▼ステージとスクロール

ここでは、「ブレバレ」を遊ぶために使用される[ステージ]と[スクロール]についてまとめてあります。

「ブレバレ」では通常、スタートからボス戦闘の解決までを「1ステージ」として考えます。
「1ステージ」は複数の[スクロール]で構成され、それぞれに物語としての役割が与えられます。
つまり[ステージ]は1物語、[スクロール]とは1場面の、それぞれの区切りを意味します。
最近のTRPGでいう「シナリオ」と「シーン」に当たります。

「1ステージ」を単発で遊ぶことも可能ですが、いくつか連続で行うことで、"複数面構成"の長い物語を作ることもできます。
いわゆるキャンペーンゲームです。
ただし「ブレバレ」には成長ルールはありません(w


[スクロール]には、次の4つがあります。

1) ブリーフィングスクロール
   [ステージ]の最初に行われます。
   今回におけるPCのそれぞれの立場、目下の目的などが、GMによって説明されます。
   「ブリーフィング」とは状況説明を表す言葉で、特に軍事用語としては作戦従事者への事前打ち合わせの意味があります。
   PLは自分のPCがなぜ戦うのかを想像したり、他のPCとはどういう関係なのかといったことを、簡単に打ち合わせ(という名の雑談)をするといいでしょう。
   そうすることで、今後のロールプレイが円滑に行えるはずです。

2) 道中スクロール
   ボスとの戦いに向け、実際にPCが行動する場面で、数種の「道中」を行うことになります。
   様々なシチュエーションがあり、時には敵と戦い、時には調査を行う場合もあるでしょう。
   ここの構成を考えるのが、GMがもっとも忙しく、もっとも楽しい時です(w
   PLはPCがどうするべきか考え、ロールプレイと行動判定を行います。
   [道中スクロール]には「無双道中」「中ボス道中」「探索道中」「徒然道中」があり、詳しくはこちらで説明します。 → ▼ 道中スクロールとチェーン

3) ボススクロール
   [ステージ]の最後に待ち受ける[ボスキャラクター]との戦闘を行う、クライマックスです。
   基本的にはこの[ボスキャラクター]を倒すことが、PCの目的となります。
   GMが考えたシナリオや、PCの思惑によっては、もしかしたらボスとの戦いを回避する方法もあるかも?
   [ボススクロール]についてはこちらで詳しく説明します。 → ▼ ボススクロール

4) リザルトスクロール
   [ステージ]の結末の処理を行います。
   リザルトとは結果を表す言葉で、STGではステージクリア後の得点精算画面のことを言います。
   [ボスキャラクター]を倒した結果がGMにより語られたり、プレイヤーはPCのその後を想像します。
   いわゆるエンディングやエピローグといったものになります。
   続けて次の[ステージ]が始まるのであれば省略し、「ブリーフィングスクロール」を行ってください。

この他に、[スクロール]間に挟まる「幕間」がある場合、これは数に数えません。
「幕間」とは、演劇において幕が下りている状態で、TRPGでは「参加しているPLが、今後どうするか話し合う、作戦タイム」を意味します。
また、GMが事前にこれらの[スクロール]の内容を考えることが、「シナリオの製作」となります。
今後、ランダムにステージを製作できる、いわゆる「シナリオクラフト」も作りたいと思っています……が、予定は未定(w


■ [バレット]の供給
[スクロール]を1つ終了させたら、GMは各PCに対して、クリアボーナスとして[バレット]を1つ与えます。
「1ステージ」のみの単発シナリオなら、「リザルトスクロール」後の[バレット]供給は省略することになります。



● [スクロール]作例

例として、「スターブレード」(ナムコ)を[スクロール]化してみましょう。
私がM-STGを作るきっかけになったゲームのひとつです。知らない方は検索して動画を観てみてください。
なお、[道中スクロール]の種類については、先にこちらに目を通しておかれると、わかりやすいと思います。→ ▼ 道中スクロールとチェーン

「スターブレード」は自機の操作が出来ないライドタイプのガンSTG(砲手ゲーム)です。
オリジナルでは宇宙戦闘機「FX-01 ジオソード」は2人乗り(PLは砲手)ですが、「ブレバレ」では1人乗りということにします。

1) ブリーフィングスクロール
PCはUGSF(銀河連邦宇宙軍)の所属となり、ジオソードの搭乗者という立場になります。
これはキャラクターメイク時に話すといいでしょう。
GMは以下の状況を伝えます。

 「現在、敵機動部隊・機械化惑星"レッドアイ"が連邦惑星圏内に進入し、母星に接近している。
  "レッドアイ"はそのものが巨大なビーム兵器となる、惑星型要塞である。
  本作戦『オペレーション スターブレード』は、"レッドアイ"の脅威を排除することである。
  ジオソード部隊は母艦より発進後にワープを行い、まず敵勢力圏を強行突入し"レッドアイ"に到達。
  "レッドアイ"の動力炉"オクトパス"に向かい、エネルギー集中点である"パワーストーン"を破壊するのが目的だ。
  諸君の健闘を祈る。」

2-A) 道中スクロール (無双道中)
ジオソードは母艦から発進します。
「スターブレード」の発進シークエンスはかっこいいので、そのまま演出してもいいロールプレイが出来るんじゃないでしょうかね。
GMは、母艦の周囲にも敵の戦闘機が多数おり、攻撃を仕掛けている光景を演出します。
このままでは帰る場所がなくなってしまいます。
PCに1回[チェーン]を行わせましょう。
PLに[チェーン]の仕方を教えるという目的もあります。

