2005年1月19日(水) その1 22.<宅建業法/営業保証金及び保証協会>
[営業保証金」は、「保証協会(ハトのマーク、ウサギのマーク)」と合わせて比較対象される項目です。8大制限や3大書面と同じようにともに似通った規定なので、その違いをしっかり理解しておかないと本試験でひっかかってしまいます。

「不動産業」という仕事はやはり非常に大きな金額の取引になるので、法律に素人である買主(一般消費者)を保護するために宅建業法という法律を規定し、業者に対してさまざまな制約を設けています。営業保証金及び保証協会は、
もしもの時に御客様を守るための保険金を事前に用意しておくようなものです。「不動産業」を開業する場合に、当人は営業保証金を支払うか、あるいは保証協会に入会するかのどちらかを選択することができるのですが、現在は保証協会に加入する方が日本全体の不動産会社の 98%を占めるそうです。違いはずばり「金額」。例えば、主たる事務所(本店)を1つ、その他の事務所(支店)を1つ設置して開業する場合、営業保証金の場合は本店につき1,000万円、支店1つにつき500万円、合計1,500万円の資金を事業開始前に供託所に収めなければなりません。それが「保証協会」に加入する場合だと本店につき 60万円、支店1つにつき 30万円ですから 90万円で開業できることになります。もっとも、安い金額で入れるものの加入後の規定も罰則も厳しいです。保証協会の社員の地位を失ったときには、当該地位を失った日から1週間以内に営業保証金(1,000万+ 500万×支店数)を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければなりません。お客様が不動産の取引で損害を生じた場合、「営業保証金」あるいは保証協会における「弁済業務保証金分担金」から還付を受けることになります。

本試験で問われるのは、
両者における供託から開業までの流れ違いお客様への還付から新たに供託するまでの流れ、例えば廃業する場合のそれぞれのお金の取り戻しに関することなどです。非常に似通っているのでしっかり理解しなければ解けません。


2005年1月19日(水) その2 23.<宅建業法/宅建主任者>
私は10月第3週目の日曜日に行われる、年に1度の「宅建主任者試験」に合格しましたが、合格したからすぐに不動産会社で宅建主任者として「重要事項の説明」の業務を行えるわけではありません。再三、この「宅建主任者への道」や「雑記帳」でも書いておりますが、今の私は「宅建試験合格者」であって「宅建主任者」ではありません。宅建主任者になるまでの第1段階をクリアしたばかりです。主任者に至るまでに、さらに第二段階.「登録」第三段階.「交付」をクリアする必要があります。いずれもスキップや免除をすることはできません。必ず、「合格」→「登録」→「交付」という順番で進まなければなりません。

私は今月末から実務講習の勉強を始めます。これは実際に不動産業で働いていない人のため、あるいは不動産業で働いていても経理や受付などの役職で、契約に関わる業務を行っていない人のために設けられている講習です。仮に不動産業で実務をこなすためには「2年」の経験を経て初めて登録に至るのですが、これから私が受ける実務講習はそれを半年間で終了させます。しかし、合い間に2日間のスクーリングや修了試験での得点のノルマもあるので決してあなどれません。実務講習の全てを満たして初めて「登録」申請が可能になります。もちろん、既に実務経験を2年以上有する方は、試験に合格すると直ちに登録申請が可能です。

登録申請したらすぐに主任者証が交付されるわけではありません。
「登録の基準」という非常に厳しい審査を受けることになります。一昔前の悪徳商売の代名詞である「不動産業」を一新するため、例えば、未成年者(例外規定あり)、破産者で復権を得ない者、宅建業法や刑法の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者、不正の手段により登録を受けたときなどの理由で登録の消除処分を受け、その処分の日から5年を経過しない者、などは登録の基準に該当しないため、登録申請が認められないことになります。

厳しい審査を経て、登録を終了したら晴れて主任者証が交付されるかと言えばそうてはないんですよ。私も宅建の勉強をして改めて認識したのですが、法律は非常に頻繁に変わります。昨年勉強しただけでも、区分所有法、民法における抵当権、都市計画法における国立大学の独立行政法人化、相続税法、消費税における内税方式への変更などさまざまな法律改正がありました。宅建主任者は不動産業における法律のプロたる役職であるべきなので、
宅建試験に合格後1年を経過している者は、交付申請をする前に法定講習を受講しなければなりません。例えば私は 2004年12月1日に合格証を受け取りましたが、2005年ではなく 2006年に実務講習を受けるとすると、合格から主任者証交付までの間に1年以上の期間が空きます。その場合には登録から交付までの間に法定講習を受講する必要があるということです。以上を経て初めて「宅建主任者証」の交付を受けることができるわけです。

