め(24㎜~)の構造用合板を打ち、その上に床材を貼る「根太レス(直貼り工法)」が増えてきた。

根太をなくすことで、木材が減り、施工時間も短縮されるので費用が軽減される。  ただ、強度面は不安。

定尺の下地合板は1820×910mm。 そこで大引きの芯々間隔は910mmにすると、合板の端が大引きの中央に乗る。
【「剛床工法」とは】

「剛床工法」も根太レス工法の1つ。  根太は使わず大引きを縦横に組み合わせる。

床下地合板の厚みは24mm以上。  床板の厚みを増すことで強度が上がり、揺れや重さを床板の“面”全体で吸収・拡散できるので、一か所にかかる負担を軽減できる。
【「剛床工法」の大引き配置】

床の基礎的な部分である「大引き(90㎜角以上推奨)」は、120㎜×120㎜の角材を組み、水平に並んでいるか確認し束で支える。  大引きの芯々は909mmで配置する。

最近は木製束の代わりに、高さが調整できる鋼製束が主流のようだが、今回は既存の木製束を再利用する。

ピアノや薪ストーブなど重いものを置く箇所は、必要に応じ束の間隔を狭くする。

【「剛床工法」の断熱材】

根太工法では、根太がシナったとき音がする。





【断熱材の受け金具】

サイズが少し甘めの断熱材でも、落下しないよう、断熱材の受け金具を取り付ける。





【「剛床工法」の壁際の収め】

「根太レス工法」であれ[剛床工法]にせよ、床下地材は壁の下にまで貼られてしまう構造となる。

そのため、もしリフォームで床の張り替えということになると、壁の下にある床下地材をどう撤去するには相当な手間と費用が掛かる。  長く住むのなら要検討事項。
【「剛床工法」は断熱性も高い】

床合板を間仕切り壁よりも先に施工し、床合板の上に間仕切り壁をつくれば、床下の冷気の流入を防ぐことができる。

柱芯まで入れると隙間風が直接きにくく、断熱効果が高まる。

合板は出隅・入隅の加工が必要になるが、マルチツールがあると便利。





床束

       

【鋼製束による大引き保持】

現代の建築は、コンクリート基礎に「鋼製束」を置き、垂直方向に基礎と大引きをツッパリ補強するのが一般的。

土台から土台に渡す大引は、たゆんだりするので、大引の下に約910mm間隔で束を置き、地面から支える。 大引きに付ける鋼製束の差さえ金具が互い違いになるよう設置していく。

新規の大引きなら、「鋼製束」を取り付けてから組むと楽。 2間の長い場合、折れないよう真ん中だけ伸ばしておく。
【鋼製束にボンド】

鋼製束の設置ポイントにはウレタンボンドをつけておく。

ボンドは鋼製束を土台に密着させたとき穴からはみ出す程度にタップリぬっておくこと。

高さが決まったら、ナットを固定していく。  締めるときは鋼製束の真ん中をしっかり握り固定させておく。

土台から土台に渡す大引は、たゆんだりするので、大引の下に約910mm間隔で束を置き、地面から支える。

【火打ち土台】

床の変形を防止するために設ける斜材。

1階の床に設けるものを火打ち土台、2階などの床や小屋組に設けるものを火打ち梁。



 





縁側部分の床組

     
縁側部分のリフォーム
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【廊下部分の床組み】

廊下部分はスパンが短いので、図のように骨材として大引きを1本張るか、大引は用いずに直接根太を張るのが一般的。

いずれにせよ、土台の側面に根太掛けか、床材受けを打ち付けておく。  必要に応じ断熱材を入れ込む。



【廊下部分の根太床組み】

根太を使うときは、45×105ミリを303ミリピッチで配置。




【廊下部分の根太床組み】

土台がないときは、大引きに直接大き目の根太掛けをつける。




【古い廊下部分を全て撤去】

古いサッシと床部分をすべて撤去。

サッシの下部分はこのまま再利用し、一寸五分(45×120mm)の厚みのある間柱を立て、骨組みを作っていく。

【サッシ用の間柱とまぐさの取付】

新しい間柱をサッシ枠の両端に立てる。

サッシの骨組みを構成していく。

サッシ下になる土台は水平が出るようパッキン調整する。  しっかり出ていれば、あとはサッシ寸法と、上のまぐさの寸法を合わせればいい。
【サッシ骨組み】

古い吊束は、まぐさを鴨居の高さに入れた際に利用できるよう、長めに切断して残しておく。

まぐさを吊る古い吊束は、少し吊るように短めに切っておく。



【サッシの骨組みの取付】

サッシ骨組みのまぐさを支える、短い間柱を入れ込む。

これでサッシ骨組みが下がってしまうことはない。

骨組みが出来たらサッシを取り付けていく。

【サッシの取付】

最近のサッシはビスの数がやたら多くなった。

サッシ歪みが生じないよう、内側から先にビス留めして高さを決め、外のビスを留める。

ペアガラスだとかなり重い。 3尺幅以上だと、一人では持ち上げられない。 
【根太掛けの取付】

長手方向に縁甲板を張る。

つまり、根太は短い方向に取り付ける。

根太掛けは土台がないので既存の材に直付け。  下がらなければいいので、多めのビスで固定しておく。
【根太の取付】

根太掛けに割付して、必要本数をカット。  根太間隔は狭い方が丈夫な床に仕上がる。

根太は根太ビスで固定する。 内装ビスでも100mmなら使える。
【根太を支える強化材】

大引きを入れなくても、根太の真ん中に強化材を一本通して固定しておけば、たわみもなくなり床が下がることもない。



【床板の張りつけ】

サッシ側から張っていく。   床板はりゃんこ張り。

間柱分の切り欠きをキッチリ行い、真っ直ぐに通すように張っていく。

一枚目で決まるので、丁寧に張る。
【床板の張り終い】

床板はボンドとビスを併用して固定する。  ボンドはコーキング状のシリコンボンド。

張り終いの床板は、狭すぎても広すぎてもダメ。  一発勝負なのでキッチリ寸法を合わせて入れ込む。

【廊下天井の取付】

天井高さは2400mm。

廻り縁を張り、野縁を300mm間隔で入れていく。

作業は天井板を貼る・下地を参照。

【天井の仕上げ】

断熱材を入れ込み、石膏ボードで天井を塞ぐ。










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