2004年12月24日(金) 11.<単元別内容/地価公示法及び不動産鑑定評価>
地価公示法と不動産鑑定評価を単元としてひとくくりにしているのは、本試験では
どちらかが1問出題されるからです。基本的に交互に出題されるようですが、ここ3年は、一昨年、昨年が地価公示法、今年が不動産鑑定評価からの出題でした。来年はどちらが出るか予想が難しくなりそうです。地価公示法の「地価」は、良くニュースでも、今年の地価は昨年と比べ何%上下したとか、日本で最も高い地価はどこどこです、という内容で結構御存知の方も多いと思います。ただ、本試験では統計的なことを問われるのではなく、地価は誰がどういう事を協議してどういう内容を公示するのかという本当に基本的なことなので、出題された場合は得点源となります。対して不動産鑑定評価は、内容自体は他の法律に比べるとずっと狭いのですが、専門用語が多く、その意味を問われることが多いです。その専門用語が結構堅苦しいことと、混同しやすいこともあるのでここが出題されると得点する確率はかなり低くなります。

一般的に、地価公示法が出題された時は得点源、不動産鑑定評価が出題された時は得点するのは厳しいと言われています。

私はこの問題は本試験で正解しました。おそらく今年は不動産鑑定評価からの出題だろうと予想されていたこともあってテキストを何度も復習していので、正解肢の文章を覚えていました。テキストの文章がそっくりそのまま出ていました。



2004年12月26日() 12.<単元別内容/地方税>
宅建の勉強は<宅建で学ぶ法律と出題傾向>で書いたように、権利関係から始まって法令上の制限、宅建業法と続き、最後に税法を含むその他の法令を学んだのですが、この税法を学んでいる時期が一番きつかったです。私は本当に一から宅建の勉強を始めたので、最初は新しいことを学ぶ楽しさもあってテンポ良く進んでいきました。それが法令上の制限で都市計画法、建築基準法などの、聞いたことはあるが内容は知らない法律、さらには宅建業法という聞いたことのない法律と進んでいくにつれ、復習や暗記することにきつさを感じていました。そのうえさらに税法その他の法令を学ぶに当たり、「まだ覚えなければならないことがあるのか」という弱音が出てしまい、正直言ってこの単元はあきらめようとさえ思いました。それを乗り越えることができたのは一重に先生の励ましと、「今年必ず合格したい」という最後のふんばりでした。そのかいあって、税法その他の法令は最後には私にとっての得意科目になりました。もし、宅建を目指している方がこのホームページを御覧になっているのであれば強調しておきます。
「税法(3点)、地価公示法、住宅金融公庫法、景表法」の6点は民法で6点取るよりもをずっと簡単で確実です。絶対に捨ててはいけません。むしろ勉強範囲の広さに挫折しそうな場合は、民法を捨てたほうが良いとさえ言っていいかもしれません。

宅建で学ぶ地方税は
不動産取得税固定資産税の2つです。基本的には毎年どちらかが1問出題されます。国税もそうですが、宅建で学ぶ税法は、税理士のような難しい問題は出ません。極端なことを言えば、不動産所得税は県に納付するのか、市町村に納付するのかという単純なことが本試験でも問われます。今年がそうでした。他に各税について、税金控除のための特例措置を問われます。例えば、不動産所得税で新築の場合 1,200万円控除を受けるための特定要件(床面積、個人・法人の別)、住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例措置を受けるための要件(土地面積)、などです。

私はこの問題は本試験で正解しました。私にとって今回の試験の中でも1,2を争う「易しい」問題でした。


2004年12月28日(火) 13.<単元別内容/国税>
宅建で出題される国税は
通常、所得税・登録免許税・印紙税の中から2問出題されます。通常と書くのは意味があって、今年は所得税に代わり「相続税」から出題されました今年の宅建試験が「異質」、「難解」と評価された理由の1つにあたります。10年に1度出るか出ないかという箇所からの出題でした。ただ、専門誌の解説を見ると、平成15年度に改正された「相続時精算課税制度」の特例措置を問われているとされているので可能性はあったわけです。宅建の勉強で昨年度ないし一昨年度に法律改正された箇所を頭に入れておくのは基本中の基本ですので。下記にも書きましたがこの時期の勉強が一番つらく、特に所得税が非常に混同しやすい特例ばかりなので、地方税や所得税以外の国税をしっかりと頭に入れたうえで最後に取り組みました。結果としてそれが良かったのかもしれません。

