西沢ボクシングジム

ボクシングのゲームの区切り画像

十六日目

今回は重量級がズラリと揃う練習会となった。

これまでジムの最重量を誇っていた小島君が
草野球の同僚を連れてきたのだが、これが更に大きい。

大野君は188cm80sのすらりとした二枚目。
高校3年生で野球部のピッチャーとのこと。

その大きさにビックリしていると
テコンドー選手の庄子君も到着。
(なぜかビショビショ…?)

今回は65sの私が最軽量ということになりました。

聞けば大野君は格闘技経験がなく
ボクシングをするのも初めてだという。

が、身体能力が優れているのに加え
サンドバックを叩くとさすがにパンチが重い。

バックを支える私の体が左右に大きく揺れる。
(俺、彼とスパーリングできるのかなぁ…)

無駄のない左右のノーモーション・ストレート、
反撃をスウェーで凌ぐ動作を覚えた時点で
すでに一定レベルの強力な戦力を身に付けた。

途中、初心者が陥りやすいテレフォンパンチが
まったく見られないので不審に思い、
じっくり聞いてみると経験者にフォームを教わったとの事。

教えるのが楽な気がしたのだが
やっぱり理由があったんだ、と安心。

続くスパーでやっと素人っぽさが見えてきた。

顔面に軽くジャブを打ってみると
(初心者だから当然だが)目をつぶってしまうのだ。

その状況に陥らないように説明すると
次のスパーではきちんと修正してみせた。

次にスウェー後の反撃が遅いので修正。

すると重心を移動する仕組みもよく理解したようで
一方的に攻め込まれるシーンがなくなった。

元々、大野君は教わるのも上手なタイプなのだろう。
みるみるとボクシングを吸収していった。

が、これらを教えた時点で私としては必死。
15キロの体重差はさすがに怖い。

勝つのが目的のスパーだったら可能だけど
教えるのが目的のスパーは本当に難しい。

打たれる距離に身を置きながら
相手の悪い点を指摘する、
いい攻撃は受けてあげる必要があるので
正直、肉体ダメージ的にもしんどい。

でも成果は確実にあった。

ほぼ完全な初心者がたった数時間の指導で
武器こそ少ないがシャープなボクサーになったのだから…

最後には小島君と激しくスパーをするまで
成長するのだから初日としては充分だと思う。

久々の登場となる庄子君は
まずはビショビショだったので着替え。
聞けば「傘はささない主義」とのこと。
(そんな主義、あるのか…? まっいいか。)

ジム唯一の社会人でもある庄子君は
仕事があるので一時間しか練習できないという。

前回の練習ではテコンドーのフォームから
ボクシングへのフォームへの変換をせずに
今の状況でどこまでいけるかを試した庄子君。

今回は指導する時間がなかったので
方向性はそのままでスパーを敢行した。

体を基礎運動で温めたらすぐに小島君とスパー。

体格に加えボクシングの動作と知識がある小島君、
優れた手数でエンドレス攻撃を仕掛ける庄子君。

両者共にすでにスパーリング慣れしているので
目をつぶって動かなくなる等の状況には陥らない。

私としてもどっちが主導権を取るのか
楽しみな一戦となりました。

ゴングと同時に出たのは庄子君。
ワンツー主体の鋭い攻撃で制空権を握る。

対する小島君はガードと前傾姿勢で
ダメージを最小限に抑える作戦のようだ。

軽く被弾しつつも反撃の機会を狙う。

が、庄子君の物量作戦を前に瞬間的に
視界を失っている様子でその反応は悪い。

息つく暇もないハードな連打でガンガンと
攻め続ける庄子君も確実なヒットを奪えず、
最初の一分間は両者共にクリーンヒットなく過ぎる。

中盤から小島君は右ストレート主体で
正面からの反撃を開始する。

それに対して庄子君は防御でなく
連打で打ち勝とう、と考えているようだ。

ガチャガチャの打ち合いの最中、
庄子君が交錯気味にストレートをヒット。

これは狙ったパンチではなく、
連打の中の一撃が
自然にジャストタイミングとなった。

小島君の拳があらぬ方向に飛ぶ!


庄子君のワンツースリーのスリーがカウンターに!

