私の音楽遍歴(26)<鼻から牛乳(2)−今もすごいよ!バッハは>
♪バッハの曲は、昔からよくアレンジされて演奏されてきました。古くは、グノーの
「アベ・マリア」です。これは、「平均律クラビーア曲集 第1集」の第1曲のプレリュード
にメロディーと歌詞を付けたものです。グノーは、このプレリュードのアルペジオ(分散
和音)の中に脈打つメロディーを見つけ出して歌詞をつけたのだと思います。
♯ジャズからのアプローチ−バッハは、ジャズとの相性もバッチリです。最初のアプローチ
としてはフランスのジャック・ルーシェ・トリオが上げられると思います。彼がスタジオミュー
ジシャンだった頃、空き時間にベースとドラムの三人でバッハをジャズ風にアレンジして
遊んでいる所をプロデューサーに認められ、レコードデビューした所が大ヒットとなった
という訳です。
♭電子音楽からのアプローチ−昔のシンセサイザーの無機質な音ともバッハは、相性が
良い様です。電子音楽での最初のアプローチは、ワルター・カーロスの「スィッチト・オン・
バッハ」です。私がこのレコードを初めて聞いた時に、『バッハの音楽の可能性に地平線
はないんだな〜』と、考えた事を記憶しています。それは、バッハの一種幾何学的で緻密
な線が絡み合う様な音楽は、その完成度の高さゆえに演奏楽器や演奏スタイルを越えて
いろいろな楽しみ方を私達に与えてくれるからではないかと思います。
♯カナダのピアニスト故グレン・グールドのバッハ−彼のバッハは、何故いいのか?
私は、言葉ではどうもうまく言えません。グールドは、決してジャズ風に弾いている訳では
ありませんし、現代風に弾こうと強く意識している様にも思われません。たぶん、彼独自の
バッハ解釈が現代人のハートにピッタリ来るからとても魅かれるのだと思います。正統派
バッハ弾きを自認する演奏家もいますが、今となっては、グレン・グールドも正統派となった
のではないでしょうか。
♭最近のテレビ、特にCMでもバッハは、大活躍です。「アンナ・マグダレーナの音楽帳」に書
かれた。(アンナ・マグダレーナは、バッハの奥さんの名前)愛らしい「メヌエット ト長調」は、
4拍子に変えられ「ラバーズ・コンチェルト」としてサラ・ボーンの歌で有名になるとともにCMにも
使われています。前出のグノーの「アベ・マリア」もCMに使われているのを聞いた事があります。
渋い所では、「無伴奏チエロ組曲」のプレリュードをピアノでテンポを速めて演奏している車のCM
とかもあります。CMではありませんが、ビートルズの曲「オール・ニード・イズ・ラブ」のエンディング
で、「インベンションとシンフォニア」の「インベンション ヘ長調」の出だしがいきなりトランペットで
現れて来たりします。
そんな中「タラリ〜鼻から牛乳」も出るべくして出てきたと言えるかもしれませんネ。(?)
(2002年5月11日掲載)