西沢ボクシングジム

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九日目

今回は直樹、川村君、高橋君が参加。

半沢君は夏休みで九州に里帰りしているとの事。
改めて学生の夏休み、貴重だったなぁ〜と思いました。

今回はまず最初に前回のスパーの様子を
ムービーで確認してから練習を開始しました。

良かった点、悪かった点をよく思い出してから
近い階級のプロ選手の試合で勉強。

今回は協栄ジムのホープ、佐藤修選手。

彼を選んだ理由は容姿もかっこいい点。
中学生にとってかっこいいというのは憧れる第一要素。

ボクサーってかっこいい!
と感じて欲しかったので選択しました。

そしてガード状態から返す左のスピード、
頻繁にボディへ伸ばす左のフック、
決して相手から目を離さない集中力…

安定した総合力でジワジワと追いつめるそのスタイルは
基本の大切さが詰まっていて資料としても一級品でした。

今回のスパーでは川村君の勇気に感心しました。

ミニマム級のリミットにすら達していない小さな体にも関わらず
私や直樹にビッグパンチを狙ってくる瞳は恐怖を克服しつつあります。

特にダッキングで相手のパンチをヒョイと避ける術を覚えたので
相手の動きをよ〜く見れるようになってきたのでしょう。

接近する際も工夫が感じられて
フックを大きく振りながら突進、
相手がガードで対処しようものなら
次なる攻撃を外から振るってきます。

正直、倒すほどのパンチ力はないのですが
優れた当て感というのでしょうか、
とにかく避けずらい軌道で飛んできます。

打たれ弱さはありますが
ピンチを脱するためのクリンチも
状況によって多用するようになりました。

川村君の弱点はやはりスタミナでしょう。

肉体的なスタミナ不足というよりは
その戦法が体力を使いすぎるのでしょう。

次回の課題として残りました。


長いリーチの高橋君は今回は悩みまくっていました。

直樹とのスパーで1分持たずに倒された後、
かなりのショックを感じた様子です。

相手の接近を防ぐことができない、
パンチが怖いので相手から目を逸らしてしまう、
下を向いている間に強打を浴びてギブアップ。

このパターンからどうしても抜け出せない自分…

一時間くらいの休憩の後、
高橋君は復活するための一言。

「もう一度、基本からお願いします!」

高橋君の意外な申し出に私も燃えました。

まずなぜ劣勢が続くのか
私も改めて親身になって考えました。

今までは手数で相手の接近を防ぐ方向。
しかし、実際は相手が怖くて手数が出なかった。

よって手数で相手の接近を防ぐスタイルは中止。

危険の少ない左ジャブを突きながら
フットワークで移動し続けるスタイルで
ここぞのポジションで右を打てたら…

私はこの方針に決めた。

まず高橋君の左ジャブを再確認。
打つと同時に必ず下がる右ガード。

遠距離時のジャブで怖いのは
相手の相打ちか右ストレートカウンター。

そこで鼻の前に右ガードを固定、固定、固定(しつこく)。

次に左ジャブを放つ際に必ず一歩踏み込む癖。
これによって打つたびに接近してしまい
苦手な距離に自分から踏み込んでいました。

状況によっては手打ちでも構わないので
攻防一体化した左の使い方へと方針変更。

重心移動を少なくして
いつでも打てるイメージ。

前方に突き出すような構えで
触覚的な意味合いも与えてみました。

元々、彼の左にはパンチ力がないのだから
とことん機能性を重視した方が
幻的存在の強い右ストレートが生きるはず。

しばらくは直樹とのスパーを控えて
このスタイルを成熟させてみます。

最後には笑みも戻っていたが
相当落ち込んでいたので
次回から丁寧な指導を心掛けて
どうにかして這い上がらせてあげたい!と思っています。


前回、接近戦で私を攻め続けた直樹。

今回の私は、通常よりも右肩を少しだけ前にして
より右ストレートをイメージさせて
直樹にプレッシャーを与えるスタイル。

左一辺倒だった私が右を加えたので
直樹も接近のタイミングがつかめない様子で
度々、強打も浴びて劣勢が続きました。

どうにか直樹が接近したとしても
カウンター気味のクリンチ(意味分かります?)で
直樹を即座に捕まえて、とにかく思い通りにさせない私のボクシング。

これまでと違うパターンに
直樹も勉強になったと思います。


そういえば、我孫子からジムを訪れた野村君!
平日で私がいなかったのでそのまま
帰ったそうだけど、是非また来てください。
今度は事前に連絡をくださいね!
(みんなも待ってるからね!)

