| 1号機の第4次改造 
 2001年10月8日公開 
  第4次改造 すっかり家内用マシンとして我が家に根づいたAT化改造286Vですが、使用頻度が高まるにしたがいスペック的に不満が出てきました。考えてみればそれもそうで、ギガプロセッサが一般的になりつつある現在(2001年10月)の環境では、少し性能の底上げが必要なようです。とは言うものの改造筐体なので最新パーツを装着するとなると、削ったり曲げたりでかなりの工作に。ここはソケット7のままで出来る限りの改造を行うことにしました。
 ソケット7系の究極CPUといえば、AMDのK6ですが、たまたま手元にK6−2/500MHzがあったので、まずはこれを使うことにしました。また第3次改造で述べたようにメモリー性能も特に体感速度には重要なので、これまでのEDO−RAMからSD−RAMに変えることにします。
 
 SD−RAM化 改造286VのマザーボードはMyComp社のAI5VG+で、SD−RAM対応のPC100マザーです。ただ本機の場合、メモリースロットの真上に電源があり、高さの余裕がありません。SIMMメモリー程度の高さでなければ装着は不可能で、そのためこれまでSD−RAM化はあきらめていました。ところが最近入手したメルコ社のPC133用SD−RAMは高さが非常に低く、これならうまく装着できることが分かりました。
 
  ソケット7マザーということでメモリーはPC100で十分であり、PC133のメモリーを使うのはかなり勿体ないのですが、それしか装着できないとなればしょうがありません。最近のSD−RAMは激安なのでこれで良しとします。
 
 なぜかPC100で動作しないAI5VG+ SD−RAMを装着しバスクロック66MHzで動作試験。これは全く問題なく動作しました。つぎにマニュアル通りにDIPスイッチやジャンパを設定して、目的のPC100(バスクロック100MHz)で動作チェック。が、なぜか全く動こうとしません。DIPスイッチやジャンパを色々変更したり、BIOSを更新したり、色々Tryしましたが全くダメ。結局、66MHzの他は、75MHzと83MHzでの動作しか確認できませんでした。偶然バスクロック112MHzで動作させる設定を見つけましたが、これは動作が不安定で使い物になりませんでした。
 
 K6−2/PC83でのメモリーベンチマーク 動かない物はしょうがないので、動く範囲でベンチマークを取ってみることにしました。AI5VG+の倍率設定は5.5倍までしかないので、最高クロックは83×5.5=458MHzとなります。以前のEDO−RAMで行ったベンチマークでは、バスクロック83MHz化はメモリー性能を落とすだけであまりメリットはなかったのですが、SD−RAMはその名の通りアクセスがクロックに同期するので、メモリー性能は周波数に比例すると予想されます。
 まずはメモリー系のベンチマークということで、Coretest99を使い各種設定時のメモリーRead/Writeの速度を計測してみました。下のグラフがその結果です。
 
  グラフは366MHz(66×5.5)EDO−RAM使用時を100%としたときの相対性能で示してあります。黒線と赤線が第3次改造時に測定した結果で、緑、青、紫線がSD−RAM化した今次改造の結果です。
 同じCPU・バスクロックである黒線と緑線の値を比較してすぐに分かるのは、SD−RAMの方がEDOよりもはるかにアクセス速度は速いことです。この結果はキャッシュが効かなくなる1M〜8Mの領域で非常に顕著であり、SD−RAMのアクセス速度が非常に優れていることを示しています。
 また、EDOの場合バスを83MHz化した場合アクセス性能が低下してしまいましたが、SD−RAMの場合は緑線と青線の比較で分かるように、周波数に比例してアクセス速度の向上が分かります。
 最終的にバスクロック83MHzで5.5倍の458MHz動作させたときの結果を紫線で示します。256KBで多少落ち込む点を除けば全ての面で良い性能を示しています。
 
