西沢ボクシングジム

ボクシングのゲームの区切り画像

十三日目

高校三年生、175cm、70キロ、拳法の現役練習生。
(最近、西沢ジムも異種格闘技みたくなってきたなぁ…)

今回の新練習生、小島君はガッチリとした体格から
ノーモーションの左右ブローを放つ本格派スタイル。

プロボクサーとのスパー経験も豊富とあって
すでに初心者のレベルは突破していました。

今回はフックに対する防御・攻撃を覚えたいとのこと。

経験者ということもあって
ちょっとしたフォームの確認をしてから
早速スパーリングを開始しました。

まずはボクシングの基本である
上体の柔らかい動きを体験してもらうために
最初のスパーは避けるスタイルで対応した私。

スパーリング 会長 vs 小島君 → スパーリング動画(消失)

旺盛な手数で攻めてくるデカイ相手の圧力は
さすがに厳しかったが、段々と穴がはっきりしてきた。

必ずワンツー・ストレートで繋げる忠実なスタイルなので
ダッキングで上空通過させるのが容易である点。

結果的にダッキング状態の相手に繰り出すべき
アッパーがないために空転を繰り返してしまう。

ただしアグレッシブな攻撃に加え前進意欲もあるので
こちらの打ち込む隙がなかなか見当たらない。

唯一、打ち終わりに体が立つ癖があるために
その瞬間を2度ほど確認してから
3度目にフックを入れて最初のスパーはストップ。


打ち終わりの隙に左を地道に当ててます(地味)

「やっぱ、当たらないですね。
自分のパンチ、読めますかね?
それに…」

スパーの内容や状況を克明に語り
どうすべきかを相談してくる小島君。

その内容も実に的を得た質問ばかりで
意欲も去ることながら向上心を感じることができた。

次に課題となるフックをサンドバックに
存分に叩き終えてから2度目のスパー。

私も距離を置いたらフックの練習にならないと考えて
敢えて近距離でガードを固めてのスパー。
(70キロ相手に正直怖さもありましたが…)

そしたら小島君、本当にガンガンに打ってきました!
ガードをしている私が左右に揺れるほどの強打で…

ガードはできているのでダメージはないのですが
とにかく腕が痛くなりました。(今も痛いし…)

星野選手が横山選手との試合で多用していた技術で
ガードした直後にガードした方の腕で即座に反撃する
「ガードアタック」なる技術を試そう、
と私はスパー前に企んでいました。


小島君の右ストレートが私のガードを弾き飛ばす!

が、実際はミドル級のパンチをガードすると
体勢が崩れてしまって「アタック」ができず。

結局、いつもの打ち終わりを狙う戦法に…

小島君はある程度の実力があるので
今回は私もスパーを楽しむ感覚でした。

私の左ジャブに相打ちでストレートを合わせてきたり
打ち疲れの兆候を見せつつ両腕を下げながら
アッパーやストレートでカウンターを狙ってきたり…

痛打を受けるとすぐにワンツーで返してくるなど
打たれ慣れも充分に感じられました。

「福島学がリードパンチにアッパーを使いますよね?」
とか技術的な質問と知識もあったので
私もボクシングマニアとしても楽しんでしまいました。

帰り際にはパソコンの面白いソフトをダウンロードしてくれて
ボクシング以外にも大変、役に立った一日でした。
(ありがとね、小島君)

次回は小島君と直樹のスパーを予定。
こりぁ直樹も苦戦するぞ…?
なにより彼にとっていい練習になるはず。

(また楽しみが増えました♪)


熱い語りの小島君、素顔は研究熱心な策士だ!

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十四日目

諸事情で休止状態にあった西沢ボクシングジムだが
掲示板での励まし、メールでの応援により
諸事情が解決しないままとりあえず?再開しました。

久々の活動とあって練習生もガンガンと参加してくれて
最大定員の4名を大幅に越える7名が押し寄せました。

前回の練習直後、防御技術が向上したとの
報告があった小島君(高3・174cm73s)だが、
実際にシャドーを見てみると正に別人だった。

やや後方気味に置かれていた重心が
融通の利く前傾姿勢採用により
ボクサー特有のフォームになっていた。

フォームを変える指導をこれまで何度も行ってきたが、
本当に直った!と思えるような練習生はいなかった。

が、小島君は本当に直したのだ。

別のジム(道場)にも通っているだけあって
やはり向上心が強いんだなぁ…と感心してしまった。

ちなみに今回の参加してくれた練習生の中で
キャリア、体格、年齢ともにトップレベルの小島君。

彼には一練習生としてだけでなく、
コーチとしての参加も練習前に依頼。

後から来る彼が初めて会うメンバー達にも
気さくに話し掛けてくれて
いい雰囲気のジムを演出してくれました。
(風邪で体調不良だったので本当に助かりました)