2-B) 道中スクロール (中ボス道中)

GMは敵の中に、紫色の敵戦闘指揮機「コマンダー」がいることをPCに伝えます。
「コマンダー」は敵の指揮官クラスです。
[中ボス道中]として1ターンの戦闘を行うと、「コマンダー」はワープで逃げ出します。
これは[ボススクロール]の仕方を教えるためです。
PCはそのあとをワープで追います。

2-C) 道中スクロール (無双道中)
ワープした先は敵艦隊の真っ只中です。
「スターブレード」では、まず小惑星帯にワープアウトしますが、省略します。
強行突破は2ターンほどの[チェーン]で演出します。
ここまでにPCには、4つ以上の[バレット]が溜まっているはずです。
忘れずに[スクロール]終了時のボーナス[バレット]は与えましょう。
余裕があるようなら、敵戦艦「ハンマーヘッド」や「デルタノーズ」との戦いを、「中ボス道中」として戦わせてもいいでしょう。
なお、ここでもちらちらと「コマンダー」の存在をちらつかせましょう。
ラストの布石ですから(w

2-D) 道中スクロール (探索道中)
敵戦闘部隊の進入経路を利用し、上空を覆うシールドを抜けてレッドアイに降下します。
建設中の空間要塞「ブロックメイズ」は省略。
地表は迷路状の渓谷になっており、データ解析とセンシング、そして勘で進まなければいけません。
「探索」(侵入目標値=12くらいかな?)を行動判定:Mで3回行います。
PCが<広域捜査>を持っているなら、技能チェックで行わせましょう。
PLは他にも有利になりそうな行動を思いついたら、GMの許可を得て試みることが出来ます。
<精密作業>で敵にハッキングして位置データを引き出すとか面白そう。
もし、判定に失敗した場合、敵防衛隊と遭遇してしまい、HPに1ダメージを負います。
時間があるなら「無双道中」同等の戦闘を行わせてもいいでしょう。
ただし、罰ゲームなので[バレット]の入手は出来ません(w

失敗しても3回の行動判定を行えば、「オクトパス」に到着出来ます。
ここで待ち構えていた「コマンダー」が弾幕を撃ってくるので、PCに1度の「回避によるチェーン」をさせ、突破します。
こうしたイレギュラーな行動判定も、演出のひとつです。

2-E) 道中スクロール (中ボス道中)
遂に「オクトパス」の内部へ、PCは侵入します。
都市部は、これまた省略。こうなると、むしろ「ギャラクシアン~3 プロジェクト・ドラグーン」っぽいかも。
その巨大さや異様さを、GMは演出してください。
PCが突入しようとすると、中枢部分に向かうルートのシャッターが閉まってしまいます。
このシャッターをHP=30の中ボスとして扱い、3ターンほど攻撃させ破壊させます。
HP=10の中ボス3体を連続では買いさせる方がそれっぽいかな。
1体につき1ターンのタイム制限ありで……。
もし期限内に破壊できなかった場合、体当たりするため、1枚毎にHP-1のダメージを受けます。

3) ボススクロール
PCは「オクトパス」の内部の、美しくも妖しい青い光に包まれた空間に到着します。
この中心にあるクリスタル状の物体が、最終破壊目標である「パワーストーン」です。
ここでは「3ターン以内に倒さなければ、エネルギーは射出されてしまい、母星が破壊される」というルールを設けます。
実は「パワーストーン」はラスボスではないのですが、PLをうまく騙すために、荘厳な空間と緊迫感を演出するといいでしょう。
いっそのことPLに内緒で、「中ボス道中」としてHPを設定せず、3ターン経てば自爆することにしてもかまいません(w


3') ボススクロール
「パワーストーン」を破壊し、エネルギーの逆流で崩壊する「レッドアイ」からPCは脱出します。
これで「オペレーション スターブレード」は終了します。
……と、GMはプレイヤーに[リザルトスクロール]っぽく語りかけましょう。そして……

しかし、帰還指令が出たPCの前に、「コマンダー」が現れます。
いよいよ「コマンダー」と決着をつける時が来たようです。
爆発崩壊していく「レッドアイ」を背景に、真のラストバトルとなります。
例のごとく、「アイスバーグ」は省略するので、代わりに「レッドアイ」で(w

4) リザルトスクロール
「コマンダー」を破壊したことで、連邦惑星圏内に侵入した敵残存勢力の指揮系統は断ち切られました。
これで母星の危機は完全に回避されたのです。
PCには母艦への帰還命令が改めて下されます。
PLにとっても、ここが最後のロールプレイのポイントです。
PCの乗ったジオソードは母艦の座標へワープを行い、激戦の地から去ります。

これで、今回の[スクロール]は終了です。
試しに、このとおりにセッションしてみたところ、2時間弱のプレイ時間でした。


いかがだったでしょうか。
「ブレバレ」は戦闘がメインのゲームなので、あまりロールプレイや演出をする余地が無いと思われるかもしれません。
しかし、戦う状況演出や、敵の姿や弾幕の説明、そしてPCの武器や攻撃方法の描写など、「戦闘の風景を共有する」ために、それらは必要です。
とはいえ、GMは演出を難しく考えず「君を認識した敵が、一斉に襲いかかってくるよ」「青く光る空間に、水晶のようなものが浮かんでいるよ」程度でかまいません。
PLも、それに対して「やってやるぜ!」「<チャージ><ショット><レーザー>で、ツインレーザー連射だ!」「怖いよ、お母ちゃ〜ん!」程度に返せばいいのです(w


次項 → ▼ 道中スクロールとチェーン