CPUの消費電力−PowerPC編−

2002年1月9日公開 2005年11月20日改訂

PowerPC

 以前、このコーナーで「CPUの消費電力」を取り上げましたが、結構好評だったようです。
 そこで調子に乗って、と言うわけでもありませんが、今度はx86系CPUのライバル(?)PowerPCについても調べてみました。Macユーザーには興味のあるところだと思います。下のグラフがその結果です。

 グラフは 縦軸がデータシート記載のMaximam PowerもしくはThermal Design Power、横軸が実クロック周波数です。PowerPCのデータシートはMotorolaとIBMの双方から出ていますが、このグラフでは基本的にMotororaの値を基本にして、足りない部分をIBMの値で補っています。Pentiumの時と同様、同じクロックでもプロセスの違いなどにより消費電力の違うチップが存在しますが、このグラフでは消費電力の小さい方を採用しています。
 比較のために、PentiumIIとIIIの消費電力も併せて表示してあります。233〜433MHzがPentiumII、450〜533MHzがPentiumIII(Slot1)、600〜700MHzがPentiumIII(FC-PGA)となっています。

PowerPCの消費電力

 さすがにPowerPCは消費電力が少ないです。特に603系は元々モバイル向けにデザインされているせいか、消費電力少なさは特筆ものです。この傾向は603から進化したG3にも引き継がれており、600MHzに至るまで消費電力10W以下をキープしています。Macintoshの熱設計はさぞかし楽だったでしょう。

 ただし、同じPowerPC系でも604系は消費電力という点ではいまいちです。またG3の発展型であるG4系も、G3より消費電力が高くなっています。性能を求めると、消費電力的には辛くなると言うところでしょうか?

Pentiumとの比較

 PCファンとしては、x86系のシンボルPentiumII/IIIプロセッサとの比較も、興味あるところです。グラフからすると概ねPowerPCの方が消費電力が少ないと言っていいと思います。ただ最近のFC-PGA版PentiumIIIは、進んだプロセス技術のおかげでかなり消費電力が抑えられてきており、高クロック領域においては、消費電力の上がってきたG4プロセッサとほぼ拮抗しています。

 PowerPCの利点として、クロックあたりの演算性能が高いことの他に、Pentiumより消費電力が少ないことがこれまであげられてきましたが、こうして見るとハイエンド領域ではそうとも言えなくなっているようです。PowerPCのギガプロセッサがなかなか出ない理由は、そんなところにあるのかも知れません。