近日、参加してくれそうなテツさん、
愛知から文書と画像で参加してくれる竹田さん、
今後ともよろしくお願いします!

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十日目

今回は直樹、川村君、半沢君の3人が参加。

まず最初に私の作成した通信簿を渡して説明。
(それぞれの良い点と悪い点を数項目ピックアップして
それに対するアドバイスをまとめた書類です。)

結果から考えるとこの作戦は大成功でした。

いい加減に戦うだけでなく
それぞれが課題をもって考えながら
練習していたように思えます。

直樹は左のガードを上げたことで
被弾する率が激減したし、
半沢君はとにかく形になってきた。

強いパンチをスムーズに繰り出せる半沢君だが
どうも戦略というか、ただ攻めているだけといった様子。

初心者相手ならこの勢いでどうにかしてしまうのだが
直樹が相手だとガードで凌がれた末に反撃を受け、
段々とペースを奪われて最後はストップされてしまう。


守り凌いだ直樹が半沢君を大きく泳がした一撃!

私・「どうして半沢君はそんなに攻め急ぐんだ?」
半・「相手に打たれるのが怖いから、攻め続けるしかない。」
私・「なるほど…」

半沢君は自分の防御に自信がないから
追い込まれての攻め急ぎだったようだ。

今回は半沢君の防御を一から練り直すことにした。
とにかく私の攻撃を防ぐように指示してスパー。

現状では…
・ガードが浮いている。
(頭部にグラブが接していない)
・スウェー時に上体を逸らし過ぎ
(次の動作に移れない)
が目に付いた悪い点だった。

じっくりとアドバイスしてから
さらに時間をかけて防御の練習続行。

(見てさえいればもらわないぞ…!)
こう思ってくれたと確信できたところで
次は反撃のタイミング指導。

まずは私の打ち終わりを狙わせてみた。

「いいぞっ! そウッ!(…やば♪)」

練習なんで食らわなければいけないのだが
ムチャクチャ油断してたらカウンター気味に
ボディを食らってしまった。

(教えてないタイミングなのに…)

元々パンチがあるのだから
半沢君は、ガード→反撃スタイルで
しばらく様子を見ることにしました。

(あ〜 久々に効いてしまった…)

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十一日目

前日の朝に我孫子から電話が!
「ボクシングをやりたいんですけど…」

以前、ジムまで来てくれたのに、私と会えずに
泣く泣く帰ってしまった野村君と連絡が取れたのだ!
(よかったぁ〜)

バス停で待ち合わせ、午前中の日差しを浴びながら
汗だくで走ってくる中学3年生の少年…
(降りる場所を間違えてしまったみたい)

身長166センチ、体重70キロ、焼けた肌、
上目遣いの面構えはなかなか根性もありそうだ。

「すいません! 間違えちゃいました!」

色々な中学生と会っていつも最初に思うのは
世間の評判よりもみんな礼儀正しいナイスガイって事だ。

(「最近の若いもんは…」ってボヤく大人が多いけれど、本当は
その大人本人にも知らず知らずに原因があるんじゃないかな…)

サッカー部で脚力を鍛え済み、球技全般を得意とし、
そしてなによりもボクシングマガジンを読んでいる…

柏の某ジムに通ったが、中学生はあまり相手にされなかったという。

軽く準備体操をして、色々な説明をした後に
早速、現在のボクシングレベルを確認してみた。

左利きサウスポーでどっしりと構えると
さすがにミドル級、迫力がある。

ガード時に脇が大きく開いているのと
左攻撃時に右ガードが派手に下がるのを矯正。

サンドバックを叩くと部屋が大きく揺れた。
(こりぁ、スパーで教える時、俺自身注意しないとな…)

ストレート系のパンチはまずまずだったが
フック系はいまいち拳に体重が乗らない。

腰を回転させること、肘を伸ばす瞬間は不要なこと、
フック系は頭を下げて打たないと危険が伴うこと…
(これらはまだ、改善が不十分な状態です)

ガード、防御を混乱しない程度に説明し、
早速スパーをしてみた。

まずガードでそのパンチを受け止めてみると
ミドル級の衝撃力に私が驚いた。

「こりゃ危険だ…」

避けてばかりでは練習にならないので
多少の被弾を受ける覚悟で
色々な攻撃を仕掛けてみると、迎撃をきちんとこなす野村君。

特に私のボディ右ストレートに
左のストレート迎撃を合わせてくるのが秀逸。

右ジャブのリーチが短いのに加え
打点も近く設定している様子。
結果としてリード攻撃はほとんど機能していないが
とにかく迎撃する意識が強いのでまずはボクシングになっている。

