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ベッドに寝転がって、俺は上を見上げた。普通に天井があって、いつもどおりで、あー・・と思わず声が漏れた。「どうかしたかい」なんて聞いてくるジェームズになんでもないと返して同じように天井を見る。つーかアレだ、さっきは勢いで羊皮紙なんて挟んだけど、実際返事が返ってくるかは微妙だ(と、思う)。なんにしたってが風邪を引いた原因は俺たちなんだし、なのにあんなこと言われたって なぁ・・考えれば考えるほど気分は沈んでって、同じように身体までベッドに沈んでって、あーもーだめだな 俺 なんて思っていたところで、コツン と窓が鳴った。(・・・まさか!) 「おわっ!?なんだい、パッドフッド!びっくりするじゃないか!」 自分でも驚くくらいの速さで起き上がった俺が窓の外をみれば(うるせぇジェームズ!)、期待通りにふくろうがいた。そして、手紙を持ってる。すげーびくびくしながら窓を開けて、ふくろうについていた手紙をとった。二つ折りになってる、羊皮紙。To ― Sirius Black って書かれてるそれを開いて、俺はとりあえず一番下に目をやった。書いてある名前は、・。(ちょっと待て、これはマジだよな?)(・・来た・・!) What made in winter
06. "Do you make friends with me if okay ?"
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こんにちは、ブラック。 教科書を拾ってくれてありがとう。それから、心配してくれてありがとう。風邪のほうは、もともとちょっと風邪っぽかったのもあるから、全部ブラックたちのせいってわけじゃないし、そんなに気にしないでね。まぁ、ちょっと冷たかったのは本当だけど。・・なんて、うん、冗談です。 それで、お詫びをしてくれるっていうことなんだけど、そんなに大したことじゃないから、気にしなくてもいいよ? ただ、もし頼めるなら、板チョコを1枚買ってきてもらえないかな。今すごく食べたいんだけど、明日のホグズミードは少し無理そうなんだ。だから、もし頼めたら、お願いします。 ・
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・・・チョコ?って、それでいいのか?つーかやばい なんだこれ、絶対顔赤いって俺、うわ!(くそ、なんでこんなにドキドキしてんだよ心臓・・!)とりあえずベッドに座ってもう一度その手紙を読み返して、俺は絶対に赤くなってる顔を手で覆った。(いつからこんな単純になったんだ、俺・・)いやもう絶対買ってくって。甘いモンなんて好きじゃねぇしチョコなんてリーマスの机の引き出し開けりゃごろごろあるだろーけど、でも明日、ハニーデュークスで買ってこよう。でもって、面と向かってに謝ろう。そうやって心に決めて、その手紙をきちんと二つ折りして引き出しに入れてもう一度ベッドに寝転がった。気分はかなり違うけどな!(ジェームズに不審そうな目で見られようが今はかまわねーよ) で、翌日、無事チョコを獲得してきた俺は(リアルに格闘だった・・)(つーかなんであんな甘い臭いがすんだよハニーデュークスは・・!)、大広間の入り口でを待ってた。風邪引いてんだし来るかどうかはわかんねぇけど、来なかったら来なかったでしょうがねぇし、俺が待ってたかったからってのが一番の理由だと思う。全くいつからこんなふうに考えるようになったんだか。はー と息をついたところで、が目の端に映った気がして、俺は顔をそっちに向けた。したら、まさにが俺を見て少し驚いたような顔をしてた。手を動かして、来い来い と合図をすれば、は周りに目をやって不思議そうな顔をしてから、こっちに歩いてきた。(あーくそ、かわいい) 「・・えと、私?」 「あぁ。これさ、今日買ってきたから。」 あー・・今 俺、と話してんだよな。頼むから、いつもどおりに話せよ!自分にそう言い聞かせながら、俺は買ってきたチョコをに手渡した。(・・手、小せぇな)チョコを受け取ったは、チョコを見て、それから俺を見て、「ありがとう」って笑った。(・・・ちょ やば!)(モロにきた、モロに!) 