私の音楽遍歴(3)<初めて買ったシングル>


♪髭モジャのおにーさんが訴えかけるような眼で「Let it be」と繰り返し歌っている。
 確かステレオのコマーシャルだったと思います。見た途端、「あっ!」と痺れました。
 次の日、生まれて初めてのシングルレコード、ビートルズの「Let it be」を買いました。
 (黒の中央にメンバー4人の顔があるジャケットでした。(アルバムと同じです。))

♭その時は、「Let it be」の意味も知らず、ましてやビートルズが解散への坂道を下り
 出している時期の作品である事も知りませんでした。ですから映画「Let it be」を見た
 時は、大変ショックでした。有名なポールとジョージの喧嘩(言い合い)、ヨーコにメロメロ
 で、グループの行く末にも無関心に見えるジョン、何とか盛り上げようとするリンゴの顔
 にも疲れの色が隠せない‥‥。『コンサート活動を再開しない代わりに、スタジオでの
 ありのままの自分達の音楽を見せよう』というのが「Let it be」プロジェクトの主旨でし
 たが、ファンにとっては、ビートルズの音楽が作られて行く過程を見れる喜びと同じくら
 い、胸の痛いシーンもたくさんありました。

♯映画「Let it be」プロジェクトは、当初「Get Back」プロジェクトという名前でした。
 そのネーミングには、昔の様な4人組に戻りたいという願いみたいなものを感じてしまい
 ます。ビートルズをここまで育て上げたマネージャー、ブライアン・エプスタインの突然の
 死以降、4人共同経営の「Apple社」の倒産、新マネージャーを巡るトラブル等いろいろ
 ありました。

♭ご存知かもしれませんが、アルバム「Let it be」は、確かに最後に発売されたアルバ
 ムですが、彼らは、「Let it be」プロジェクト終了後にあの名作「アビーロード」を作って
 いるのです。デビュー以来プロデューサーを勤めてきたジョージ・マーチンでさえビートル
 ズは、「Let it be」で終わりだと考えていたくらいですから、あの状態からもう1枚それも
 ビートルズのアルバム中で最高のセールスを記録した傑作「アビーロード」を生み出せ
 るのですから、ビートルズ4人の心の繋がりと才能にはほとほと感心いたします。

♯私が今でも事ある毎に歌うビートルズ・ソングといえば、「イエスタデイ」、「ヘイ・ジ
 ュード」、「ヘルプ」、「涙の乗車券」等がありますが、『締めは「Let it be」かな』とい
 う所です。

(2001年12月1日掲載)

BACK INDEX NEXT