リーチが短い付加要素として、
ボディまで肘ガードが届いていないので
とにかく今後ともボディを打たれやすい宿命にあるだろう。

それを理解させるためにサイドから何度もボディフックを入れたが
どういう訳か、「効いていない」との答え。

逆に顔面を叩くために打ったボディへのフェイントが
手打ちでみぞおちに軽くヒットしたのだが
これは不思議なくらい効いたみたい…

改めて人体の不思議?を感じてしまいました…

一通りの確認をした時点で
私は直樹とのスパーが可能だと判断しました。

休憩しながら、高橋ナオトvsマーク堀越を観戦。
直樹と川村君の到着を待つ。

「なんか緊張してきました…」

野村君もHPで読んで知っている相手なだけに
直樹とのスパーを前に緊張気味だ。

そして、直樹チームが到着…

「こんにちは…」
「はじめまして…」

私の戦前予想では
スタミナと一発の力は、野村君が有利だと思う。
(が、初心者に多い特徴、打たれると止まる癖がまだある。)

距離感、スピードは直樹の圧倒的有利。
ボクシング知識も直樹が上だろう。

が、直樹は自分よりも大きい相手との
スパー経験が私以外にない。

ミドルとバンタム(選手でいえば辰吉と竹原)、
この階級差がどんな影響を与えるのだろうか…?

私は危険なシーンは即座にストップする覚悟で
両者に集中力を切らさないように注意を促す。

「カーン!!」

まずは直樹がジャブで先制を狙う。
それをバックステップで凌ぐ野村君。

次の展開に入るのが早いのは圧倒的に直樹、
ちょっとだけ野村君が半身になったのを見逃さない。

私には察知されて当たらない右ストレートが
理想的な角度でいきなりヘッドギアを揺らす!

そして更に体勢を崩した野村君。
ガードを固めるのが精一杯か?

直樹は落ち着いて、ガードの隙間に
テンポよく回転力を生かしてパンチを捻じ込む。

今、ビデオで再確認したが
その命中率は100%である。


直樹の右ストレートが野村君にヒット!

「ストップ!!」

開始、数秒で私はスパーを中断させた。

野村君はその攻撃力を生かす展開に持ち込みたくても
直樹の圧倒的なスピードを前にタイミングがつかめない。

休憩、アドバイス、スパーリング…

直樹はその度に野村君の出鼻を挫いて
ストップに持ち込む。

「ストップ、終了!」

幸いなことに野村君は気落ちしていない。
「やっぱ強いッすね!」
素直に現状での敗北を認め
勝つための方法を私に質問してくる。

「俺、スピードが欲しいんですけど」
「ジャブのリーチを長くしたいんですけど」

スピードはまず、速く動く!という意識が大前提。
やってみなくして速い動作は当たり前に無理。

リーチはフォームを半身気味にするか
肩を入れるようにして打つ方法を説明。
(小林光二のジャブみたいに…)

最後にサンドバックやパンチングボールで
汗を流してから、野村君は初日の練習を終えて
我孫子へと帰っていった…

(6時間近く動いたから疲れたろうなぁ…)

私も緊張の糸が切れて突然疲れてしまい
その後に12時間も爆睡しました。

起きたら仕事の時間だったので
なんだかショック…?

(知らないうちに直樹達は帰宅してました)

野村君、いい顔してたなぁ。
きっと強くなるはず♪


次回、もっと強くなっているはず! 我孫子の野村君!

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十二日目

練習予定のないある休日…

「あと少しで休日も終わりかぁ」

グラフでボクシングを製作しながら
な〜んとなく過ごしていたら
突然の来訪者が現れた!