こうまでして交付を受けた主任者証ですから、引越しや結婚などによって
勤務先、住所や苗字(名前)が変更する場合、無くしたりなどして再交付を受ける場合、事務禁止処分などによって主任者証を提出する場合、有効期間5年を終了して再更新する場合などの場合に非常に細かな規定があり、本試験でもそれらを問われます。上記の「登録の基準」も必須項目で、これがまた宅建業を開業する場合の「免許の基準」と似通っているので覚えるのが大変です。

余談ですが、本試験中に係員が、受験願書の写真と本人が一致しているかを確認するために一人一人の顔を確認していました。不正受験を防止するためです。
不正受験が発覚した場合、最長3年間は試験が受けられなくなります


2005年1月19日(水) その3 24.<宅建業法/免許>
重要事項の説明を行うために宅建主任者証という資格が必要なように、不動産業を開業するためにも免許が必要です。
悪徳業者を排除するために宅建業法で規定されている「免許の基準」は宅建主任者における「登録の基準」同様、非常に厳しいものとなっています。

8大制限、三大書面、営業保証金と保証協会。みな規定が非常に似通っていて本試験もそこを突いてくるのですが、免許の基準と登録の基準も同様です。とにかく「どこがどう違うのか」をしっかり頭に入れておかないとひっかかってしまいます。免許申請の場合も、
破産者で復権を得ないもの、不正の手段により免許を受けたときなどの理由により免許を取り消され、その取り消しの日から5年を経過しないもの、などのように「登録の基準」と全く一致する規定と、免許の申請前5年以内に宅建業に関し不正又は著しく不当な行為をしたもの(例えば、免許の申請前に無免許で営業をするなど)他、免許の基準のみに規定されたものがあって頭がこんがらがってしまいます。本試験では1問の中に「免許の基準」と「登録の基準」を複合して問うので、あせらず勉強したことを1つ1つ思い出す必要があります。



2005年1月19日(水) その4 25.<宅建業法/用語の定義>
宅建業法という単元で、まず最初に学んだのが「用語の定義」でした。最初、ぴんとこなかったのですが宅建業法の各項目を進んでいくにつれてその重要性がわかります。

宅建業法は、「宅地建物取引業」において一般消費者を保護するための規定です。何気ない記述ですが、裏を返せば、「宅地建物取引業」でない行為は、それを行うための免許も必要ないですし、その中で行われた行為による業務違反は宅建業法違反ということにもなりません。以下は今回の本試験で出題された問題です。

「問題」; 宅建業の免許に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

「選択肢」
1.Aが、その所有する農地を区画割して宅地に転用したうえで、一括して宅地建物取引業者Bに媒介を依頼して、
不特定多数の者に対して売却する場合、Aは免許を必要としない。

2.Cが、その所有地にマンションを建築したうえで、自ら賃借人を募集して
賃貸し、その管理のみをDに委託する場合、C及びDは、免許を必要としない。

3.Eが、その所有する都市計画法の
用途地域内の農地を区画割して、公益法人のみに対して反復継続して売却する場合、Eは、免許を必要としない。

4.Fが、甲県からその所有する宅地の販売の代理を依頼され、
不特定多数の者に対して売却する場合、Fは、免許を必要としない。

正解は2です。つまり、2以外は全て宅建業の「免許」が必要です。選択肢の青文字において「用語の定義」の理解力が試されます。「宅地建物取引業」とは、自ら行う宅地又は建物の売買・交換、あるいは他人の宅地建物の売買、交換、賃借の代理他人の宅地又は建物の売買、交換、賃借の媒介(あっせん)、これが定義です。また、宅建業の「業を行う」とは、不特定多数の者を相手にその行為を反復又は継続して行うこと、これが定義です。以上のことから、「自ら行う宅地又は建物の貸借は、たとえ、それを業として行ったとしても宅地建物取引業には該当しない」ことになります。よって選択肢2は宅地建物取引業に該当しませんので免許も必要ないということになります。

