「YAMAHA V−MAX1200」
■全長:2,300mm
■全幅:785mm
■全高:1,175mm
■重量:264kg(乾燥)
■最大トルク:11.3kg-m/6,000rpm
■最高出力:140ps/7,000rpm(カナダ仕様)
■エンジン形式:3UF(V型4気筒・4サイクル・水冷・DOHC・4バルブ)
<変更点>
■ウインカーランプ:SRX純正ウインカー
■ミラー:その辺の長方形ミラー
■リヤダンパー:US仕様
■ステアリングダンパー:デイトナの。
■サブフレーム:メーカー不詳。
■ステンメッシュブレーキホース:メーカー不詳。
■フロントカウル:デイトナの。
以上がおいちゃんの乗っていたバイクの概要である。
就職してすぐ、職員で構成される「ツーリングクラブ」に勧誘を受けた。当時はまだ大型免許を持っていなかったが、ツーリング自体はとても好きだったので
入部し、その年の秋に阿蘇へ旅立った。その時、職場の先輩が乗っていたのがコイツだった・・・。
やまなみハイウエイで先輩にタンデムさせてもらった時に受けた感動と振動と音はいまでも色あせない。
グラマスかつパワフルなスタイリング。アクセルをひねれば、どこからでも加速するトルク。そして独特のアイドリングと排気音。
・・・すべてが好きになった。
ツーリングから帰るやいなや、すぐに大型免許の取得に走り、約27万円というちょっとした大金で免許を購入した 。
(おいちゃんはこの頃、中免すら持っていなかった。)
先輩はコイツから「ハーレー」に乗り換えるというので速攻で譲ってもらい、一目ぼれから半年、
ついに憧れのバイクをついに手にすることが出来た。
決して程度がいいというわけではなかった。燃費は悪く、右サイドには転んだ跡があったし、ホイルも錆びが浮いていた。
アイドリングも不安定で、キャブのバランスも狂っていて、失火・ミスファイヤはあたりまえの状況だった。
しかし、これらを少しずつ直していくことで一層楽しいものとなった。
最終的に町乗りでは10km/Lではあったが、遠出をすると14〜15km/Lにまで燃費は伸びてくれた。
マフラーはついに換えなかったが、「ドヒュルルルルッ・・・!」とV−MAXらしい音を奏でてくれ、
外見さえ気にしなければお気に入りだった。
「V―ブーストつきはこのダクトが活きている」と思っている
方が多いが、まったくもってダミーなダクト。(^^)
コイツといったツーリングは大小含めて20回を越える。
燃費が多少良くなったとは言え、フル満タンでも15Lしか入らないこのバイク。大型にしては足が短すぎて、
ツーリ ング仲間が2回程度の給油で済むところが、4.5回給油することは珍しくなかった。
一度などは、休日も手伝ってGSが開いてなく、真っ青になって探し回った挙句やっと見つかったGSで、
「14.8L入りましたー!」
と店員に元気に叫ばれた時には「どっと冷や汗」がでたものである。
・・・こんな重たいバイクは100mだって押して歩けたものじゃない・・・。
「軽くて、足の長いバイクもいいかも・・・」
そう思い出したのはこの頃からだったか。
こんな感情が出始めてから、それを察知したのかコイツのじゃじゃ馬ぶりは激しさを増した。
「不定期にクーラントが漏れる」(原因不明)
「フロントダンパーからオイルがにじむ」
「各ランプ類の不定期接触不良」
「シートの劣化による破れ」
などなど・・・。
さすがに平成2年式ともなれば各部にへたりが見えてくる。
それでも、ヤフーオークションで部品を安く手に入れてシコシコと直していたのだが・・・。
スタイリングは最高だ!!エンジンの付き方にはよだれが出そうなほど・・・。
3回目の車検をどうするか。
この時点で大きく気持ちが揺らいでしまった。
2年おきにやってくる車検。しかも車と同月にやってくる。・・・毎回ほぼ10万円コース。
しかも、乗りつづけるのであれば、今回かかる金額は半端なものでは済まされない。(各部修理のため。)
自動車趣味と二足のわらじ。
・・・・どうする・・・・。
決断にはかなりに時間を必要としたが、手放すことに決めた。
維持費もそうだったが、やはり「気軽に足として使えない」というのが一番の理由だった。
こいつに跨るとなれば、「相応の暖機」「相応の心構え」「相応の距離」がまず前提となる。
スクーターや、400ccクラスまでの「気軽さ」が一切無いといっていい。(と思う。)
間違っても「買い物に市内へ出て行くバイク」ではない。
そうなると、必然的に跨る機会も少なくなるわけで、これの延長線上で
「バイク自体に跨ることが億劫になる」
ことが一 番イヤだったのだ。
・・・何を言っても手放した後だから言い訳にしか聞こえないが、コイツのことはいまでも大好きである。
また、チャンスさえあれば手に入れたいと思っている。
最後に日にはきれいに洗ってやり、名残のツーリングをした。
30キロ程度のものだったが、コイツが初めて手に入ったときにも走ったコースがメインだった。
「やっぱり維持しつづけようか・・・」そんな思いが頭をよぎる。
しかし、男が一度決めたことである。迷いをアクセルをひねることで吹き飛ばす。コイツも察してか気持ちよく加速する。
「くよくよすんなよ!」
そう言ってくれているかのようだった。
山のワインディングを走り、いよいよ家路までの最後の直線。赤信号の先頭である。
「・・・さあ、最後のVブーストだぞ・・・。」
信号が赤から・・・青へ!
V型4気筒が唸りを上げる。タコメーターは6000回転から異常な速さでレッドゾーンへ。
・・・Vブーストである。
1−2−3速と続けて加速。スピードメーターは4秒立たないうちに120kmへ到達する。
・・・そして減速・・・・。
こうして最後のツーリングは終わった。
その日の夜、バイク屋の軽トラに載せられて去っていくアイツは、いつにもましてとてもかっこよくみえた・・・。
ありがとう、相棒!おまえのことは決して忘れない・・・。