rhapsodie -- scherzo


「このままじゃ話にならねェ」

どかり、と土方が畳に腰を下ろした。そんな土方に視線をやるに、土方は座れ、と声をかける。訝しげに目を細めたの腕から血がたれるのを見れば、チッと舌打ちをした土方は急かすようにもう一度。土方の隣に腰を下ろした沖田も、まぁ座りましょうや、なんて声をかけた。彼らを少しの間見つめた後で、はやっと畳へと腰を下ろす。そうして顔を上げ、土方と総悟へと視線をやった。それを受けて、土方が口を開く。

「・・で、だ。お前は、と言ったな」
「あぁ、そうだ」

寸分おかずに答えるに、土方は過去の隊士たちの名前も振り返るが、やはり聞いた事のない名前だと眉を寄せる。そんな土方に続いて、隣の総悟が口を開いた。

「ここは真撰組ですぜィ。真っすぐに、撰ぶ、組。」
「・・・・・・真っすぐ?真・・、真剣の、真か?」
「あぁ」

総悟の説明に、怪訝そうに問いかけたは、土方の答えにはっきりと眉を寄せた。どういうことだ。まさか新政府が、わざわざ新撰組と分けるためにそんな名前をつけた組を発足させた?けれどそれなら、新撰組の存在も、の名も、知らないはずがない。ましてや、土方や沖田を名乗る意味など。そう考えをめぐらせるに、総悟は説明を続ける。

「基本的には警察をしてて、まぁ攘夷志士の取り締まりだとか、あとたまに不可抗力的な感じで天人の保護とか」
「・・・あまんと?」

さらりと説明をしていた総悟の言葉にあった聞きなれない単語に、が言葉を零す。そうすれば、それに驚いたのは土方と総悟だった。今のご時勢、いや、少なくとももっと前から、普通に生活していれば天人の存在を知らないなんてことはありえない。けれど彼の様子は明らかに知らないものに対する反応だった。知らねーんですかィ?と聞いた総悟に、いぶかしみながらも、あぁ、とが答えれば、少し何かを考えたらしい土方が、立ち上がって部屋の障子を開いた。そこから見えたものに、は目を見開く。

「・・・・・・・なんだ、これは」
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