ここで弱気になる可能性もあるのだが
小島君は逆に闘志を燃やすタイプ。

ガムシャラな反撃を仕掛けて
ペースを完全には渡さない。

お互いに正面から打ち合うので
ストレートは軌道がまったく同じ。

途中で拳と拳がバキバキと
ぶつかり合ってしまい届かない。

ここで両者共にスタミナの大部分を使い果たす。
(終盤はドロ試合的な様相を呈する。)

お互いに防御意識が薄く
「勝ちたい!」という気持ちが
あまりに前面に出過ぎた結果でしょう。

キチッと攻撃、キチッと防御するメリハリは
ボクシングをやる上で相当大事だと思います。

アゴが上がり、苦しそうな表情で放つパンチは
お互いに流れ気味でダメージを与えられない。

口が半開きになった状態だが
武器の多彩さで勝る小島君が
フックを惜しいタイミングで何度か放つ。

オープン気味で体重も乗っていないが
ここではっきりとしたヒットを奪うには
軌道の関係から考えてこれしかない。


小島君の左フック、サンドバックでもっと磨けば武器になる!

実際に庄子君の顔面を弾くシーンもあったが
疲れから完全にペースを奪うには至らない。
ガチャガチャの無呼吸連打戦が果てしなく続く。

ゴングと同時に肩で息するような消耗戦が終了。

ベンチに座って、じっくりと座談会。

両者共にスタミナの使い方が悪すぎる。
これでは2R開始のゴングは鳴らせない。

他にも要所の状況について確認。

両者共に格闘慣れしているので
理解と反省、回復が早い。

時間の関係で今日はここまでだったが
次のスパーでは両者共に作戦を練るでしょう。

疲れが取れてから私と庄子君のスパー。

さすがに手数はうるさかったので
ダッキングで凌いで凌いでクリンチ。

彼の頭の位置が動いていないのを確認後、
アウトサイドからフックを何度か当てて終了。

最後は「もう一度、同じのを打つよ」
と宣言したのにも関わらず命中。

普通ならガードで防げる攻撃が
防げていない状況を伝達。
(もしくは頭の位置が動いていない)

時間が足りなくて細かい説明までできなかったのが残念…
(庄子君は再び、傘なしで雨の中へと…)


重量級の大野君はスパー練習を重ねた末に
小島君と本気スパーで実力を確認することにした。

大野君に確認すると「やってみたい」との事。
どうやら動く中で自信がついたようだ。

小島君が一日の長でファーストヒットを奪う。
が、体格で勝る大野君は打たれてもすぐに打ち返す。

そのパンチはノーモーションでもはや油断はできない。
事実、私は指導中にそれを浴びて首を痛めてしまいました。

が、ここ一番で集中力のある小島君は上手に避け、
しかもジャブで視線の落ちた大野君を逃さない。

瞬間的な判断でボディにフックを強く一閃、
更にもう一度ボディに入れると大野君は動きが鈍る。

このシーンは経験の差がハッキリと現れました。

ここでストップ、も考えたが大野君は打ち返す。
初心者にも関わらず、いい根性をしている。

が、やはりダメージはありあり。
仕切り直しから顔が歪んでいる。

体が立った状態からのスウェーが鈍っている。

小島君の右ストレートを正面から浴びたので
ためらわずにここでストップ!

が、恥ずかしくない立派なスパーでした。

テクニックと強打をブレンドして圧倒した小島君。
初日にして教えられた武器を最大限に生かして
経験者を前に食い下がり、有効打も取った大野君。

逆に私自身が直接スパーで教えたくても
体格差により上手に指導できない寂しさを感じました。

最後はスパー画像を見ながら
スパーを振り返り簡単な反省会。

小島君はスパーを振り返る際に
詳細に状況を覚えていて
「あの時、こうすればよかった…」
とよく反省しています。

そして、その反省の内容は正しくて
まさにそうすべきだったと思えます。

その格闘頭脳は優れているのだから
カッとせずに冷静に戦えば相当伸びるはず。

雨に濡れる男、庄子君と小島君のリマッチは
次回はもっとハッキリとしたスパーとなるだろうし
大野君に細かいテクニックを教えたらまだ伸びる。

直樹は参加こそしていないが
自宅でグラブを購入して
個人的に練習を重ねている。

この間、見た時は頭を動かす練習に没頭していた。
(前回の去り際にそうアドバイスしたのを思い出した。)


