私の音楽遍歴(15)<毛遊びとエイサー−沖縄の夜(1)>
♪「毛遊び」と書いて「もうあしび」と読みます。「毛(もう)」とは、沖縄方言で「草の生えた
野原」の事です。中部の観光地の「万座毛(まんざもう)」とは、「万の人が座れる程の野原」
から命名された地名です。万座毛はその名の通り、東シナ海に落ち込む様な断崖絶壁の
上に草の生える広い野原が広がっている景勝地です。
♯それでは「毛遊び」とは、何かと言うと。昔の沖縄の農村や漁村で昼の仕事を終えた若い
男女が夜になり、村の広場(遊び庭(あしびなー)と呼ばれたりします。)に集まって歌ったり
踊ったりして遊ぶ事を指します。三線や太鼓を伴奏に、歌自慢、踊り自慢が次々に出て来て
は腕を披露していくそれはそれは楽しいパーティー(?)だったそうです。当然そこには、恋も
生まれ、意気投合した二人は、二人きりになれる場所へとGO!とかもあった様です。
♭昔の沖縄の農村や漁村の仕事は、朝から晩までの重労働であり、「毛遊び」は、彼らの数
少ない楽しみの一つだったのです。しかし、もっと年貢を絞り取りたい役人は、「毛遊び」など
で体力を使わせたくないので、「毛遊び」を淫らな事として禁止したのでした。それでも民衆の
知恵というか、役人の眼を盗んで「毛遊び」は、行われていた様ですが、それも戦前までの話
の様です。
♯沖縄の民謡歌手の知名定男さん(ネーネーズのプロデューサー)が「毛遊びに憧れるなー」
言っておりましたが、私も実は憧れておりました。私が波照間島へ旅行した時の事ですが、夜
三線の音と歌声が聞こえるので行ってみますと、決して若くはないのですが男女の方々が輪
になって三線伴奏で歌を歌っておりました。私もお願いしてその輪の中の入れていただき楽し
い時を過ごさせてもらった記憶があります。三線のとても上手なおじさん(沖縄本島も宮古も八
重山の民謡も自在に弾きこなす)は、宮古島出身で工事の仕事で島を渡り歩いているとの事
でした。波照間島へも、工事の仕事でやってきて当分の間いると言っておりました。泡盛のお
裾分けもいただいてほろかげんで「毛遊び」気分を味わった一時でした。
次回は、沖縄の盆踊り「エイサー」について書きます。
(2002年2月23日掲載)