ＰＣ自作派にはもってこいのＰＣルーターですが、落とし穴は消費電力です。市販のブロードバンドルータの場合、たとえばコレガのCG-BARPRO2で最大4.8W、CG-BARSW4PHGで9.6W、メルコのBLR-TX4Mで3.75W、I-O DATAのNP-BBRSで6.5W（以上すべてカタログ値）と１０Ｗを越えるものは皆無です。一方、ここでも示したように、古いとは言えほとんどのＰＣの消費電力は３０Ｗを越えます。常時接続のためブロードバンドルーターは常に電源が入れておかなければなりませんが、待機電力に対する風当たりが強い昨今、３０Ｗもの電力を消費する機器をつけっぱなしにするのは省エネという観点でも、電気代という観点でも、さらにカミさんの心証という観点（これが一番大きい）でも、問題のあるところです。参考までに、３０ＷのＰＣルーターを５Ｗの市販ルーターに交換すると、年間で４千円以上も電気代を節約できる計算になります。

ＰＣルータの省電力化
　消費電力の点で、市販ルーターにかなわないように見えるＰＣルーターですが、市販ルーターはルーター機能に必要なデバイスしか搭載されていないので、省電力なのはある意味当然といえます。ということは、ＰＣからルーター機能に不要なデバイスを取り外せば、それなりに省電力化できるのではないでしょうか？
　幸いにというか、先に挙げたMosquitoは、フロッピーたった１枚でＰＣをルーター化できるパッケージで、ＨＤＤもＣＤ−ＲＯＭも不要です。そこで、Mosquitoを使うことを想定して、ＰＣから不要なデバイスを外していくことで、どのぐらい省電力化できるか実行してみることにしました。

　実際に使ったのは、ジャンク屋で二千円で購入した中古ＰＣ（Panasonic社FX-ED01、右写真）です。ＣＰＵはAMD K6/200MHz、メモリーは32MBで、ビデオ編集パソコンとして作られていたせいもあって、ＰＣＩスロットにはＴＶチューナーとPCMCIAインタフェイスを備え、ビデオ・オーディオ端子はパネル全面に配置されています。安かったのはＰＤドライブが故障していたからです。他の部分は健在のようですが、ドライバー類が入手できないのと今としてはスペック的に弱いこともあって、ビデオ編集マシンとして再生することはあきらめて、そのまま押し入れの肥やしになっていたマシンです。

　右のグラフが消費電力の実測結果です。青が待機中、赤が負荷をかけた時の消費電力を示しています。
　オリジナルでは、待機中で２４Ｗ、最大で３３Ｗ近い電力を消費しています。これでは電源をつけっぱなしには、とてもできません。
　ＨＤＤとＣＤ−ＲＯＭを取り外し、ＰＣＩカードをＬＡＮカード×２に交換した時の電力が２番目の棒グラフです。駆動系のデバイスが無くなったせいか負荷時の電力が２５Ｗまで減少していますが、待機時では２１Ｗとさほど減っていません。
　Ｋ６は電力食いで有名なＣＰＵなので、ソケ７系で最も省電力なWinchip2に交換したのが、３番目の棒グラフです。待機時、負荷時ともに消費電力が激減し、１５〜１６Ｗ程度まで減らすことができました。
　さらにクロックを２００ＭＨｚから１６６、１３３ＭＨｚにダウンしたのが、４番目と５番目の棒グラフです。消費電力はさらに減り、負荷時においても１３〜１２Ｗ程度です。

　よけいなデバイスをすべて外し、ＣＰＵをWinchip2に交換することで、消費電力をオリジナルの半分以下、１０Ｗ強まで減らすことができました。ただ問題は、クロックダウンによる処理能力の低下で、ルーターとしての性能にどの程度影響するのか気になるところです。１６６ＭＨｚもあれば、そこそこ性能が出るような気がしますが、はっきりしたところは実際にルーターとして動作させてみないとわかりません。このＰＣでルーターを構築してから改めて評価してみたいと思います。

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