三嶺の自然


 まず、「三嶺」をご存じない方のために三嶺の紹介をします。
 三嶺は香美郡物部村と徳島県東祖谷山村にまたがる、標高1893メートルの魅力溢れる山です。この三嶺を中心に、南に白髪山、西に西熊山、綱附森、土佐矢筈山、小檜曽山と連なる地域は石鎚山周辺と並んで四国で最も自然林の残っている地域です。
その中でも白髪山、三嶺、綱附森で囲まれた地域は、麓から頂上まで大部分が原生林に近い状態で残っており動植物にとって貴重な生息の場所になっています。
ここの森林は、中腹以下にはツガ林とモミ林があり、またケヤキやトチノキの大木を見ることが出来ます。また少し標高の低いところにはアセビの群落もあります。中腹以上はウラジロモミやブナの多い冷温帯林になっており、稜線近くにはダケカンバの林も見ることが出来ます。三嶺一体にはフスベヨリ谷、カンカケ谷、ナガササ谷などの谷がありますがこの谷沿いにはサワグルミを主体とした渓谷林が発達しています。 徳島との県境の稜線はササとコメツツジの群落が草原的な景観を作っており、その素晴らしさは西日本一です。
特にこの地域は石鎚山系と違って道路によって自然の生態系が分断されるという事が少なく、四国で最も豊かな生態系が残されている地域といえます。
  この事はそこに棲む動植物だけでなく登山の対象としても好ましいことで、四国で唯一残された「麓から歩いて登る山」として貴重な存在になっています。また、原生林の中の沢沿いのコースや明るい稜線の笹原のコースといったようにバリエーションに富んだ登山ルートは、四国の東西の代表的な山とされている石鎚山や剣山以上の魅力を持っています。

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