補足ですが、選択肢2の「用途地域内の農地」は、
登記簿上は農地でも宅建業法では「宅地」を意味します。これも定義の1つです。公益法人「のみ」であっても不特定多数の者を相手とすることに変わりはありません。



2005年1月20日(木) その1 26.<法令上の制限/宅造法・その他の法令>
前回までの宅建業法を一気に終え、「法令上の制限」という単元に入りました。「宅建で学ぶ法律と出題傾向」で述べたように、この単元では耳にしたことはあるものの内容は良くしらない様々な法律を学びますが、宅建業法と同じく、
宅建の試験では重要な得点源とすべき単元です。全 10問の出題中、7、8点の確保を目指します。

宅造法は、正式には「宅地造成等規制法」という法律です。この法律を含めて
森林法自然公園法都市緑地保全法地すべり等防止法河川法などという法律を「その他の法令」としてこの単元の最後に学ぶのですが、構える必要はありません。本試験で問われることはただ1つ。各法律内で規制の対象となる行為を行うために必要な手続きは、誰に許可を取るのかということだけです。法律の内容を問うのは「宅造法」のみで、その他の法令は全く内容を問いません。つまり、ここは得点源です。

下記の宅建業法での用語の定義においても法律における用語の定義の重要性を書きましたが、この「法令上の制限」でも各法律における用語の定義をしっかり覚えることが合格の鍵をにぎります。宅造法では宅地造成工事規制区域内において「宅地造成」を行う場合には、当該工事に着手する前に、
都道府県知事の許可を受けなければなりません。それでは何を持って「宅地造成」と呼ぶのか。その定義は「宅地以外の土地を宅地にするための土地の形質の変更」です。裏を返せば「宅地を宅地以外にする」行為は宅地造成に該当しません。こういう単純なことを本試験でも問います。それでは、「宅地」とは? 「土地の形質の変更」とは?・・・。 法令上の制限の項目は、1つ1つの用語の意味をひとつひとつ正確に理解することによって学んでいく単元です。しかし、その中でも宅造法・その他の法令は法律の内容の深くを問いません。生産緑地法で規制されている行為を行うには誰の許可が必要なのか、文化財保護法において重要文化財の現状を変更する場合などにおいては誰の許可が必要なのか、など本試験で問われることは非常に単純です。

とは言え今回の本試験は、宅造法1問、その他の法令1問のいずれもひねりのある問題でした。結果的に私は2問とも正解したのですが、正直言ってラッキーな得点です。


2005年1月20日(木) その2 27.<法令上の制限/農地法>
ここは「法令上の制限」という単元での得点源です。深い内容を問わず、ひねった問題を出さず、しかも範囲が非常に狭いので確実に1点を確保できます。

ここもまず、「農地」とは何を定義するのかということから学びます。勉強して初めて知ったのは、登記簿上の名目によらず現況として耕作の目的に供される土地を意味することです。その農地を、

1.他人に農地として権利移動する → 3条許可、
2.自分で農地以外にする → 4条許可
3.他人に農地以外への転用目的として権利移動する → 5条許可

が本試験で問われる内容です。ただ、やっかいなのが「権利移動」の定義で、上記の「土地区画整理法」と非常に似通っていますが異なる定義をしっかりと理解する必要があります。それをふまえて本試験の設問を良く読んで、この問題文が1.上記の第何条のことを問いているのかを判断し、2.権利移動に該当するのかそうではないのかを判断し、3.農地法の許可が必要なのかそうでなないのか、あるいは許可ではなく届出のみで良いのかを判断します。

私は本試験で正解しました。


2005年1月20日(木) その3 28.<法令上の制限/土地区画整理法>
宅建試験全50問中、10問の出題となる「法令上の制限」は7、8点の得点が目標となりますが、得点が難しい法律の1つがこの土地区画整理法にあたり、法律の中に出てくる多数の「専門用語」と「範囲の広さ」にとまどってしまいます。ただ、法令上の制限の他の法律同様、1つ1つの言葉の意味をしっかり理解し、乱雑な土地を土地区画整理事業によってどういうふうに区画整理し、住みやすい街へと変化していくかの流れを抑えることが大切です。