「いや、てか・・元々俺たちが悪かったんだし。悪かったな」 「ううん、いいよ。手紙で謝ってくれたんだし」 「けど、お詫びっつったってチョコだけだろ」 俺の言葉に、「でもそれは私がチョコがいいって言ったからだよ」ってが言うけど、俺としてもこのままだとすっげー悪いことしたって気分が消えないっつーのもあるし、なんか、プライドっつーかなんつーか、そういうのもあって譲らない俺に、少し考えるようにしてから(また新しい仕草だ、それ)、「それじゃぁ、」ってが顔を上げた。(結構、身長差はあるな・・)(俺の背のせいだけど) 「もう1つ、お願いしていい?」 「おう。なんだ?」 「あの、えーと・・、友達になってください!」 「・・・・、え?」 ・・え、なんていった?友達って?え、が?(俺の聞き間違いじゃねぇ・・よな?)(え、マジで!?)驚いて思わず聞き返した俺に、「あ、もちろん、よかったらの話だけど」って、が慌てて手を振る。(そうだ、放心してる場合じゃねぇぞ俺!)いや、そんなのむしろ俺のほうが願ったりなくらいで・・なんて言いそうになって、俺はとっさに口を押さえた(正直、顔が赤くなってる気がしたからっつーのもある)(何やってんだ俺、ポーカーフェイスくらい出来るだろーが!)。とにかく、撤回される前にと思って、俺はなんだか張り付いたみたいになってた喉から声を出した。 「や、俺はもちろんいいけど・・その、そんなんでいいのか?」 「うん、あ、でも悪戯するのはやめてね」 俺が慌てて言ったら、が悪戯っぽく笑って俺を見上げてきて、なんかもうホントそれが可愛くて、俺は思わず笑った(もう微笑ましいっていうか、笑うしかないっていうか、)(むしろニヤけてるかも、俺)。は、え って驚いて、「なんで笑うの?」ってなんか拗ねたみたいに聞いてきた。なんでって、が可愛いからだよ(言えねぇけどさ、こんなこと)。こみ上げてくる笑いを歯の奥でかみ殺して、あー と俺は声を漏らした。にしたってどうすりゃいいんだ?友達の第一歩って。(ジェームズとかん時はどうしたっけな・・)(・・いや、あいつは変人だから参考になんねぇ)(リーマスとか、ピーターとかは?)(・・なんかあいつらも一般的じゃねぇよな) 「あー・・っと・・じゃぁ、・・、でいいか?」 「うん。私もシリウスでいい?」 行き当たりばったりダメで元々で、俺はの名前を呼んだ。(・・・名前呼んだだけで、すっげドキドキしてんだけど・・)そしたら、も俺のこと名前で呼んでくれて(・・うっわ・・・・!)(俺の名前、知ってたんだ)(つーかヤバい!これやべぇって!)、俺はどう返していいかとかまで気が回んなくて、おう って返したら、・・じゃない、 が(いちいち照れてんなよ、俺・・)、「なんか照れるねー」って笑った。気持ちはわかる。なんかむず痒いっつーか、いや、俺の場合は普通に恥ずかしいっつーか嬉しいっつーかそういうのなんだけど。 「あ、じゃぁ、私、とかが待ってるから・・」 「おう。じゃぁまたな、」 「うん。チョコありがとね、シリウス」 なんつーか、もう今日は俺やり遂げた。今日やろうと思ってたレポートだとかなんかいろいろあった気もするけど、もう今日の俺の仕事は終わったようなもんだ。たぶん上機嫌で先にテーブルに着いてたジェームズの隣、リーマスの正面に座れば、「何やってたんだい?」なんてジェームズに聞かれるけど、誰が言うか。おまえらに言った時点でからかわれんのは目に見えてんだよ。「べつに」ってジェームズから顔を背けて皿に自分の夕食をとろうとしたところで、ちょうどと目があった(・・・・あ。)。俺はかなり驚いたけど、むこうも驚いたみたいに、あれ って顔をしてから、にこー ってが笑った(・・・これが、友達ってことだよな)(すげぇ進歩じゃねぇか、これ?)。うわ なんて思うけど、なんとかそれを押しとどめて、俺も返すみたいに笑った(つもり、だ)。そうして幸せな気分に浸ったのもほんの何十秒かで、気づいたら俺の周りのやつらはみんなしてニヤニヤ笑って俺を見てた(・・まさか、見られたか・・?)。 「早く夕食を食べちゃおっか」 「君の気持ちを思って全ては部屋で聞くことにするよ」 「洗いざらい話してくれたまえ、パッドフッド」 ・・・・・くそ、やらかした・・・!(でもが笑ってくれたからここはしょうがない、我慢だ俺・・!) |