畑山隆則
始めて見た時、正直びっくりした。
スパンコールの派手なトランクス、笑っている目。
相手の周囲を無駄な動きたっぷりに旋回し
これから起こる事態を楽しみにしているような表情。
まるで生命力が有り余っているようだった。
綺麗なストレート、抜群のタイミング、輝くようなスター性…。
ベビー・フェイスのこの若者は
ボクシングの「いろは」を全部、備えているのでは?
そんな気分にさせられた。
順調に連勝街道を突き進む畑山に最初の試金石が訪れる。
「東洋太平洋タイトル決定戦」
タイトルマッチに出場する選手は一握りの選手。
今までのように簡単に試合を終わらすことは出来まい…。
韓国の強豪にもやる気が充分に感じられた。
が、結果は畑山のワンマンショーだった。
3度のダウンシーンが次々とダイジェストのように繰り返された。
2RKOでの東洋タイトル奪取…
この華麗なKOシーンを見て、
「世界ですら、この選手は簡単に取るな」
筆者はそう確信した…
その頃からだろうか、畑山のボクシングにある変化がおこる。
無駄な動きがなくなったと同時に
急にストレートに伸びが感じられなくなった。
結果としてフック主体の連打タイプに変貌していく。
あれほど重視していたフェイントは影を潜め
まるで別のボクサーのようだった…
そのニュー・スタイルで世界に挑むも
終盤追い上げられてのドローで失敗。
そのまま消えそうになったボクシングへの情熱を
コウジ有沢との親友対決で取り戻すと再び世界挑戦へ。
前回同様、ガチャガチャの消耗戦となったが
微妙な判定は畑山に!
この試合、念願の世界を獲るには獲ったが
決してアピールするような内容ではなかった。
初防衛戦もダウンを奪われての判定勝利とピリッとせず。
ついには操り人形の紐が切れたかのように衝撃的な陥落…。
畑山のボクサー人生、そのものに疲れと黄昏が感じられた。
「引退します」
後日、あっさりとした引退会見が行われた。
…が、彼はリングに帰ってきた。
そして復帰戦が
いきなり世界の舞台となる、夢のような幸運も掴む。
が、1年ものブランクに加え、未知の階級での試合…
周囲の心配をよそに畑山は
ライト級での自分の肉体に
密かな手応えを感じていた。
対する王者は坂本博之を5RTKOに退けている技巧派、ヒルベルト・セラノ。
苦戦が予想されたこの試合、畑山は万全の体調でリングに立った。
そして減量苦から開放されたその肉体からは
以前の数倍ものパンチの切れが感じられた。
作戦面でも、セラノVS坂本戦での教訓を充分に生かす。
常に頭を動かし、中途半端な距離を徹底して避けた。
結果、序盤から有効打をバシバシと決めた畑山。
中盤を迎える頃には、ロープからロープへと
ダメージの残る王者を追い立てまくった!
ついには8R、3度ものダウンを立て続けに奪う快挙!
文句なしのKO復活劇を演じたのだ!
リング上で「次は坂本選手とやります!」と宣言した畑山。
その魅力ある瞳が一層、輝いてみえた。

ファンにとって最高のカードではないだろうか…
(ちょっともったいないかも)

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