ぼんやりと目が開いた。なんつーか、息苦しい・・っつーかなんだこれ、とか思ってるうちにふと自分がどっかに寝てることに気づく。顔に感じる感触は、たぶん枕・・うつ伏せ?つーかなんだ一体、これ俺のベッドじゃねぇだろ。そう思ってとりあえず仰向けになろうとしたら背中らへんが引きつって、思わず声が漏れた。(いって、)(・・なんだ?)そしたら聞こえた、声。・・・





What made in winter
12. You are heroine.






「・・・?」
「シリ、ウス、」

さっきまで顔が向いてたのと逆側に顔を向けると、そこにはやっぱり(今更の声を聞き間違えるとは思わねぇけど)がいた。その瞼がはれてて、俺は少し(というかかなり)驚く。今までが泣いてるとこなんてみたことねぇし、・・そもそもこの状況が理解できていない。声をかけることも出来ないでの顔を見てたら、しばらく俺の顔をじっと見ていたが、ポロポロと泣き出した。・・・っえ、ちょい待て、俺が泣かしたのか!?(何もしてねぇぞ)(・・たぶん)焦ってる間にも、は手で顔を覆って本格的に泣き出す。ちょ、と思わず声が漏れて、実際なんかところどころ痛ぇんだけど、このままでいられるわけもねぇし体を起こしてベッドに座った。

「っ、だ、だめだよシリウス、寝てないと」
「平気。それより、なんで泣いてんだよ」

俺が起き上がったのに気づいたが慌てて椅子から立ち上がって寝かせようとするのを制して、聞く。そうしたらまたが泣き出して(え)(ちょ、マジで俺!?)リアルに慌てたところで、が小さな声を零した。(涙で、かすれてる)

「、め、んなさ、」
「え?」
「ご、め・・ん、ごめ、ん、ね」

ごめん、とひたすらに謝ってくるに、一瞬疑問がよぎって、そのあとすぐに魔法薬学の授業がフラッシュバックした。(――― あぁ、そうか。)そうすればすぐにこの状況にも納得がいって、が謝っている理由もわかって、けど、俺としては謝ってもらうところじゃない。だってあれは、咄嗟に体が動いたものだし、何よりあれで俺がを守れなかったら、俺としてはそっちの方が後悔したはずだ。かなり迷いながらも手を伸ばして、の頬に触れる。涙を拭うみたいに親指で触れれば(・・温かい)、が驚いたような目で俺を見た。そんなに、大丈夫だって、と笑う。

「俺が好きでやったんだから、謝んなよ」
「でも」
「いいから。・・そうだ、、怪我は?」

の体は小さくて、俺がでかいっつーのもあんのかもしんねぇけど、抱きしめたらすっぽりおさまってたはず(・・・そーいやせっかく抱きしめたのに感覚とか全く覚えてねぇ・・)、だけどもしかしたら。そう思って聞けば、は首を横に振った。(・・あぁ、よかった)心から、ほっと息を吐いたところで、シャッとカーテンが開く。やってきたらしいマダムが、どうして起き上がってるの、と俺を寝かそうとする。(っちょ、無理矢理すんな!)(痛いっつーに!)俺とマダムがんなことやってるうちに、は「ジェームズたちを呼んでくる」って医務室を出て行った。



「・・と、ゆーわけさ」

肩を疎ませながら話を終えたジェームズによると、あれはどうも一番前の席に座っていたやつの薬が爆発したらしい。後ろにいた生徒たちは教授が魔法で守った(ちょっと見直したね、というのはリーマス曰く)とかで無事だったけど、俺たちはちょうどその前にいたからモロにそれを受けて、俺の背中には大きな火傷があるらしい。(あーだからうつ伏せ・・)まぁそこはホグワーツの校医、少しすれば綺麗に治るけどしばらくは医務室にいるようにマダムに言われちったし、正直今はあんま動ける気もしねぇし、「しょうがねぇか」と呟けば、ジェームズが大袈裟に息を吐いた。

「全く、どれだけ心配したと思ってるんだい」
「・・・悪かったな」
「でもまぁ、を守ったところは褒めてあげるよ」
「かっこよかったよ、シリウス」

笑うリーマスと、頷くピーター。どうやって反応したものかと、「うるせ」と返せば、ジェームズがうつ伏せにベッドで寝てる俺の頭をぐいと枕に押し付けて(ってオイ!)「男をあげたじゃないか!」と笑った。




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