地方税と同じく、国税も
税金控除のための特例措置を問われます。印紙税は課税されるのかの可否を主に問われます。出題例としては、所得税の場合は居住用財産を譲渡した場合の 3,000万円特別控除のための要件や、同じく居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例についてなど、登録免許税は住宅用家屋の所有権の保存登記をする場合の税率の軽減についてなど、印紙税は一時的に作成する仮契約書は課税文書に該当するか否か、などです。

ラッキーにも私は本試験で2問とも正解しました。万が一と思ってテキストを読んでいたのが効を奏したわけです。本試験で相続税の設問を見た時は「嘘だろーっ」と心の中で叫びましたが、解いている途中で特に難しいことを聞いているのではないことがわかったので、かえってラッキーだと思うと同時に、税法その他の法令をあきらめずに勉強して本当に良かったなぁと感じました。

私は「税金その他の法令」という科目で9問中8問正解しました。9問中5,6点の得点を目指す科目と言われるなかでプラス2点の結果となり、ここでの得点が合格に大きく貢献しました。実務経験の無い私にとって、この科目9問は「本当に宅建業に必要な勉強なのだろうか」と疑問を感じながら学習した科目でしたが、結果的には合格のための大きな原動力になったわけです。何度も繰り返しますが、「税金その他の法令」は絶対に捨ててはいけません! 合格のために絶対必要な得点源です。


2005年1月2日() 14.<宅建業法/監督・罰則>
いよいよ宅建業法に入ります。
毎年宅建試験50問中16問の出題なのでここを落とすことはできません。「あわよくば満点を目指す」科目、最低でも13点の得点を目指す科目です。不動産業を営む中で基本になる法律なので、ほとんど全ての条文を学習します。あまりにも範囲が広いのでこの科目で結構時間を使うと思いますが気長につきあってください。

「監督・罰則」は宅建業法の中で一番最後に学ぶ単元ですが、この単元のみ確実な1点が取りにくいと言われています。内容はその名の通り、
どういうことに違反したらどういう監督処分や罰則が適用されるかという単純な内容ではありますが、内容が広すぎ、かつ細かいのでこれをひとつひとつ覚えることは実質的に不可能です。ただ、それでもポイント的に抑えるべきことはあって、例えば免許や登録を取り消すことができるのは、その免許を認可した、あるいは主任者証を交付した国土交通大臣あるいは県知事のみとか、免許の取り消しに該当する事由、登録の消除に関する事由、などです。本試験でもそういう細かいことが問われます。

今回の本試験を振り返ってみると今年は出ていません。近年は出たり出なかったりという傾向のようです。



2005年1月4日(火) 15.<宅建業法/証明書の携帯・標識の掲示等>
宅建業法は一つの法律を深く学ぶのでどういうふうに区切ろうか悩みますが、とりあえずテキストに沿っていきたいと思います。気持ち的にこの単元はじっくり振り返りたいので、かなり細かく項目を分けることになると思います。御了承ください。

宅地建物取引業の従業者は、
非常勤の役員、バイト生に関わらず証明書を形態しなければなりません。また、従業者名簿や帳簿はこの宅建業法によって保管年数が定められています。さらに宅建業者は、事務所等及び事務所以外の国土交通省令で定める場所ごとに、省令で定める標識を掲げなければなりません。この「国土交通省令で定める場所」というのが曲者で、世間では「案内所」、「モデルルーム」、「展示場」、「当該宅地(建物)」などという表記がありますが、これらの場所で営業をする場合、また契約を結ぶ場合に様々な届出、掲示が必要となります。本試験でも簡単なことから難解なものまでさまざまなことが問われます。さらには、それに違反した場合の罰金金額まで問われることがあります。あなどれません。

今回の本試験は複合的に出題されました。「複合的」というのは、1つの設問にいくつかの項目をからめて聞いたりすることです。
ある意味、宅建業法はそういう設問がほとんどです。ですから、これまでと違って出題傾向の記載はしません。宅建業法のほとんど全ての項目が、毎年出題されると考えて勉強に取り組まなければなりません。また、そうすべき単元です。


2005年1月9日() 16.<宅建業法/報酬及び禁止事項>
宅建の勉強の中で、計算問題をする箇所が2つだけあります。1つは建築基準法の中での容積率・建ぺい率の計算、そしてもう1つが「報酬」です。宅建業においては、国土交通省令に定められた限度額以上の報酬をもらってはいけません。1.媒介・代理の別、2.賃貸・売買・交換の別、3.代金額又は価額の別(200万円以下、200万超〜400万円以下、400万円超)、さらには4.免税業者と課税業者の別によって計算式が異なります。計算そのものが難しいのではなく、設問から計算式を求める場合に、上記の4つの項目をひとつひとつ当てはめないと最後の金額が全て変わるので少し頭がこんがらがってしまいます。2時間という限られた時間の中での焦りも出ます。

