rhapsodie -- scherzo
「それが、俺がきける、土方さんの・・・みんなの、最後の願いなんだから」
答えながら、ふわり が笑う。その目は、土方をも総悟をもみていない。ただただ、ひたすらに仲間たちだけを追っている。その姿に、土方は眉を寄せる。こいつは、まるでここにいねぇみてェだと。
「・・・あなたたちには、謝るよ」
ようやくが土方たちに視線を送り、小さく笑う。申し訳なかった。そう告げた声は澄んでいる。
「どうやらここは、俺がいた日本じゃないらしい。空にあんなものはなかったし、天人なんてもの、いるはずがない。今は戊辰戦争の真っ只中だ。 ――― きっと、もうすぐ終わるだろうけれど」
口元に笑みが浮かぶ。よくわからないけれど、なにか、すべてがなくなっていく感覚がした。すべて、どうでもよくなるような。そのなかで一つだけ、確実にあるものは、安堵感だけだ。よかった、と小さくが呟く。
「あの人たちの誇りは、あの人たちだけのものだ」
誰にも穢されることはない。あぁ、けれど、どうしようか ―― ここでは、死ぬまでにやろうとしていたことが、生きるための理由が、ひとつだってない。