 K6−IIIを投入 バスクロックの上限が83MHzである以上、最高クロックは458MHzにしかならないAI5VG+。よく考えれば500MHzのK6−2を使うより、K6−III/450MHzにした方が良さそうです。さっそくK6−IIIを入手しようと有名な中古販売店「じゃんぱら」の通販サイトにアクセス。幸いいくつかの店に在庫があり、割合容易に入手することが出来ました。ただはっきり言って高価で、いまだに8千円以上の値が付いています(2001年10月現在)。K6−III新品時の定価に比べればはるかに安いのですが、それでも同じ値段ではるかに性能の高いCeleronやDuronが新品で買えます。ソケット7系の需要はまだ多いと言うことなのでしょうか?
 ともあれ、K6−IIIに交換して再度ベンチマークです。Coretest99の結果を下のグラフで示します。
 
  オンダイL2キャッシュの効果が非常によく出てでいます。
 またK6−2で問題だった256KB付近の落ち込みも改善されています。
 
 次はお馴染みHDBench。以前の結果と比較するためにVer2.61を使いました。
  Total、CPU、Disk、MemoryはK6−III/458MHzが最も良い成績を示していますが、グラフィック、特に円描画の性能が、83MHzのバスクロックにおいて極端に悪化しています。なぜでしょう?
 
 3D系ベンチマークということで、若干古いですがFinalReality。
  OverrallではK6−IIIが最も良いという、当然といえば当然という結果でした。ただ細かく見ると、バス転送速度はバスクロック83MHzの時に極端に悪化しています。これはHDBenchの円描画の結果と似ており、このバスクロックにおいて何らかの性能阻害要因があることを示しています。
 
 次は数値演算ベンチマーク、Superπの結果です。
 
  これもK6−IIIで最も良い結果が得られました。特徴的なのは同クロックでもK6−2とK6−IIIでかなりの差があることで、K6−IIIのフルスピードオンダイL2キャッシュの効果がよく現れているようです。
 
 さいごに いろいろベンチマークを行った結果、最終的にK6−III/458MHzで使っていくことにしました。いくつかケチがついたものの、トータル性能としては最も高いという判断からです。若干(と言っても8MHzですが)オーバークロック動作と言うことで、発熱が心配でしたが Athron用クーラーを使ったおかげでヒートシンクがほのかに暖かくなる程度。連続運転でも全く問題はありませんでした。
 肝心の体感速度ですが、劇的とは言えないまでも全体的に動作が機敏になったのははっきりと分かり、かなりの効果を上げることが出来ました。PC100にならなかったのは残念ですが、それなりに成功と言ったところです。
 最後に、最近のベンチマークの結果も示しておきます。
 --------------------------------------------------------------------------
 ・3DMark(デフォルト解像度で測定)
 
 
--------------------------------------------------------------------------| 3DMark99Max | 1050 3D marks / 6788 CPU marks |  | 3DMark2000 | 553 3D marks |  ★ ★ ★  HDBENCH Ver 3.30  (C)EP82改/かず ★ ★ ★
 M/B Name    PC-286V改 458MHz 83*5.5 SD-RAM CL2
 Processor   AMD K6-III 458.36MHz[AuthenticAMD family 5 model 9 step 1]
 Cache       L1_Data:[32K]  L1_Instruction:[32K]  L2:[256K]
 Name String AMD-K6(tm) 3D+ Processor
 VideoCard   I-O DATA GA-ZXTV8シリーズ
 Resolution  1024x768 (32Bit color)
 Memory      129,952 KByte
 OS          Windows 98 4.10 (Build: 2222)  A
 Date        2001/10/04  18:37
 
 SCSI = Adaptec AHA-2940AU PCI SCSI Controller
 HDC = VIA Bus Master PCI IDE Controller
 HDC = プライマリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)
 HDC = セカンダリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)
 A = GENERIC NEC  FLOPPY DISK
 C = GENERIC IDE  DISK TYPE47
 D = LG CD-ROM CRD-8320B Rev 1.24
 
 ALL  Integer   Float  MemoryR MemoryW MemoryRW  DirectDraw
 7436    22187   14169    13044    6543    12178          29
 
 Rectangle   Text Ellipse  BitBlt    Read   Write    Copy  Drive
 12977  14760    4070       5    5791    5391    2307  C:\100MB
 
 
←前へ 「エプソン286のAT互換機化改造記」の目次に戻る
 トップページに戻る
 |