土地区画整理事業は、その施工者の立場によって「民間施行」、「地方公共団体施行」、「公的施行」に区分され、その1つ1つの中でさまざまな規定があります。「仮換地」、「換地処分」、「保留地」、「従前の宅地」などという言葉は、むしろ実際に行政での土地区画整理の対象地域に住んでいる方は耳慣れた言葉だと思うのですが、そうでない方にとっては言葉の意味プラス区画整理の流れを理解するのが大変です。本試験では言葉の意味そのものを問うよりも区画整理の流れの中での細かい規定を問うことが多いようです。

私は本試験で間違えました。専門誌では、今回の本試験 50問の中で9つの問題に「難易度A」をつけているのですが、その1つがこの問題に該当します。テキストに載っていることを「応用」した難題でした。


2005年1月20日(木) その4 29.<法令上の制限/国土利用計画法>
地価がどんどん下落している昨今、この法律が宅建試験に出題されるのは少し場違いな気がしますが、逆にバブルの頃は重要な位置を占める法律だったようです。地価の高騰を抑えて国土を有効利用するために制定された法律です。ここも試験では得点源になります。

日本の国土を地価に合わせて「規制区域」、「注視区域」、監視区域」、「区域外」を指定し、それぞれの区域の中である一定面積以上の土地取引を行う場合には「許可」や「届出」をする必要があります。

規制区域 → 許可制
注視・監視区域 → 事前届出制
区域外 → 事後届出制

しかし、現在の日本はむしろ景気対策のために開発を奨励する必要があり、「規制区域(最も規制が厳しい)」として指定されている区域は日本にはありません。「注視区域」、「監視区域」も非常に少なく、ほとんどが「区域外」となっています。よって本試験でも「区域外」で行われる土地取引に関する「事後届出」についての出題が多い傾向にあります。

要点だけをごく簡潔に述べると、事後届出は、土地売買等の契約を締結した場合に、権利取得者が、契約を締結した日から2週間以内に、1.契約の当事者の氏名、2.土地の利用目的、3.権利移転又は設定の対価の額、などを都道府県知事に届け出ることです。再三書きますが、法令上の制限は用語の定義が大事であり、「土地売買等の契約」、「権利の移転又は設定」が何を意味するかをしっかり理解しなければいけません。さらに、上記の赤文字について「事前届出」との違い、詳細は述べませんが「一団の土地」という言葉の意味もしっかり抑えることが必要です。

ちなみに事後届出には一定面積以下での適用除外があり、1.市街化区域・・・2,000u以下、2.都市計画区域(市街化区域を除く)・・・5,000u以下、3.都市計画区域外の区域・・・10,000u以下 の土地取引の場合には事前届出は不要です。このことも本試験では上記とからめて出題します。それをふまえて、問題文を読みながら、1.許可・事前届出・事後届出のいづれに該当するのか、2.許可や届出を行うべき面積に該当しているのか、権利移転又は設定に該当するのか、などを1つ1つ確認しながら問題を解く必要があります。

私は本試験で正解しました。しかし今回は「事後届出」だけではなく「事前届出」に関する出題もされています。やはり、事前届出のみに絞らず、事前届出、許可も抑える必要があります。



2005年1月21日(金) 30.<法令上の制限/建築基準法>
個人的に非常に好きな法律です。範囲が広く専門用語も多々ありますが、1軒の家を建てるためにどういう基準をクリアしなければならないかというしくみ=建築申請、それぞれの地域において秩序ある軒並みを形成するための基準=用途制限を知ると、街を歩いていても楽しいものです。何故、静かな住宅地の中で「理髪店」は営業可能なのか? 学校などの公共施設の天井はどういう高さの基準があるのか? 車を運転していて見かけるビル屋上の看板にはどういう決まりが適用されているのか? たまーに、高層ビルで上の階の部分が斜めにぶったぎられている構造があるが何故なのか? 「居室」と「納戸」の違いは何なのか? 何を持って「道路」と呼ぶのか? 知れば知るほど「うんちく」が身について非常に面白いです。

本試験は建築基準法から2問出題され、私は1問正解しました。「国税」のところでも書いたように、今回の本試験は例年と比べて「異質」、「難解」という評価をされていますが、その中の1つが私が間違えた「用途制限」です。区域がまたがる場合の適用関係は、過去問を見ても似たような問題が無くひねりのきいた問題でした。自分の復習のために本試験の問題を掲載しておきます。

「問題」; 建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

「選択肢」
1.建築物の敷地が第一種住居地域と近隣商業地域にわたる場合、当該敷地の過半が近隣商業地域であるときは、その用途について特定行政庁の許可を受けなくとも、カラオケボックスを建築することができる。

