さっきの授業は、スリザリンとレイブンクローの合同授業だった。スリザリンはレイブンクローにはそこまで絡んでくることはないんだけど、でもこう、やっぱり緊張?というかヘマはできないと思うから疲れる。けどまぁ、なんとか無事に終わったし!次は授業が入っているとは違って、わたしは空き!やったね!って軽い足取りで歩いていたら、前を歩いていた、スリザリンのスネイプ急に立ちどまって、ちょっとそこでとまってから廊下を逆戻りしていった。なにか忘れ物でもしたのかもしれない。だって、すごい嫌そうな顔してたし!まぁ、ドンマイ!わたしもよくあるもんなぁなんて思いながら近道の中庭を突っ切ろうとしたら、なにか白いものがすごい勢いで、・・・・って、白?




What made in winter
03. Run away early !






「やりー」

つめた!とか、そういうレベルじゃなかった。なんだこれ・・・!っていう気持ちのほうが大きいっていうかホントなんなんだコレ!?そう思って軽くパニックになるわたしとは裏腹に、誰かの楽しそうな声が聞こえた。あれ、誰だったっけこの声、どこかで聞いたような。大きい衝撃にそのまま後ろにしりもちをつくように座りこんだわたしは、その声を聞きながらとりあえず慌てて顔にぶつかったものを除けようとした。だって、これ、つめた・・・!(たぶんっていうか確実に雪玉だよコレ!)っていうか、なんで私がこんな目にあってるの?こんなにうらまれるようなことした!?してないよ、だって私、レイブンクローの子以外とはそんなに関わりないし、むしろこういうことしてくるタイプの友達いないもん・・・!いそいそと雪を除けようとしても、意外と硬くて取りづらい。それに、だから、冷たいんだってば・・!(寒いんだってば軽く凍えてるよわたし!)

「・・オイ、ちょっと待った。」

とりあえず口周りが取れて息ができるようになったところでまた、別の声がした。低くて通る、綺麗な声。これも、どこかで聞いたような・・?でも正直悠長にそんなことを考えてる暇はない。魔法をかけたのか妙に雪は取れないし体温で溶けた雪がローブや制服にしみこんできたしこのままじゃ本当に凍傷になってしまう・・!(これ大げさじゃないよ!)(本当にそのくらいつめたいんだよ!)

「っスネイプじゃねぇって!」
「・・えぇ!?」
「うわ・・・っ」

慌てるわたしに、何人かの声と足音が近づいてくる。スネイプ?スネイプを狙ってたの?そっか、スネイプさっき戻ってったもんね。よかったねスネイプ!って、その代わりにこんなことになってるわたしって・・・。そう思うと同時に、スネイプにこういうことをする人 イコール で何人かの顔が浮かんできた。もしかして、それって。やっと雪を全部どかして、顔を上げるとそこにいたのは想像していた通りのお方たち。(ヒィ・・!)

「・・・・・・!?」

グリフィンドールの、シリウス・ブラック!あぁやっぱり、スネイプを狙うっていったら一番に思い浮かぶのはこの人。そう、あのときだって結局被害にあったのはスネイプらしかった。だって、あの後にたまたま見たスネイプの顔・・・!ごめんね、って心の中では謝ったけど!(本人になんて言いにいけるわけがない!)
そういえば、この人だったと思う。声が、綺麗だなって思った人。凄く焦ったような顔をしているのは、スネイプじゃなかったから?それとも、わたしはそんなにひどい顔をしてるのかなぁ。とはいえ人気者の彼らにかかっては綺麗なのなんてリリーとかだけなんだろうけどさ!(ポッターがリリーに夢中だっていうのは学校中の周知の噂だ)

「君は・・」
「ごめんね、大丈夫かい?」

ブラックの後ろから、グリフィンドールのポッターにルーピン、それからペティグリューが顔を出した。やっぱり、このメンバーだったんだ。心配そうにしてくれるルーピンたちには悪いけど、ごめんで済んだら警察もアズカバンもディメンターだっていらないのよ!だけどこのお方たちにそんなことを言えるほどわたしには度胸はないし、それにまぁ雪をぶつけられただけなんだったらもうそれはそれでいいから、この状況を打破することが先だ・・!だって、スネイプみたいにやられたらわたしこれからホグワーツで生きていけない!ごめんねスネイプ、同情はするけど代わってあげたいなんて全然思ってあげられないっていうか全力で拒否なんです!

「だ、大丈夫。じゃぁ!」

同級生相手に頑張って逃げることしかできないっていうのむなしい話だけど、如何せん相手が相手なんだからしょうがないと思うわたしは、たぶん間違ってない!曰く悪戯仕掛け人の彼らに標的にされたりして、今の平和な日常が崩されることだけは、どうしたって勘弁なのです。

あぁ、どうか今後、こんな災難はありませんように!!





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