rhapsodie -- scherzo
小さな声で、考えをまとめるように、独り言のように呟いた彼に、土方が胸の内に感じた感覚に耐えるように目を細めた。気持ちが、わからないことはないからだ。その隣でじっとを見ていた総悟が、一歩その足を踏み出す。やはり気配には敏感なのだろう、ちらりと目を向けたに、総悟が口を開く。
「アンタ ――― さん、て言いましたっけ」
「・・ああ。・・・・・総悟、だったっけ。」
ふわり、笑みを浮かべてが返した。沖田、と呼ぶことは出来なかったのだろう、よく見てみれば総司よりも幼い。土方も同様だ。まるで、みんながみんな、生きて笑い合っていたころの彼らのように。軋む胸を押さえるように笑みを深くしたに、総悟は少し眉を寄せると、それ、と顎での刀を示した。
「手合わせしてくだせェ。」
「・・・構わないよ、外で?」
「今じゃねェ、アンタが全快したらで」
その言葉に、はわずかに、そして土方は大きく目を見開いた。総悟はそれらを気にすることなく、真っ直ぐにへと視線を送っている。じわり、また着物へと滲む傷口からの赤。あぁ、この子は、俺に理由をくれようとしているのか。そう理解して、はそっと目を閉じた。「、風邪が治ったら僕と試合だからね。」試衛館のころの総司が瞼に浮かぶ。ゆっくりと目を開いたなら、髪の短い彼に向かって笑いかけた。
「・・そうだな、出来たら」
けれどやはり 彼らは、俺の大切な彼らではないんだ。