ポータブルCDプレーヤー用電源の製作

ポータブルCDプレーヤーの音質はかなりのものだ。 しかしその電源については意外と留意されていない。

1.単3電池は静かだが音に力がない。 鉛蓄電池(6V8Ah)も試したが音が平面的。

2.付属のACアダプターの音は元気がいいが雑味がある。 内部(SONY)をばらして見たが、整流に主体が置かれていて平滑コンデンサー容量が少なすぎる。 そのDCを本体の3端子レギュレーターに入力する仕掛けになっている。 他(Panasonic/Philip)の製品も同様。

そこで8年程前からポータブルCDプレーヤーのDC電源を試作して楽しんでいる。 同様の電源を友人に譲ったところ据置型CDプレーヤーより音が良くなったとのこと。 Panasonic SL-S350は公称4.5VでPhilips AZ6826は6V。 製作したアダプターはDC出力約8Vで4.5V/6V共用である。 数年使っているがなんら問題は出なかった(プレーヤー本体に3端子レギュレーターがあるため)。

余談だが、Philips AZ6826は光出力のあるトランスポートとしても使えるメカだが音とびが多く発生する。フロート機構(特にバネを保持するプラスチック部品)に難があるのをネットで知った。モータがだめになる前に保持機構のゴムやスプリングの変形で水平がでなくなり音飛びしたり読み取らなくなることが多いようだ。

CZ研究所の桑原氏発案の整流方式を基に製作した最近の回路は以下の通り。

この電源の特徴:

  1. トランス一次側に並列に入っているのが小山氏発明CZ。 コイルのDC抵抗値をpFに置き換えた値のコンデンサーCと同じコイル(もしくは抵抗)Zとを直列したものを該当するコイルに並列する。 コイル(トランス、MMカートリッジ、スピーカ)の過渡歪を取る働きがある。 二次側にも入れるのが本当だが省略した。 詳細は小山雅章著「レーコード・オーディオの革命」1984年鳳書房発行参照。 理由はともかく静寂の中から音が生まれる。 桑原氏はこのCZに感激してCZ研究所なるものを主催した。 
  2. 桑原式整流は片側のコンデンサーに充電中に一方のコンデンサーが放電できる画期的なもの(従来の方式では同じコンデンサーが充電しながら放電する無理がある)。 トランスのコイルと整流素子のばらつきにより1段目のコンデンサー入力電圧のDCバランスが心配だが、整流素子の降下電圧(0.6V前後)が効いているらしくDC差約2mV。 2段目整流素子のところでも同じく2mV程度。 最終段ブリーダー抵抗220ΩのところでACリップル電圧2-3mV、DC約8Vの仕上がりになった。 考えてみれば、従来のブリッジ整流でもトランスの巻線と整流素子のばらつきの問題はあったはずだが話題にされたことがないのは不思議だ。
  3. 2段目のコンデンサーは1,000μF以上あればOSコンでも良い。
  4. 2段目の整流素子は10Ω程度の抵抗に換えても良い。 そのばあいはp型整流となる。 4.5V用に15Ω、6V用に5Ωとすれば万全だろう。
  5. L1+R3は安井氏が推奨するもので高周波ノイズの混入を防ぐ。シャーシケースが誘導雑音の入口になっては拙い。

CDPの再生波形の問題は次のページへ:CDの再生波形


CD表面の補修

ちょっと摺れ傷が付いて読み込まなくなったり音飛びがする場合のrepair compoundとしてアクリサンデー研磨剤を使ってみました。本来はアクリル板の傷を治すものですが液体状で使いやすい。液をCDにたらしコットンパッドではじめは小さく丸をかきながら、仕上げはさらに水を加えて放射状に磨く、最後に中性洗剤などで研磨剤を落とすと再生可能になる場合がありました。CDの反射記録面は1.2mmの透明樹脂の下にあるので記録面が痛むわけではないのに音飛びがするので、フロッピーディスクのように直接手に触れない構造に何故しなかったのか、CD登場以来不審に思っています。耐久性があり過ぎると飽和して売れなくなるからでしょうか? 商売上は消耗してくれないと困る!

それにしてもコンピューターのドライブの方がオーディオ用プレーヤーより音とびに強いのは何故でしょう?CD-R/RWではなく普通のCDでも反射率が低いものがあるということでしょうか(外盤の新品CDで音とびがあって返品したことがある)? コンピュータのドライブのトラッキングサーボのほうがブロードに柔軟性があるように作られているのでしょうか? それとも先読み修正の仕組みが違っているのでしょうか? よく分かりません。


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