最遠方である我孫子市からきたサッカー少年、
野村君は今回、友達(同級生)を連れてきてくれた。


植木君はスマートな体形(48s)で
スラ〜リとした見事なボクサー体形。

多くを語らない物静かな色白少年で
格闘技経験なし、正真正銘の初心者でした。

野球部に所属しているとのことなので
打席と同じオーソドックススタイルに決定。

サンドバックに左ジャブを打たせてみると
蚊も殺せないようなジャブが飛んできた。
(ん〜 どうしてだろう…?)

原因は狭すぎるスタンスにあった。

薬師寺に代表されるヒョロ型ボクサーが
大成するかどうかの重要な点、
個人的にはスタンスの広さだと思います。

背が高い選手ほどスタンスを狭くして
身長を有効に活用しようとするのですが
これこそが大きな落とし穴だと…

狭くするとフットワークがぎこちなくなってしまい
長いリーチを生かすための距離調節ができず
止まったままジャブを打つのでカウンター負け。
(これまで何人、このパターンを見てきただろうか)

ヒョロ型ボクサーこそスタンスを広く取って
縦横無尽にリングを動き回って
そのリーチを存分に生かすべきなのだ。
(薬師寺保栄・横田広明が国内成功例)

このことがぱっと頭に浮かんだ私はすぐさま、
スタンスを野球内野手の守備時よりも
ちょっと狭い程度、と広すぎるくらいに指導。

そして移動する習慣をつけるために
独自のトレーニングを繰り返した。

植木君がサンドバックを叩くと
たまに私が「バックステップ!」と叫ぶ。
それに反応して即座にヒョイと下がる瞬発動作を
まだ初心者の肉体に根強く染み込ませたのだ。

(両足でピョンと跳ねてステップしていたので
常に片足は地面に設置しているように指導。)

ここで植木君のある特徴に気がついた。
指導すると確実に直すという優れた吸収力だ。

口数が少なくて動きもノソ〜としてたので最初は
「野村君に無理やり連れて来られちゃったのかな?」
と仕方なくついてきた少年かと勝手に想像していた私。
(その静かな闘志に俄然、熱が入ってしまった…)

ジャブが使える程度に切れてきた頃に続く右ストレート。
これがまた派手なテレフォンパンチ。
(電話をかけるように拳を耳の横まで下げてから打つ)

これでは相手に察知されてしまうので
ノーモーションの重要性を説明して修正。
(やっぱりすぐに修正、成功!
この子は教え甲斐があるぞ♪)

次に伸びる右ストレートを打たせたら
これがまた「ぐわぁっ!」とよく伸びる。
(むっ… こりゃ使える!)

指導開始からたった数分、
ド素人がきれいなワンツーボクサーに!
(やっぱり指導、面白いですよ♪)

更なるミット打ちトレーニングで
移動もスムーズに行うようになってしまう。

逃げていくミットならワンツーで追っていき、
迫ってくるミットならジャブで牽制しながら後退・回避。

ロープに追い詰められたら3パターンの行動を準備した。

@サイドステップによる回避行動。
A体ごと低く入ってクリンチ動作。
B唯一の接近武器、右フック迎撃。


指導の結果、植木君はのちのスパーでも注意点を守り、
私の期待を超えた見事なボクシングを披露してくれる。

左ジャブ、右ストレートで遠距離を制し
相手の強い接近意志に対しては
フットワーク・迎撃を駆使して遠距離戦をとにかく維持。
接近戦になったらすぐに頭のチャンネル変えて右フック迎撃。

上記、4行だけで説明できるシンプルなボクサーは
数分後にジムに到着した経験者達をキリキリ舞させるのだ…!


