青森県音楽資料保存協会

事務局日記バックナンバー

<2003年12月(1)>

(61)青森県での取り組み その26
(62)青森県での取り組み その27
(63)青森県での取り組み その28
(64)青森県での取り組み その29
(65)青森県での取り組み その30
(66)青森県での取り組み その31
 
(61)青森県での取り組み その26 2003年12月 1日(月)
 昨日も触れました川崎祥悦氏(昭和7年 青森市生まれ)は学校音楽教育の変遷に直に接してこられた方です。過去から現在に至る「学習指導要領」にも精通されており、その件についてもいろいろなお話を伺いました。
 そこで話題になったのが、現在の学習指導要領「日本の音楽、特に郷土の伝統的な音楽重視」の傾向です。

 例えば、小学校の鑑賞教材の項では「郷土の音楽」という言葉が新たに登場。
 中学校の表現教材の項では、前回指導要領「我が国及び諸外国の民謡」の部分が「郷土の民謡など我が国及び世界の民謡」へと変更。
 中学鑑賞教材の項では、前回「郷土の音楽」の部分が「郷土の伝統音楽」へと明確化。
 中学校の選択教科としての音楽においては「郷土の伝統芸能など地域の特質を生かした学習」という新しい文が挿入されるなど、「郷土の伝統」という部分が、以前より強められてきたようです。

 10月17日に「岩手県の取り組み」、10月22日より連載の「秋田県の取り組み」の中で、
両県学校の郷土芸能の取り組みについてご紹介いたしましたが(未見の方は一番下の「次のページ」をクリックの上、関連記事をご参照下さい)、両県とも地域の保存会の方が学校にやってきて、地域の方による伝統芸能指導の機会が増えているようです。

 これは、総合学習の配慮点への項で見られる「地域の人々の協力」、「地域の教材や学習環境の積極的な活用などについて工夫」などの表現。
 さらに、指導計画の作成等に当たって配慮すべき点への項に見られる「開かれた学校づくりを進めるため、地域や学校の実態等に応じ、家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深める」という表現を受けて、地域の保存会の人が学校現場に入りやすくなったことが一因なのかもしれません。

 年明け、市では、青森市・八戸市・弘前市・黒石市の各教育委員会が、担当地区学校の郷土芸能の取り組みへの5年ぶりの再調査にかかっていただけるようです。
 新学習指導要領の影響を受け、青森県内学校での取り組みが、平成11年の調査に比べ、どのように変化しているか、結果が気になるところでございます。

 さて、連載は「西北五学区」の最終回です。

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〔西北五学区 その5〕 平成11年 県文化課調査資料より 

【市浦村】 〔 〕内は参加人数

〔相内小学校〕
◎相内虫送り〔59〕
・相内地区の虫送り行事に参加(年1回、6月第1土曜日)

〔太田小学校〕
◎さなぶり(虫送り)〔18〕
・太田地区の虫送り行事に参加(年1回、6月第1週平日)
◎太刀振り踊り〔?〕

〔脇元小学校〕
◎小馬踊り〔38〕
・脇元岩木山神社大祭に参加(年1回、旧暦8月1日)

〔十三小学校〕
◎十三の砂山踊り〔41〕
・十三の砂山まつり(8月)、十三地区運動会(6月第1日曜日)

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【小泊村】

〔下前小学校〕
◎下前権現太刀振り〔41〕
・村の郷土芸能まつり(7月)、下前権現まつり(8月)

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【板柳町】

〔板柳中学校〕
◎板柳音頭(流し踊り)〔100〕・・「りんご灯祭り」パレード

〔沿川第一小学校〕
◎五林平太刀振り〔118〕・・・運動会、板柳町りんご灯まつり

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【鯵ヶ沢町】

〔鯵ヶ沢高等学校〕
◎鯵ヶ沢甚句流し踊り〔375〕
・学校祭(年1回)、2学年の修学旅行(韓国)において、
 交流校との学校交歓会で披露
◎蒼海海鳴り太鼓〔8〕
・学校祭の2日間、2日目は一般公開で発表

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 次回より、県内学区めぐり最後「上十三学区」となります。
 
(62)青森県での取り組み その27 2003年12月 2日(火)
 世界を舞台にご活躍されている青森県出身の作曲家の方は何人かおられます。下山一二三氏もその一人です。
 
 作曲家に限らず、芸術家の中には、自分の携わる芸術分野においては特化した素晴らしさを示してはいても、それ以外の部分においては、必ずしも、作品の質に比例するとは限らない。これは過去の多くの芸術家の伝記などから伺えるところでございます。
 芸術家の本領は他とは異にする作家自身の個性であり、作品にそれが大きく発露されるということは、それだけ強烈な自己主張を持っているということで、そういった場合、自己中心的なアクの強さが多分に発散。
 芸術家としては尊敬できても、一人の人間としては・・・というケースが、ままあるようです。