「ボクシングをやったことがあります。」

この一言が言える少年って
かっこいいと思います。

現在、10名の少年を教えました。

どの少年も素晴らしいナイスガイで
心から楽しそうな表情で向かってきます。

これからもどんどん教えていきたい…
改めてそう思いました。


物静かな188cm、スキ屋の店員でもある大野君。なぜか裸は拒否?

ボクシングのゲームの区切り画像

十七日目

今回は高校受験が終わった野村君と
27歳社会人でボクササイズ経験のある新人、
身長170cm体重55sの福嶋君が初参加してくれました。

無事に合格した野村君が久々のサンドバックを前に
ガンガン体を動かしていると、初参加の福嶋君が車で到着。

西沢ジム練習生、最年長となる
福嶋君はさすがに落ち着いた雰囲気。
(どことなく郷ひろみ風、かな?)

聞けば、塾の講師として働きながら
近所のスポーツジムに通っているという。

ジム・メニューに「ボクササイズ」があったので
ミット打ちによるトレーニングをしていたら
徐々にボクシングに興味が出てきたそうだ。
(女性の参加者もいるので
スパーは行わないとのこと。)

ちなみにコーチは鈴木敏和氏。

破格の強打を誇る渡辺雄二、
スピードスターの三谷大和。

彼らと熱戦を繰り広げた元日本王者が
江東区のスポーツジムで指導している…

その情報だけでもなんだか嬉しくなりました。


早速、福嶋君の現在の実力をチェック。

オーソドックスでやや前傾姿勢に構えると
「シュ!」と息を吐きながら
ワンツーをサンドバックに叩き込む。

フックのフォームも綺麗で問題がない。
(肘が曲がった状態で拳に体重が乗っていた)

コンビネーションもそつなくこなしたので
さすがにミット打ちの成果は発揮されている。

悪い点をあえて言えばリズムが単調。
(タン、タン、タン、タン…)

状況に応じて(タン、タ、タ、タンなど)
変化させるような融通が利かなかった。

体に一定のリズムが染み込んでいるようで
そのリズムを変えようとしても変わらないのだ。

打つ直前のタメも派手で相手に察知されそう。
(良くも悪くもミット打ちの影響なのかなぁ…?)


ミット打ち、パンチングボールを経て
ミーティングを行った後に簡単に私とスパー。

福嶋君の表情がとたんに緊張気味になり、
相当な不安と恐怖が感じられたので
リラックスできるようにゆったりと休憩。

(緊張して手数が出ないかもなぁ…)
と考えていた私の予想は大外れでした。

左右の交互、ガンガンと打ってくる福嶋君。

が、無呼吸でガチゴチに緊張しているので
数十秒で異常にスタミナを消耗してしまった。

深夜の録画放送を見るほどハマッている
ボクシングに対して理想と現実のギャップ。

頭を振ることやステップを細かく刻むこと、
旺盛な手数はまったくもって間違いではない。

が、それによって疲れてしまう今の状況…


福嶋君と並んで座りながら休憩、
及び考える時間でボクシングを再構築。

今の力量を最大限に生かすスタイル…

相手のパンチが来た時だけ頭を振る。
ステップも圧力を感じた場合だけ。

緊張しているととにかく疲れるので
とにかくリラックスと呼吸を心掛ける…

手数が多いのも裏を返せば
防御に対する自信不足が原因。

防御方法も改めて基本から指導してみた。
バックステップ、スウェー、ダッキング、ガード。
(もっとじっくり教えるべきだったかも?反省)

攻撃に関しても左右を交互に
強〜く放つだけだったので
左ジャブの意義が感じられなかった。

左と右の性能の違いを簡単に説明…

駆け足で教えたので全部理解できたとは
思わなかったが、さすがに年の功(塾講師?)。

この後のスパーリングでは
少しづつだが意識改革が感じられた。


我孫子から参加の最新元受験生、
野村君は合格効果?で終始落ち着いていた。

今までは上記の福島君と同じように
攻め疲れて自滅する場合が目立ったのだが
今回はそんな福嶋君を見たせいだろうか、
とにかく冷静な様子でトレーニングする。

私とのスパーでもじっくりとした構えで
結構、嫌なプレッシャーをかけてくる。

(いい雰囲気だなぁ…)