直樹・高橋君・半沢君・川村君の中二軍団が到着、
自己紹介のあと準備運動を入念に行った経験者組。

私が指名した組み合わせで次々と行われていくスパー。

最初に登場した参加2度目の野村君、
上下の打ち分け中心にその強打を振るい
高橋君と半沢君をストップさせ、成長をはっきりと証明した。
(が、体重差は20sあったので当然と言えば当然。
危険もあるので早めのストップで対処しました。)

そして、野村君vs直樹戦。

前回の一方的な防戦を繰り返さないために
様々な技術を伝授して迎えた今回のスパー。

野村君は緊張感溢れる表情でゴングを待つ。

序盤のジャブ差し合いから物凄い打撃音、
他の練習生の熱い視線を集めながらの攻防…

(こりゃお互いに気合入ってるぞ!)

軽いジャブのヒットを奪った直樹が前回同様に
ラッシュの体勢に入ったが、野村君は落ち着いてクリンチ。
(よし、成長してる!)

野村君が時折返してくるストレートを警戒して
中間距離でのジャブ攻防を重視している直樹。

徐々にジワ〜ッと増してくる直樹の圧力は
ラウンドのラスト10秒に強烈カウンターとなった。

16オンスでは滅多に見られない
横倒しの痛烈ダウンシーン!
「 野村君! 大丈夫かっ!!」

が、私はその表情を見て安心した。
鼻血を出しながらニヤニヤしているのだ。

「やっぱ、強いわ…」
きっと前回よりも戦えた自分に満足したのだろう。


次は初心者、植木君の初登場。
友達の奮闘に熱くなっているかと思ったら
意外にも平常心を保っているようだ。

初戦、人生初のスパーは高橋君が相手。

高橋君は20分前に野村君の連打を前に
下を向いたまま固まってしまいストップ負け。
(体重差があるのである程度は仕方ないが…)

どうしても下を向く癖が直らないので
最近は完全に伸び悩んでいるが
今回はキャリア、体格ともに植木君を上回っている。

(上昇のキッカケになれば…)

開始ゴングから堂々としていたのは植木君。
教えられたとおりにジャブを伸ばして
右ストレートをグイッと伸ばして様子を確認する。

たったそれだけで高橋君はもう手が出ない。
あまりに闘志がないというか、これじゃ誰とやっても勝てない。
厳しいようだが、やられるために戦っているようだ。

思い起こせば初日から進歩の少ない高橋君、
今日が初日の植木君の右ストレートを浴びると
再び下を向いて固まる癖に陥った。

そのまま、連打を浴び始めたので即座にストップ…

指導者として自分も今、困っています。
下を向いて動けなくなる選手に
どんな指導をすべきなのか…?
なにかアイデアがあればこちらまでお願いします。

初戦をストップで終わらした植木君は
興奮もせず息遣いも荒れていないので、連続でスパー。

続く半沢君は数分前のスパーで
口内を切っているのでちょっと迷ったが
本人に確認すると「できる」との答え。

強烈ボディを会得している半沢君の接近戦が
vs植木君スパーの結果を左右すると想像した私。

半沢君は強引に距離をつめ、接近に成功する。
(これは半沢君の距離だ…)

が、植木君は私の指導を思い出して
ちゃんと頭の中のチャンネルを切り替えた。

力のこもった右フック迎撃で
半沢君の側頭部・ボディに強打。

打ち返す半沢君だが勢いは植木君だった。
ガード姿勢で動けなくなったところでストップ。

人生2度目のスパーもストップで終えた植木君。
(上々すぎるスタートではないか?)


3戦目は休憩を挟んでから川村君。

常に体格が上の相手に善戦を見せる川村君は
これまでもここ一番で素晴らしいファイトを演じる。

今日のスパー前でのミットでも切れが増していた。
(これはいいスパーになるだろうなぁ…)

タイプは正反対なのでどちらかの一方的な展開も予想された。

同階級スパーの開始ゴングと同時、
危険な遠距離を嫌った川村君は
頭を振りながら果敢な前進を選択。
(さすがに自分を知っています)

植木君もワンツーで食い止めようとするが
さすがに川村君は恐怖感に慣れている。

オーバーハンドが大きく弧を描いて
植木君の側頭部にヒット。
見えなかったパンチだったが
怯まずに右フックで応戦する新人、植木君。

が、ここで川村君は攻勢を休めない。

これまで直樹や私とやったスパー経験が
生きているのがマジマジと感じられる。

忙しく上下に打ち分けて主導権を渡さない。
(さすが経験者だな…)

ここで植木君も覚えたてのクリンチで
展開と距離を振り出しに戻す工夫を見せた。
まだ混乱の極地ではないようだ。

再開後、同じように接近する川村君だが
今度は頭が動いていなかった。

植木君の伸びる右ストレートが直撃!