2.建築物が第二種低層住居専用地域と第一種住居地域にわたる場合、当該建築物の敷地の過半が第一種住居地域であるときは、北側斜線制限が適用されることはない。

3.建築物の敷地が、都市計画により定められた建築物の容積率の限度が異なる地域にまたがる場合、建築物が一方の地域内のみに建築される場合であっても、その容積率の限度は、それぞれの地域に属する敷地の部分の割合に応じて按分計算により算出された数値となる。

4.建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合、建築物が防火地域外で防火壁により区画されているときは、その防火壁外の部分については、準防火地域の規制に適合させればよい。

私は選択肢の3を選びましたが正解は2です。つまり、1、3、4は記述通りということになります。今に思えば、選択肢1の「過半主義」を私が選んだ3にそのまま当てはめています。あれほど按分主義を強く言われたのに! 2の場合、第二種住居専用地域にある部分には北側斜線制限が適用されます。もちろん斜線制限のことは学んだのですが、区域がまたがる場合の適用関係は勉強しませんでした。勉強していないということは過去に問われていないということです。やはり「異質」です。



2005年1月22日(土) その1 31.<法令上の制限/都市計画法>
「都市計画法」、「建築基準法」、「土地区画整理法」、「農地法」・・・。耳にすることはあっても実体はどういうものなんだろう? そういう法律をこの単元で学ぶことになります。一言で言えば、この単元は「暗記」することが必要であり、もしかすると人によって得意不得意がはっきり分かれる科目かもしれません。しかし、日本に多々ある法律、またテレビで数ある法律関係の情報番組の基礎となる法律を、ここでみっちり勉強するのは非常に面白いです。

「都市計画法」は、文字通り、住みやすい街づくりを設計するための法律です。「開発許可」、「市街地開発事業」、「地区計画」、住宅専用地域や商業地域、工業地域などを含む「用途地域」他、日常でも耳にする言葉の意味、それらを道しるべとして一つの大きな「街」を作る流れをここで学びます。

本試験は都市計画法から3問出題され、私は2問正解しました。「法令上の制限」全 10問で言えば7問の正解になります。実は間違えた問題(問18)は、試験終了直前に「イージーミス」をしてしまったことがわかってしまった問題です。ミスをしてしまったことがわかった瞬間に終了の合図が出てしまったので訂正することができませんでした。既にミスをしてしまったことがわかっていたので自己採点を行うまでは何とも不安でした。本試験は、それまでの模擬試験や答案練習とは異なって全く時間の余裕が無く、終了直後はパニックを通り越して放心状態でした。そういう方々が多かったと思います。その中でもずっと頭にこびりついていたのがこのミスです。解答速報の前に自分でミスがわかったということは非常に簡単な問題だということで、専門誌での難易度も「D」ランクです。合格した今だからこそ1つ1つのミスを冷静に見つめることができるのであって、不合格であれば「悔やんでも悔やみきれない」ミスになっていたことでしょう。


2005年1月22日(土) その2 32.<宅建試験を振り返って>
もし宅建を目指している方が御覧になっている場合のため、また、今年新たな資格を目指す私自身のためにも昨年のことを記しておきたいと思います。

私は5月から宅建の勉強を、文字通り一から始めました。家業のためでもあり、私自身のためでもあります。本当に無知だったので「宅建業法」の単元に入って初めて、試験に合格すれば「宅建主任者」になるわけではなく実務講習が必要ということもわかったぐらいです。自分で言うのもなんなんですが勉強は嫌いではありません。どちらかというと好きと言えるかもしれません。仕事に追われ新しいことを学ぶ余裕もなかった毎日の中で出会った宅建の勉強は、非常に新鮮で頭をリフレッシュさせてくれました。

しかし、学生の頃に比べはっきりと「記憶力」、「集中力」の低下を実感しました。実は講義を受けている間もそうでしたが、自宅で勉強している時は特に集中力が散漫になってしまい、それをわかっていてもなかなか修正することができませんでした。2回目の模擬試験(9月20日)は、得点的には問題なかったのですが自分としてはかなり「イージーミス」を痛感した結果だったので、
9月末から本試験までの約3週間は学校に出向いて自習していました。今に思えば、それが合格への大きな助けになったのかもしれません。周りに人がいるのは、見方によってはかえって集中力が散漫になる方もいるとは思うのですが、「みんな頑張っている」という姿を見ると、やはりそれが勉強への励みになります。もちろん、人それぞれに勉強の仕方があると思うのですが、時間の許す限り学校で自習するほうが集中できるかもしれません。あくまでも個人的な意見ですが。