「禁止事項」とは、文字通り業務上においておこなってはいけない事項のことで、省令で定められた限度額以上の報酬をもらうことも禁止事項に該当します。他に
電話による長時間の勧誘、重要事項を不当に告げない、手付の貸付などによる契約を誘引する行為なども禁じられています。事項そのものはごく一般常識的なことなのですんなり頭には入るのですが、本試験ではこの事項と罰則・罰金がからんで出題されたりするのでここも一筋縄ではいきません。罰金が全て一律の金額であれば悩む必要もないのですが、ひとつひとつ金額が異なるのでややこしくなってきます。

本試験では、報酬に関して計算そのものをさせる場合とそうでない場合があるそうですが、今回は計算問題そのものが出ました。やはり、消費税法が改正されたということも関係あったのでしょうか。



2005年1月16日() 17.<宅建業法/8大制限>
宅建業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約を行う場合の制限です。一般的に「8大制限」と呼ばれています。すなわち、

(1)他人物売買
(2)クーリング・オフ(次回詳しく説明します)
(3)損害賠償額の予定などの制限
(4)手附の額の制限

(5)瑕疵担保責任についての特約の制限

(6)手付金などの保全
(7)宅地又は建物の割賦(ローン)販売の契約の解除等の制限
(8)所有権留保等の禁止


は、
宅建業者である「プロ」と一般消費者である「素人」が取引を行う場合、プロの巧妙な取引に惑わされないよう、一般消費者を保護するために制定されています(一応、青文字が本試験で良く出題される箇所ですが、ヤマをはらずに全て覚えておく必要があります)。赤文字で強調していることが非常に重要で、業者間の取引については適用されません。例えば上記の(3)損害賠償額の予定などの制限は、業者が自ら売主となって業者ではない者と売買契約を行う場合、損害賠償額や違約金の合算額が代金の額の10分の2を超える定めをしてはならず、これに反する特約は代金の額の10分の2を越える部分について無効となるものです。この取り決めは業者間の取引においては適用されないので、10分の2を超える損害賠償額の定めも有効です。とにかく、この項目は「業者自らが売主」、「相手が業者ではない」という大前提があるので、本試験でも問題文を充分読まないで相手が業者ではないと思い込んでしまうと、問題文が業者間取引という設定の場合があるのでひっかかってしまいます。

この項目でのもう1つのポイント=本試験で問われることは、
制限を超える特約をした場合、その契約はどうなるかということです。例えば(5)瑕疵担保責任(雨漏り、白アリによる被害などの損害賠償責任)の場合、宅建業法においては「目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をすることができ」、仮に引渡しの日から1年とする特約をしてもその特約は無効となるのですが、この場合、引渡しの日から2年に延ばされるのではなく民法の原則に戻り、瑕疵を発見した時から1年となります。もちろん、業者間の場合は期間が1年以内の特約も有効です。ややこしいでしょう?


2005年1月17日() 18.<宅建業法/クーリング・オフ>
「クーリング・オフ」は不動産業に携わらない方でも聞きなれた言葉ではないでしょうか。土地・建物も、買受の申し込みについて
8日以内であれば申し込みの撤回等ができます。この申し込みを撤回する場合、業者ではない買主(クーリング・オフも8大制限の1つなので、業者間の取引では適用されません)書面(葉書)を先方に発した日に効力を生じます。よって、到着した日が不動産会社の休みの日だったので間に合わなかったという事態にはなりません。不動産会社に電話しても電話に出なかったという状況でも大丈夫です。この8大制限を含め、宅建業法は法律を知らない一般消費者を保護するために不動産業者にさまざまな制約を設けています。よってこのクーリング・オフは、自らの売主(不動産業者)が買主(業者ではない一般消費者)にそのことを書面で告げない場合には適用されません。つまり、業者がクーリング・オフのことを書面で告げない限りは、買主は8日という期間に限定されず、履行関係が終了するまでは(下記の3.参照)いつでも買受を撤回することができます

しかし法律には例外があるのが常。買受の申し込みについて非常に重要なことがあります。不動産におけるクーリング・オフは

1.「事務所」、または買主が申し出た場合の買主の自宅又は勤務先で買受けの申し込みをした場合

2.上記の通りクーリング・オフの説明を
文書で知らされてから8日を経過した場合

3.
当該宅地又は建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払ったとき
(履行関係の終了)

