rhapsodie -- scherzo
「・・・・それは・・本当か?」
土方たちの説明を受けて、最初に零れたのがその言葉だった。ああ、と頷く彼らを前に、はもう一度、障子の外へと視線をやる。そこにある、自分のいた世界とはまったく違う景色を、すっと目を細めて見つめた後で、はゆっくりと目を閉じてひとつ息を吐き出した。そうして、そうか と淀みなく零したに、総悟が表情の変わらない顔で口を開く。
「納得したんですか?」
「納得・・と言うと少し違うかな。」
曖昧な言葉を返しながら、は思う。きっと自分は、違う場所にいるのだろう。でなければあるはずがない建物が、生物が、地名が、 ――― “真撰組”が、この場にあるのだ。こうして目の前にあっては、納得しているしていないではなく、受け入れるほかにない、というのがの内心だった。そうしてふと思う、以前の自分はこれほど物分りがよかっただろうか。いや、そんなことはなかった。それでよく、土方さんを困らせたりして ――― そんなことを思い返して、の口には笑みが浮かんだ。微笑みではない、自嘲に似たそれ。そうだ、彼らがいないからだ。その笑みを見た土方が、鋭い目でを見る。
「・・・これからどうするつもりだ、お前は」
その言葉と土方の目に、の頭に今目の前にいる彼とは違う、“土方さん”が浮かぶ。どうしてこんなに、似ているんだろう。戒めるようなその目も、死ぬなと訴える声も、本当にそっくりで。
「・・・自分から、死にはしないさ」
零れた声は、先ほどまで彼らと対峙していたときの声よりも、ずっとずっと柔らかいものだった。