「!?」

倒れ癖のある川村君だけに
ゴロンッといくか?と心配になったが
ここは川村君も怯まない。
(初日の練習生に負けてたまるか!)

得意のオーバーハンドで迫るが
大きく空振りをして一回転。
即座に戻ってボディから顔面、
まさにアグレッシブ、必死の攻勢を止めない。

やっと見つけた同じ階級の練習相手に
存分の成果をたたきつけている姿はグッド。

が、残り一分で課題のスタミナが切れてくる。

闘志はあれど肩で息をするファイタータイプは
中途半端な前進力なのでカウンターの対象となるだけだ。

ラスト30秒付近で息が切れていない植木君が
もう一度主武器の右ストレートを放つとこれが直撃!

疲れた川村君は一瞬下を向いてしまう。

ここで動かなかったらピンチだったが、
ガムシャラな前進が彼を救ってくれた。

「ラスト10秒!」の声に奮起した川村君は
空のタンクに鞭打って再びオーバーハンド。
(何度も練習してたもんなぁ…これ。)

新人の植木君はまたも無反応で食らう。
(のちに「全然、見えなかった」とのこと)

互角のスパーはここで終了。
「お疲れ! いいスパーだったよ!」

両者ともにきちんと「ボクサー」でした。
次の対戦も楽しみです。


休憩を置いてから行われた続く植木君vs直樹は
ボクシング・スパーの怖さを感じてしまった。

これまでの対戦者とはレベルが違う直樹。
彼を前にして植木君のスタイルが通用するのか?

初日の新人に負ける訳にはいかない直樹は
落ち着いたボクシングで向かい合う。

遠距離から飛んでくる植木君のストレートを
ヒョイと避けると圧力をジワリとかけていく。

下がる植木君を強引に攻めるか?
と思われた直樹は距離維持で圧力押し。

ジャブで植木君をコントロールにかかる。
ここはさすがに役者が違うと実感しました。

そして頭の位置が動かないのを確認すると
直樹は強い右ストレートを決め打ち。

植木君の顔面の中央をバスンッと打ち抜いた!

ここで固まるかと思われた植木君は
我に帰ったようにサイドへ逃げる。
(逃げるだけでも偉い!)

が、直樹は距離を遠ざけず近づけず。
同じような圧力で優位を逃さない。

同じような右をビデオ再生のように直撃。

「ストップ!!」

私は叫んだが直樹は更に追撃。
同じ右ストレートが更に顔面を弾いた。

後頭部用氷枕とオデコを冷やす氷嚢をすぐに用意して
ダメージのある植木君をソファに横にして色々と話を聞く。

「どうすればいいのか、
分からなくなりました…」

大丈夫そうなので次は直樹。

「確かに内容は良かったが、
ストップのあとに打ったのは絶対にダメ。
これから気をつけろよ!」
(今後は私も声だけでなく体で止めます。)

故意ではなかったが、厳重注意しました。


この直樹も20cm・20s上の小島君にはストップを食うが
これはスパーを組んだ私もちょっと冒険過ぎたかも。

でもこれで直樹の弱点も見えてきました。

変な距離で動かないようなシーンがあって
右ストレートの直撃を食らうシーンが目立ちました。

自慢のラッシュ時も小島君の絶妙な反撃を受けたので
そこから弱気がでてきて、独特の動きが止まり気味。

だから収穫のあるスパーだったと思います。

他にも野村君のファイト溢れる直樹とのスパーは
2戦をどちらもダウンで終えましたが
決して恥ずかしい内容ではなく成長を確認できました。
(直樹から好打を奪うシーンもありました。)


接近戦、野村君が直樹のボディに左をヒット!


充実した内容の久々のジム活動。

初日にしてボクシングが機能していた脅威の新人、植木君、
技術指導や雰囲気の面でも助けてくれた小島君、
体格差こそあったが初めてのストップ負けを経験した直樹、
ファイト溢れるスパーでかっこよかった川村君、
そして「もっとやりたい」と何度もスパー志願してきた野村君…

満足した気分だったが指導者としては
高橋君と半沢君の不調ぶりを忘れてはならない。

下を向く「怖がり症候群」は果たして直るのだろうか?
ダメだと注意しても「怖さ」だけはどうにもならないのだろうか?