はクーリング・オフの適用ができなくなります。2はわかりやすいのですが1と3が曲者で、本試験はこのことをひねって出題してくるので、この基本をしっかり頭に入れておかないとひっかかってしまいます。まず3から説明すると、この言葉は「かつ」という言葉が非常に重要で、裏を返せば代金の全額を支払っていないときは
引渡しを受けていてもクーリング・オフできます。1は本試験でも実務でも重要な「事務所」の「等」の定義を理解することが非常に重要です。「テント張りの案内所」は「事務所等」には該当しない(土地に定着していない)のでクーリング・オフが適用できますが、売主業者から代理や媒介の依頼を受けた宅建業者の事務所等(土地に固定した案内所を含む)で買受の申し込みをした場合はクーリング・オフは適用できません。なんでも、一昔前は業者が買主を別荘に招待しそこで契約をするまでは返さないという事が多々あったそうで、そういうことを無くすために「事務所等」という定義を細かに規定しています。また、「買主が申し出た場合の」買主の自宅又は勤務先という言葉も初めて聞く人によっては変な言い回しかもしれませんが、裏を返せば、業者が買主の自宅でやりましょうと申し出た場合はクーリング・オフができるということです。頭では理解しても本試験の短い時間で焦ってしまうと選択肢にひっかかってしまいます。

今回の本試験はクーリング・オフが出ました。以下は実際に出た問題です。

「問題」; 宅地建物取引業者である売主A、業者でない買主Bとの宅地の売買契約において、宅建業法第37条の2の規定(これがクーリング・オフのことです)に基づく売買契約の解除に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

「選択肢」
1.Bが契約の解除ができる期間は、売買契約の解除ができる旨及びその方法について告げられた日から起算して8日間とされるが、特約で当該期間を10日間に延長したり、7日間に短縮した場合、これらの特約は有効である。

2.AがBに対し、売買契約の解除ができる旨及びその方法について口頭でのみ説明を行った場合、当該宅地の引渡しを受けていなければ、当該告知から何日を経過していても、Bは契約の解除が可能である。

3.Bが当該売買契約の解除を行う場合には、Aに対して国土交通大臣が定める書式の書面をもってその意思表示を行わなければならない。

4.Aが他の宅地建物取引業者Cに当該宅地の売却の媒介を依頼している場合、Cの事務所において当該売買契約の申し込みを行った場合でも、Bは当該売買契約の解除を行うことが出来る。

正解は2です。1の場合、8日よりも短い特約は買主にとって不利なため無効、3は国土交通大臣が定める書式ではなくても良い、4は上記で記述したとおり、媒介を依頼した業者の事務所での契約は有効でクーリング・オフの適用がありません。


何故、このクーリング・オフのことをこんなに細かく書いているのかというと、私が本試験で間違えたからです。宅建業法は全16問中15問の正解、つまりこの問題だけを間違えました。今、振り返っても何故間違ったのか思い出せません。上記の文章を書いていて本試験の問題を見ると答えを見ないでも2が正解なのがすぐにわかるのに、本試験では1を選んでいます。私は本試験中に解くのに悩んだ問題にはハテナマークをつけたのですが、この問題にもハテナマークがつけられています。今振り返ってもその理由が思い出せません。自分が今後の実務でも失敗しないように基本を細かく見直しておきました。


2005年1月18日(火) その1 19.<宅建業法/三大書面その1: 媒介契約>
宅建業法のみならず不動産業全体を通しても非常に重要な位置を占める「三大書面」は、本試験の合格のためには避けて通ることはできません。宅建試験の勉強の中でも最大のヤマ場です。三大書面とは、1.媒介契約に関する書面= 34条書面、2.重要事項説明書= 35条書面、契約書= 37条書面です(実際には37条書面は「契約書」の意味ではないのですがここでは簡略させていただきます)。

本試験で問われることは、実は非常にシンプルです。この事柄は
3大書面のそれぞれにおいて記載する義務があるか、そうではないのか、これだけです。あるいは人によってはこの箇所は得意分野にもなります。しかし、これらの書面に記載する事項が、1.記載事項が多く覚えるのに少し手間取る、2.必ず記載しなければならない事項(必要的記載事項)と、場合によっては記載しなければならない事項(相対的記載事項)の区別が非常に混同しやすい、3.さらには1つの書面の中で、賃貸と売買の場合に必要的記載事項が変わってくる、4.三大書面に記載する事項が非常に似通っていて、本試験では特に 35条書面と 37条書面を複合して問う傾向にある、以上の事が、下記の8大制限のように、本試験の限られた時間の中での焦りと相まって非常にこんがらがってきます。