ガツン!と強力だが命中率の低かった左は
これまでの顔面狙いからボディへ標的変更。

その左ボディからの追撃パターンも多彩になり
相乗効果として課題だった顔面ヒットも増えた。

相手のジャブをダッキングすると同時に
体勢を崩しつつパンチを決める練習も積んだ。
(意識して打てばこれは絶対に当たるはず!)

今回習得した一番派手な攻撃パターン、
相手との軸を斜めにずらしながら
ランニング気味に左ストレート。
(これ、赤井英和が得意にしてたっけ…)

ボクサーにとって最も大事な要素、
落ち着きという武器をついに得た野村君。

初のスパーリングに緊張気味ながらも
半年に渡るミット打ち経験がある福嶋君。

果たして両者のスパーは…?


開始ゴングがなるとフッと軽い感じで
野村君が福嶋君の射程距離に踏み込む。

いままで力みが目立っていた野村君だが
この動作は不思議なほどリラックスした様子。

(まずは打たせてみよう♪)
といった余裕が感じられる動作だった。

その接近に対して初スパーの福嶋君は
3発のパンチで迎え撃ったのだが
全てダッキングの上空を通過する。

なにもせずにバックステップで戻った
余裕のある野村君が選んだ次なる動作。

開いた距離をジリジリと微妙に詰め、
福嶋君の先制攻撃を誘発させている。

誘われたその攻撃は野村君に届かない。

目前で空振りをした福嶋君に対して
野村君は左ストレートを一閃させた!
(迎え撃つスタイルの理想形)


威力抜群、野村君の左ストレートが一閃!

これが顔面にヒットすると
福嶋君はダダダッと後退。

すかさず追撃を狙って前進する野村君に対して
福嶋君は防御ではなく攻撃による応戦を選択。
(選択というか、必死だったと思いますが…)

結果的に更なる有効打を防いだその選択。
がっ!、ここでアクシデントが発生。

福嶋君の足裏の皮がベロ〜ン…


初スパーは数十秒で終了となりましたが
両者共に得る物が確実にあったと思います。

スタミナ不足の野村君は手数のボクサーでしたが
スパーリング慣れの効果として落ち着きを入手、
駆け引き重視の迎え撃ちボクサーへと成長しました。

福嶋君はスパーリングのプレッシャーに加え
被弾するという非日常的な衝撃を経験しました。
(これってボクシングを経験した人なら
誰でも思い出すのではないでしょうか…)


私との調整スパーや3分ラッシュのサンドバック、
現状確認のミーティングを経て本日最後のスパー、開始!


足裏を消毒して奇跡の復活?を果たした福嶋君、
テンポの感じられる軽連打で精力的に攻める。

対する野村君はガードとダッキングで凌ぐ狙い。

が、福嶋君の連打はとにかく徹底的。
今回は野村君のバックステップにも食らいつく。


ガードの隙間に福嶋君の左フックがヒット!

が、野村君も頭の位置を常に動かして
次なる有効打を決して許さない。

攻撃の糸口を得るために体勢を整えたい野村君だが
あまりの連打に基本姿勢に戻ることができない。

強引にランニングストレートを狙うがこれはミス。
すかさずガード状態で顔面を守る野村君。

ここで福嶋君が空いていたボディに右をヒット!
(後にちょっとだけダメージがあったと野村君の弁)

クリンチで仕切り直した野村君に対して
福嶋君は更に回転力を上げて連打で攻める。

野村君は防御に手一杯で攻撃ができない。
と思ったが、冷静に見るとほとんど防いでいる。

しかもサンドバック打ちで練習した
ダッキングしながらのパンチを試し始めた。

(野村君、どうやら冷静みたいだな…)

再びクリンチして離れる野村君の前には
連打の代償により呼吸の乱れた福嶋君が…

それでも連打を続ける健気な福嶋君だが、
そのトップスピードは知らぬ間に地に落ちた。

残り30秒頃からダッキングしながら打つ
野村君の新パンチにより福嶋君の重心が崩れる。

ここで体力を温存していた野村君が
自然な感じで右の3連続ジャブ(フック?)。

これは見事に全段完璧ヒット、
福嶋君の顔面が後方に弾かれる事、3度。

大きくバランスを崩した福嶋君に
野村君が詰め寄ったところで終了ゴング!