アイデア、なにもなし。
指導者失格だよ、これじゃ…

ボクシングのゲームの区切り画像

十五日目

今回は来る予定だった直樹達が
都合が合わなくなってしまい
急遽キャンセルとなったので
我孫子から野村君と植木君の参加。

2名だけとなりましたが
実は前回の練習後、
「元のように少人数で指導したい」
と薄々ながら感じていました。

総勢7名でスパーリング大会となり
大盛況で終わった前回の練習も
もちろん楽しかったのですが、
エキサイトするシーンが多すぎて
(全体的に防御意識が足りなかった)
技術的にはまだ指導が足りないと痛感しました。

そして成熟してから再び
「西沢ジム スパーリング大会」
を開催すべきでは…

という訳で今回はじっくりと指導に集中。


片道約1時間の長旅にも疲れを見せずに
すぐに練習開始を志願する二人は現役受験生。

数週間後には運命の本番だという。

今日は受験ストレスをガーンッと
発散してもらおう、と思いました。


早速、サンドバックでフォームの再確認。

植木君は得意の右ストレートが
テレフォン気味になっていたので
まずそれを修正してから
片方のガードが下がる癖も指摘。

これで前回のピーク時のフォームに戻りました。
(大抵の練習生は同じような傾向があります。)

野村君はフックを打つ際に
拳にうまく体重が乗らないので
それを今回は修正しました。

体の傾け方が逆(?)だったのを訂正して
更にロングフックをミットで新たに指導しました。

野村君はパンチはあるのですが
攻撃の射程距離が短い傾向があります。

そこで前足を大きく前方にスライドさせながら
頭の上に右拳をスイングさせる派手な攻撃。

当てる!と言うよりも相手の体勢を崩したり
ガード位置を横に固定させる効果があります。

副作用として威力のある左ストレートが
当たるのでは…? なんて考えました。
(野村君はサウスポーです。)

これで攻撃着火パターンが増えました。


植木君は得意の伸びる右ストレートを
より効果的な距離で打てるように指導して
安全距離のバリアーを犯されたら
即座にクリンチか右フック迎撃を徹底。

右ボディフックがシャープで重かったので
数ラウンドのサンドバック打ちで磨きこみました。


思えばこの二人のスパーは今回が初。

まず私とのスパーを1Rづつ行いました。

基本的に私は攻め込むというよりも
打ち終わりを丹念に狙うタイプです。
(左ジャブによるバリアーは必須。)

最初の植木君は遠距離ストレートを
存分に練習したのでそれを多用してきました。

が、どんな距離でも大きく伸ばしてくるので
ヒョイと私が背中側にまわれる事、数度。

打った後に前方に重心が移動しすぎて、
(流れすぎ)次の動作が遅くなってしまいました。

その度に左ジャブをコツンと当ててから
一旦、スパーを中断させて現状の説明。

重心を中心のままで打つ右ストレート、
グイッと伸ばす右ストレートを別に指導。

ただしどちらも頭の位置移動、
もしくは片方のガードは必須…

スパー後には開始時の隙が半分になりました。

言葉数の少ない植木君だが
やはり飲み込みは早い。

最後は右ボディフックを打つ余裕もありました。


続く野村君は今回は右を植木君の影響か
グイッと伸ばすようになっていた。

が、打ち終わりに片足状態になる傾向があって
自分から勝手にバランスが崩れてしまう。

そこで前出のロングフック(前足をグイッと踏み込む)
を指導する運びとなりました。

それと彼なりに研究しているのが感じられる、
細かな技術的成長がポロポロと発見できました。

クリンチ間際にとにかく決め打ちを入れるので
まれに見えない角度から飛んできたり、
少ないスタミナを足で切り売りして
少ない接点に意識を集中するような様子も。

待ち気味だった私のボディに
左ストレートを思い切りよく放ってくるシーン、
直後に私が返した左ジャブを頭を振って回避、
一旦離れて仕切り直し…

(ほ〜… 勉強してるなぁ♪)


両者共に体が暖まってフォームも安定したので
我孫子の中三同級生、初のスパー開始。

リーチで勝る植木君は遠距離攻撃の
チャンスを逃さずにポンポンと打つが、
体格で勝る野村君のプレッシャーが厳しい。

しだいに手数が減ってバリアー消滅。
簡単に追い込まれる状況に。

「回避!」の叫びで我に帰ったのか、
左右に動いたり、クリンチを敢行。

が、今回の野村君はクリンチを
簡単に許さずにとにかく暴れ打つ。
(が、スタミナを消費しすぎた?)