3大書面の1つ、媒介契約に関する書面(34条書面)は、文字通り、
売主と買主の間に業者が入って土地・建物の売買や交換を行う場合に交付する書面のことです。これには賃借の媒介に関する契約は対象となりません、つまり、賃借の媒介の場合には書面の交付義務がありません。これも非常に重要なポイントで本試験で問われます。ただし、媒介契約において重要なことは、専任媒介契約、専属専任媒介契約、一般媒介契約(さらに明示型と非明示型に分かれます)における個々の規定の違いを抑えることです。個々の規定はかなり専門的、かつ多岐にわたるのでここでの記述は控えます。


2005年1月18日(火) その2 20.<宅建業法/三大書面その2: 重要事項の説明>
「宅地建者取引主任者」には、
その資格を持った人でなければできない独占業務があります。その1つがこの「重要事項の説明」です。この書面(35条書面)は、1.(1)取引主任者が、(2)契約が成立するまでの間に、(3)書面をもって、説明する義務、2.説明をするときに必ず相手方に対し、取引主任者証を提示する義務、3.書面に取引主任者が記名押印する義務、この非常に重要な3つの義務があります。これに違反した場合、10万円以下の科料のほか、業者に対しても罰則が課される場合もあります。

説明すべき重要事項は多岐にわたるので省略しますが、
土地・建物の別、賃貸と売買(交換)の別によって記載する義務が微妙に異なるのでやっかいです。全く異なるのであればむしろ簡単なのですが。 それに加えて、マンションの売買・賃貸の場合における追加事項があるので、それぞれの場合の必要記載事項をしっかり覚えておかないといけません。もちろん、実務では省略できません。お客様に「話が長くなりますので省略させていただきます」と言おうものなら説明義務違反になり罰金です。必ず当該宅地・建物に関する重要事項を説明する義務があります。

以下が今回の本試験で出題された、重要事項の説明に関する問題です。

「問題」; 宅地建物取引業者が行う重要事項の説明に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

「選択肢」
1.
売買契約の対象となる区分所有建物(これがマンションのことです)に、計画的な維持修繕費用の積立てを行う旨の規約の定めがある場合は、その旨の説明をすれば足り、既に積立てられている額を説明する必要はない。

2.
売買契約の対象となる宅地が土砂災害警戒区域・・・(省略)である場合は、当該区域内における制限を説明すれば足り、対象物件が土砂災害警戒区域内にある旨の説明をする必要はない。

3.
売買契約の対象となる建物が新築住宅であって、住宅の品質確保の促進等に関する法律第5条1項に規定する住宅性能評価を受けた住宅である場合は、その旨を説明しなければならない。

4.宅建業者が自ら売主となる
宅地売買契約において損害賠償の額を予定し、その予定額が代金の額の2割を超える場合、その旨の説明があれば、その2割を超える部分についても有効である。

正解は3です。むしろ簡単だったと思います。選択肢の青文字の部分に関する場合(賃貸・売買の別、土地・建物・区分所有建物の別)の必要記載事項を1つ1つ間違えないように思い出すことが大切です。ここでは個々の記載事項を書いていないので良くわからないと思いますが、1は積立てられている額を説明する必要もあり、2はその旨を説明する必要があります。4が少し異色の選択肢で、「損害賠償額の予定又は違約金に関する事項」は、重要事項の説明義務があるのですが、「8大制限」もからめて出題しています。つまり、8大制限もしっかり理解しておかないと迷うことになります。最近の宅建試験はこういう出題傾向が多くなっているようです。


2005年1月18日(火) その3 21.<宅建業法/三大書面その3: 37条書面>
37条書面(一般には契約書を意味する)も下記の重要事項の説明同様、取引主任者の記名押印義務があります。しかし、重要事項の説明と異なり、取引主任者による説明義務と主任者証の提示義務はありません。説明しないでも良いということではなく、取引主任者ではない宅建業者の従業員でも構わないという意味です。

ここも、
土地と建物の別、賃貸と売買(交換)の別によって記載する義務がある事項が異なるのでそれをしっかり把握すること、それに加え、相対的記載事項=契約において定めがあるときは記載する義務のある事項があり、本試験でもそこを突いてきながら、似通っている35条書面とからめて出題するので、少し気を抜くとひっかかってしまいます。上記の主任者証の提示義務、説明義務のことも35条とともにその違いをしっかり理解しておかないとひっかかることになります。37条書面における記載事項は専門的かつ多岐に渡るので省略いたします。


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