「最後の3連打、効きました〜」

体重差のある相手を前に勇敢だった福嶋君。
ピンチを嬉しそうに語る姿にホッと安心しました。

野村君の様子を見るとまだ余裕がある感じ。
怖さを克服しつつあるのが、充分に伝わりました。


後半から参加の予定だった直樹とその友達は
部活疲れにより自転車10キロ走破を断念。

報告の電話口で
「野村君にごめんって言っといて…」
と珍しく小さい声になっていました。

実力開花した野村君と直樹のスパーは
いい勝負になると予想されます。
(直樹と同じ体重の福嶋君もいずれ
これに絡んでくれれば更に楽しみ…)

お疲れ様でした!
(クレープ、ありがとう!
そういえば好青年、福嶋君の写真を忘れた…)

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十八日目

今回は直樹と河村君が参加してくれました。

急な決定だったので二人だけの練習会となりましたが
逆にじっくりと指導できたので結果オーライでしょう。

直樹は久々のボクシングながら
従来の切れを失うことなくシャープに動く。

個人的にもグラブを所有していて
(私の妻がプレゼントした)
地元の友達とボディだけのスパーもしているらしい。

が、ミットを受けている最中に
今までになかった動作で
悪影響が感じられる攻撃があった。

左前方に踏み込みダッキングしたままの体勢で
そのまま左フックをボディに打っている。

一見、確かに器用そうでハイテクニックっぽいが
実は重心が不安定で相打ちされた場合に
簡単にダウンを奪われてしまう状態なのだ。

その上、拳に破壊力が秘められている攻撃ではない。

プロの試合でもこのパンチを使っている選手を
よく見かけるが、個人的に危険だと感じていました。

確かに不意をついて使えば有効なのですが、
読まれた場合のリスクが大きすぎるのです。

その短所を充分に知りながら使うのなら!
というアドバイスを直樹に伝えると納得した様子。

(そういえば自分も一時期、使っていたっけ)

続いて、先週の練習会で野村君に伝授した技術、
スライド移動しながらの右ストレートを教えてみた。

すると相当な手応えを感じたようだ。

ミット目掛けて斜めから叩き込む右ストレートが
私の肩にまで衝撃としてビンビンと伝わってくる。

「これ、使えるかも♪」

直樹は数パターンをじっくりと繰り返して
最善と思われる動作を探っている。

彼の長所は動作を覚える際に
確認して試して納得してから
使うかどうかを判断する点だと思う。

最初はすぐに返事をしないので
(理解してるのかなぁ)と心配になったのだが
これが彼の習得スタイル。

結果的に最終的な理解度と習得度は常に高い。


河村君は玄関で見た瞬間に
(ん? 背が伸びたかな?)と思ったので
それを伝えるとなぜかとても照れくさそう。

久々のミット打ちでは右足が浮く癖が再発、
それを修正する以外に悪い点は見当たらない。

それどころかフックだけのボクサーが
鋭いジャブとストレートを会得していた。

その後のスパーでは従来の上下打ち分けに加え
フックとストレートを絶妙に混ぜて放つので
私はガードする時に大変な神経を使うことになった。

しかも前方にスイィとステップしてから打つので
短いリーチのはずがガツンと届くようになりました。

(恐らく他のメンバーは相当苦労するでしょう)

当初、私は直樹が連れてきた体の小さい少年に
大きな期待を抱いていませんでした(告白!)。

すぐに疲れてしまい、自分から倒れていた河村君。

彼がいまや西沢ジムでもっとも曲者的な存在です。
指導者としてこんなに嬉しい事はありません。

次回は大勢でスパー大会を行う予定。

どこまで通用するのか、本当に楽しみです♪

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