rhapsodie -- scherzo


「どうして・・・・・土方さん、は・・・」

ゆれる、その表情のままで、が呟いた。呟いた、というよりは、ただ声が漏れてしまったというだけかもしれない。だって、こんなこと、予想どころか考えもしていなかったのだ。彼は、土方は、たしかに、自分の見ている前で ――― 。そんなを怪訝そうに見ながら、土方が口を開いた。

「倒れてたんでつれてきたんだが・・・起き上がれんなら、大丈夫そうだな」

その言葉に、はハッとする。そうだ、自分は斬られて、意識を失って。だとしたら、この人はきっと自分を助けてくれたんだろう。きっと、他人の空似だ。髪型やら、服装やらは違うんだし ――― 。自分にそう言い聞かせて、はひとつ息を吐いた。

「・・すみません。助けていただいたこと、ありがたく思います。」

軽く、頭を下げる。そうすれば、土方は不審がりながらも、いや と返した。が持っている刀を気にしながらも、構えを解いた様子に銜えていた煙草の煙を吐く。

「ところで、ここは?」
「あァ、ここは俺たちの・・」

の問いに土方が答えきる前に、土方の後ろからひょこりと男が顔を出す。その彼を見るために視線をずらしたと、振り向いた土方の視線の先にいたのは、この場所、真撰組の一番隊隊長である総悟だった。

「なんでィ、目ェ覚ましたんですかィ」

つまんねェや、と漏らす総悟に、お前は何しに来たんだ?と呆れたように問う土方。その2人を前に、はまたも目を瞬かせる。なんで?どうして?どういうことだ?ひとつだって答えが出ないままに、何の考えからでもない声だけが、から漏れる。

「総司・・さん・・・・?」
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