5月になって「答案練習」が始まりました。白状しますが1回目の答案練習は非常に緊張しました。生講義ではなくビデオによる勉強での始まりだったのもあり、とにかく学生以来の「試験」だったので喉がからからだったのを覚えています。結果として好スタートをきることができました。宅建本試験の翌日に学校に出向いて先生と話をしたのですが、話の中で毎週の答練や模擬試験の
成績表を掲示することの「プラス効果」を伝えたつもりです。先生は「良くも悪くも」、つまり悪い側面もあるという言い方をしたのですが、「競争心」はプラスに働けば気持ち的に非常に大きな原動力となります。私の中でも常に意識している方の名前があって、「今回は勝った」、「今回は負けた」という感情を非常に良い方向に意識できたと思います。

学生の頃からそうでしたが、勉強は「めりはり」だと思います。それと
「毎日」すること。ホームページの更新もそうですが、週末にどーんと大量更新するよりも、日々少しずつアップするほうがかえって楽です。勉強も然り。私は長くても3時間以上ぶっ続けで勉強に集中できるタイプではないのを自身でわかっていたので、だらだらと勉強するのではなく、今日はこの単元、今日はこの単元というように日々の目標を持って勉強を続けました。もう少し具体的に言うと、9月に入ってからは半月で全単元、つまり10月の本試験までに全科目を3回復習できるようにスケジュールを組み、テキストに合わせて答練、模擬試験、過去問を何度も頭に叩き込みました。半月で全単元ということは、1日単位に換算するととテキスト約50ページ分になります。ただ年齢による「記憶力」の低下によって半月前のことでさえ復習したことはうろ覚えになってしまうので、本試験直前の週は、

火曜日・・・「税法その他」
水曜日・・・「宅建業法」
木曜日・・・「法令上の制限」
金曜日・・・「民法」
土曜日(本試験前日)・・・
予備日(万が一、金曜日までに全科目を終われない場合、あるいはどうしても覚えにくい事柄を再度復習)
日曜日・・・本試験当日

というようなスケジュールを組みました。
前日の土曜日に勉強スケジュールを入れるのは危険です。「焦り」につながりますし、正直言って前日は既に緊張しているのでほとんど頭に入りません。土曜日は、勉強するというよりも各単元の答練や模擬試験で間違えた箇所、どうしても覚えづらい箇所を見直すぐらいでないといけません。逆に言えば、金曜日までにしっかり「これで大丈夫」と思うぐらい復習することが大事です。また、私の場合は「税法その他の法令」が得意科目だったので、試験が近づくにつれ苦手な科目へ進んでいきました。

民法、法令上の制限、宅建業法と次第に覚えていくことが増え、7月に入ってからの「税金その他」の単元が非常にきつかった時期です。「地方税」のところでも書いたのですが、そこで挫折しなかったのは先生の励ましと「絶対合格する」という気持ちでした。結果として「税法その他」は自分にとって得意科目、重要な得点源となりました。再三言いますが、「税金その他」は絶対捨ててはいけません。他の3つの単元での取りこぼしや「イージーミス」を救う非常に重要な単元です。

7月いっぱいで宅建の全範囲を終えるまでは、講義の時間を含めると
1日8時間程度は勉強していたと思います。8月以降は講義の時間(2時間半)を含めて1日5時間程度。本試験までを通して「予習」をする余裕は結局1回もありませんでした。また、「ノート」も持たず、「参考書」も買わず先生の言葉とテキスト、答案練習、模擬試験、過去問のみで本試験まで勉強を続けました。その週、その週で学ぶ単元の復習、過去問を解くのでせいいっぱいでしたが、とにかく先生が言う言葉を良く聞いて、先生の言葉の強さ(声の大きさ)によってテキストに引くアンダーラインの色を赤、青に変え、黒板に書かれていることは全てテキストの余白部分に書いていきました。私も宅建の勉強を始めてあらためて実感したのですが、法律は本当に頻繁に改正されます。本屋で販売されている参考書は法律改正の記述が遅れている可能性があります。独学という勉強形態でも構わないとは思うのですが、参考書だけの勉強ははっきり言えば危険です。学校に通って初めてわかったことです。