「インターネットを見て来たんですけど…」


青年の名前は庄子君25才。
(パッチリした目と礼儀正しい話し方が印象的)

「ここ何年か空手をやってます。
食品会社に勤めてます…。」

まずお互いの自己紹介、簡単な説明をしてから
練習着に着替えて早速動いてもらうことにした。
(時間もなかったので急ぎ足…)

サンドバックを前に彼が披露した動きは
ある意味、初心者とは思えなかった。
(が、ボクシングとはまた別物に思えた)

173cm、67sのアップライトから放たれる
力強くノーモーションでシャープな左ジャブ。

腰が見事にクルッと回転しつつ、
後ろ足の蹴りも完璧に効いている右ストレート。

必死でサンドバックを抱えながら
私は不思議な思いを感じていた。

「このパンチはどう考えても初心者じゃない。
でもこれだけ凄いパンチがあるのに…?」

常に重心が完全に中央なので
相手の攻撃に応じて動ける様子はない。

スムーズにスウェーやダッキングに移行できないのだ。

ガードは完全にアゴの下、胸の辺りに
浮いたままの状態で
パンチの防御としては急所を露にしすぎる。

力むたびにアゴも完全に浮いていて
どんな一撃でも効いてしまうのが予想された。

強力なストレートと比べると
明らかに全然体重が乗らないフック。

そしてスタミナの使い方も明らかに
オーバーペース気味で
長期戦を想定していないのが感じられる。

悪い点ばかりを普段よりも厳しく上記に書いたが
それだけ攻撃力とのギャップが激しかったのだ。

そして指摘すると直そうとするのだが
数秒後にはまた元に戻ってしまう…

どうやらもうこのスタイルが
身に付いてしまっているようだ。

いくつかのトレーニングを急ぎ足で
こなした後に早速、スパーを行うことにした。
(庄子君は格闘技経験者なので)

まず上体を柔らかく使う利点を教えるために
私は攻撃せずに防御動作に徹して
パンチを当てる難しさを感じてもらおうと思った。

「!」

(が、私が思った以上に彼の攻撃が
ノーモーションでシャープだったので
完封とはいかず結構貰ってしまったが…)

「やっぱ当たらないです…。」

「でも今までの練習生の中だと
一番当たってるほうだよ。OK!」

次に私も攻撃を交えてスパー。

私もアップライトに構えて軽く迎撃を試みる。

が、なんとアップライトでの突き合いだと
物凄い圧力と危険を感じてしまい
結構、ステップやダッキングで
誤魔化しながらのスパーとなった。

私がボディとかフックで攻める時は
大体ジャブの制空権が取れなかったときだ。

今まで自分よりも高い位置から
飛んでくるストレート系攻撃と対面してなかったので
新しい気持ちでとても楽しいスパーでした。

結果的にサンドバックを叩いた時に感じた
庄子君の弱点は全てスパーで露呈した。

私は丁寧にそこをついて危険を
できる限り安全に?教えたつもりだった。

「…」

スパー後、休憩しながら
私がボクシングの説明をしていると
庄子君は深く考え込んでしまった。

「…どうしたの?」
「実は俺、空手じゃなくてテコンドーの選手なんです。
もう5年もやってるんです…
今回はパンチ攻防の習得をしたくて来たんです。
ボクシングがメインじゃなくて
今後もテコンドー一本で考えています。
すいませんでした。」

なぜか申し訳なさそうに語る庄子君。

そして全ての弱点に意味があることが判明した。

上体が立っているのは
キック攻撃を出すために仕方がない。

上体を柔らかく使うと逆に
キックを出せなくなってしまう。

ガードは相手の蹴りに対応するために
あえて中空に浮かせておいた。

ガードを固めると相手の蹴りを
確認できないので非常に危険。

そしてテコンドーの世界ではフックが反則…

「そっか…」

頭の中で全ての謎が解けたような気がした。
そして、ボクシング技術を覚えてしまうと
テコンドーに悪影響がある可能性もお互いに感じた。

「でもね、俺も今日は凄い勉強になったよ、
本当にありがとう!」

最後にサンドバックに
テコンドーの攻撃を
(せっかくだし)入れてもらった。

「バスンッ!!」
(…こりゃ危険だ。)
「次、コンビネーションです。」
(なぬ?)
「ズドッ!ズドッ!バスンッ!!」
(ぐぇ!ストUみたいな回し蹴り!)

恐らく私がダッキングしながら
パンチを避けまくっている時、
彼は膝蹴りを入れたかったんだろうなぁ…

私にステップで距離を取られた時は
ロングで蹴りを使いたかったんだろうなぁ…

どう考えてもテコンドーのルールなら
私は完璧に倒されているでしょう。

やはり同じ格闘技でも全然
方法やフォームは別物ですね。

新鮮な気持ちを私に与えてくれた庄子君。
お互いに違う世界だけど今後とも頑張ろう!


テコンドーの現役選手である庄子君。

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