植木君はクリンチ間際の暴れに
手を焼いている様子で
より確実なクリンチに意識が集中。

結果的に手数が激減してしまう。
(クリンチの際、横を向く癖も)

相打ちタイミングでも両者、
怖がらないので中間距離で
痛打が何度か交差した。

どうやら相打ちタイミングの危険を
あまり理解していないようだ。

本来ならなるべく相打ちタイミングは避け、
命中率の高い打ち終わり等を狙いたい。

慣れてきたらそのタイミングを測って
ガツーンッとカウンターを入れるのだが
まだそのレベルではないと思う。

結果的にガチャガチャの打ち合いに陥るが
これはやっている本人達はエキサイトしていても
知っている人が見れば「ドロ試合」。

後半はバタバタした騒がしいスパーとなった。

結果的に野村君が有効打で上回り、
優位を維持したまま終了。


休憩しつつ座談会を開始。

致命打は受けなかった植木君は
「いつ攻めたらいいのか分からない」。

相打ちタイミングの危険に気付いたゆえ、
手数の激減となって今、悩んでいる。

これは「一度は通る道」だと思います。

「相手の打ち終わり、もしくは打ち始め、
更にはリーチを生かせばタイミングはある。」

ゆっくりとそんな趣旨を伝えてみた。

野村君は新武器、ロングフックを使った感想。
「これ、疲れますよ!」

これまでスタミナが空になるまで
手数をガンガンと出していた彼が
今回は休みながら戦っていた。

彼の掲げた今回のテーマはきっと「スタミナ」。
どうやら自分の燃料タンクを意識してきたようだ。


両者共に成長が感じられたスパーを終え、
休憩を置いて更なる知識を得てスパー再開。

前回を優位に進めた野村君は
自信満々に圧力をかけて追い続ける。

手数も多く、フックを混ぜるので
植木君は防御が忙しくなる一方。

植木君は必死のクリンチを多用して
どうにか攻撃の糸口を探し続ける。

クリンチ解除の際に一度、アドバイス。

「最低限の手数を出さないと
どんどん前に来られるぞ!」

ロングフックで更に攻める野村君だが
ここで植木君が絶妙のタイミング(偶然?)。

野村君が伸び上がる瞬間、そのアゴに
植木君の細い右ストレートが痛烈一閃!!

ドテーンッと野村君が回転しながらダウン。
即座に抱きかかえてゆっくりと座らせる。

振り返れば植木君が激しく鼻血。
私は見逃したがどうやら相打ちだったようだ。

スパーは中断、両者共に休憩…

これは相打ちの危険さを
お互いに体験できた珍しいシーンだったと思う。

その後のスパーでは私も軽くカウンターを入れて
タイミングの怖さを徐々に教えていった。

最後のスパーは野村君が慎重に攻め、
植木君がクリンチで対応する内容に終始。

お互いに相打ちタイミングの存在を知った今、
この内容は仕方のない事なのだが、
いつか克服しなければ上のステージで戦えないだろう。

疲れが見えてきたので今回は4時間で終了。
二人共にボクシングの「ボ」の字が見えたかな?

次回に予定される直樹戦で結果か?
(受験、ガンバレ!)

そろそろ西沢ジムの練習生も(やっと?)
カウンターを意識する時期が近づいています。

カッ!となって打ち合うのが全盛だった時期から
冷静な狙い撃ちへと移行する寸前です。

(スパーの最中に偶発的なカウンターが
頻繁に発生するのでその威力を感じつつある。)

カウンターが狙えるようになって初めて
ボクシングの「ボ」まで来たと思います。

誰か一人がそれを体得すれば
一気に伝染して流行するはず。

誰が最初に狙えるようになるか楽しみです。

最初は説明だけで打てるようになると思ったけれど
正しい防御と攻撃に対する恐怖心の克服、
カウンターを打っている時の自分の安全、
とにかく場数を踏んでのスパーリング慣れ…

段階を踏んでそろそろといった現状。
西沢ジムのボクシング革命は近いかな? 

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