8月1日に行われた1回目の模擬試験で予想外に高得点を取ったのは、結果として
「油断」、「中だるみ」となってしまいました。これは自慢なのですが、1回目の模擬試験は全国で20位以内でした。学生の頃でもこんな成績は取ったことがありません。宅建の合格圏内である 15%以内に入り非常に嬉しかったのですが、少し怠慢になってしまったのは事実です。。折りしも8月中旬からオリンピックが始まったこともあって、スポーツ好きな私はテレビを見ながら勉強するという悪い状況になってしまいました。2回目の模擬試験が約1ヶ月半後の9月20日に行われたのですが得点が伸びず、前回と同じ得点でしたが全国での順位は30位以下に下降。学校での成績も2位に落ち、「1回目の模擬試験より1点でも点数を伸ばす」ことを自己目標に掲げていた私は少しショックを受けました。でも今考えてみると、そういう結果になってしまったことによって本試験までの3週間、自宅での勉強を止めて学校まで行って勉強する体制に変わり合格に結びついたので、2回目の模擬試験の得点が伸びなかったほうがむしろ今では良かったと言えるのかもしれません。

本試験当日の「焦り」はとても言葉では伝えることができません。ただ、前日は緊張しましたが当日は不思議と「緊張」はしませんでした。「やるだけやった」という達成感がありましたので。 しかし模擬試験や答案練習では全問を見直す余裕があったのに、本試験では全くその余裕が無く、人生の中で最も2時間を短く感じました。また模擬試験や答案練習は、この問題は確実に正解している、この問題は少し迷ったという自己得点の予想がある程度できたのですが、本試験はとんでもない! 「何が正解していて、何が間違っているのか」、その判断さえできませんでした。本試験(午後1時〜3時)終了後、午後6時からの解答速報までの時間は「やばい」、「もう駄目だ」、「宅建試験を甘く見ていた」という思いだけが頭のなかでぐるぐる回っていました。

午後6時からの学校での「解答速報」は、別のクラスの方も一同に会した中で始まりました。おそらく皆さんもそうだったと思うのですが、最初の民法の自己採点で「もう駄目だ」と思う方々が大半だったと思います。私自身、血の気が引くような感じがして、途中で自己採点をするのを止めようかと思ったぐらいです。今年、「マンション管理士」でそういう気持ちを再びするのだと思うと非常にブルーな気になりますが、年齢を重ねて
「これ以上頭が錆びる前に」出来る限りの勉強をしようと思っています。

私の本試験の自己採点は
「38点」でした。「民法」15問中8点、「法令上の制限」10問中7点、「宅建業法」16問中15点、「税金その他」9問中8点、計38点です「35点獲得」を目指す勉強の中でのプラス3点は「税金その他」です。このホームページを御覧になっている皆様のために、何とか「税金その他」の単元の重要性をわかってもらいたいですね。ここを得点源とすることができれば他の科目での「イージーミス」をカバーすることができ、宅建試験の合格はかなり近づくと思います。実際の経験者の意見として理解していただければ幸いです。

現在はさまざまな資格があって私もいろいろ情報収集をしていますが、先生が何度も講義中におっしゃった
「宅建は勉強した分だけ点数に結びつく」という言葉をしみじみ感じています。裏を返せば、勉強しなければ合格できません。それでも運に左右される「行政書士」他の資格とは違って、勉強した時間がちゃんと得点に現れる宅建はやりがいのある資格だと思います。これは自慢しているように聞こえなければ良いのですが、先生の言葉、テキスト、答案練習、模擬試験、過去問を徹底的に繰り返せばノート、参考書は必要ありません。そしてあきらめずに「絶対合格する」という意思を持つことです。


最後になりますが、私は自宅から学校までの往復5kmを雨の日以外は歩いて通いました。9月末からは、講義を受けた後に一旦家に戻り、午後6時頃から8時半頃まで再び学校で自習したので、毎日 10km の「ウオーキング」をしたことになります。もちろん自分の体質改善のためですが、学校までの道のりは、それまで車中からしか見たことの無い風景を歩いて通う新鮮さ、自宅から学校までの間の気分転換として非常に大切な時間となりました。今年もおそらく2月から「マンション管理士」という資格の勉強のために、再び同じ道を歩いて通うことを今から楽しみにしています。


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