 インターナショナルを舞台にした芸術の分野で特に求められるのはオリジナリティー。
 海外では他者のモノマネは一切通用しない非常な厳しさがあるといいます。そんなシビアな独自性を求められる世界の舞台で確固たる評価を得ているのが下山一二三氏です。

 他者の追随を許さない、その強靭な下山氏の個性に、例えば1972年ISCMイタリア支部主催第6回世界作曲コンクールで42カ国、全応募作品1005曲から「リフレクション」、「5つの弦楽器のためのエキソルシズム」、「混声合唱と打楽器とピアノとホルンのための息」の3曲が同時入選するなど、海外では大きな評価が与えられています。

 と、こういった強烈な個性をお持ちの作曲家ですから、人間的にもさぞかし、クセのある方かと思いきや、下山氏に関しては上記芸術家の一般論はあまりあてはまらないようでございます。
 作曲のお仕事で多忙のところ、当協会設立までのこれまでの2年間、そして現在も(10月12日の日記でも一部触れております)、いろいろお力添えをいただいておりますが、その人格高潔なお姿には、いつも敬服するところです。

 そういった下山氏ですから、ファンも多く、先ごろ下山氏研究者の手により下山氏のホームページが開設されたようです。
 下山氏の言によると、海外で情報を求めている方が少なからずおり、そういった方に情報を発信する必要性から、今回、ホームページを開設することにしたとのこと。

 このホームページの内容で、「下山一二三」という作曲家の姿をとらえることができます。が、青森県音楽資料保存協会としては少し満足できない点もあります。

 下山氏は「津軽」という視野から自分の作品を限定して見られるのは本意ではない。そういった形で自分の世界を狭くしたくないと語っておられますが、津軽という風土が下山氏の音楽に多大な影響を与えていることは紛れもない事実です。

 津軽三味線や津軽民謡の旋律が使われることはありませんが、「津軽の風土」が抽象化された形で作品のすみずみに流れており、これが下山氏の作風を強烈に印象付ける一つの要因となっています。これは下山氏も認めるところです。

 さて、その下山氏のホームページはあくまで世界向けであり、日本のシモヤマという扱いであって、下山氏の作風の根底を流れている「津軽」という部分にあまり深く言及していないようです。
 当協会としては、そういった点を補足しておく必要があろうかと考え、下山氏を郷土青森とのかかわりからとらえた記録を、現在、作成中でございます。まとまりましたら、ご紹介したいと考えております。なお、当協会を窓口とした下山氏の主要音楽資料の保存管理作業はすでに終了しております。

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 さて、連載は新しい学区に入ります。

〔上十三学区 その1〕平成11年 県文化課調査資料より

【六ヶ所村】〔 〕内は参加人数

〔泊小学校〕
◎神楽〔11〕・・・校内学習発表会、村民俗芸能発表会

〔平沼小学校〕
◎神楽〔56〕
・校内運動会、校内学習発表会、村民俗芸能発表会

〔倉内小学校〕
◎神楽〔17〕・・・校内学習発表会、村民俗芸能発表会

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 下山一二三氏のホームページは次のURLから参照できます。

http://shimoyama123.web.infoseek.co.jp/

 
(63)青森県での取り組み その28 2003年12月 3日(水)
 青森県の音楽資料の保存、そして活用を進めていくためには所在情報はもちろんのこと、青森県の音楽資料を取り巻く「現状把握」は必須のものとなります。それを知ることで保存、そして将来の活用作業への方策、作業の優先順位などが決定されます。
 「現代創作音楽」の分野においては多数の情報を得ており、その情報に基づき、すでに具体的な音楽資料(楽譜・録音物・その他の音楽資料)の保存作業に着手しております。
 それ以外の分野における青森県の音楽資料に関しましては、冒頭で述べた現状把握の作業を進めており、それらの情報に基づき、今後、協会として、資料の保存・活用に関しまして、どのような役割が出来るのかを検討していくことにしております。
 現在連載している県内学校の伝統芸能への取り組みも、青森県の音楽資料を取り巻く現状把握の作業の一環であり、子どもたちの伝統芸能に対する活動状況を把握することによって、各地域の伝統芸能の地域的特色、そして子供たちの活動をバックアップする保存会の現在の活動状況なども同時に浮かび上がってまいります。

 青森県では来年度より市町村合併への動きがますます加速していくようです。
 ここで危惧されるのは、地域の伝統芸能保存の、ある意味パトロン的存在でもあった各役場の機能が集約化されていくことで、地域の伝統芸能の中には途絶えるものが出てくるのではないかということでございます。
 この点において、「青森県の多様性ある文化」が「画一化」の方向へと向かい、ますます青森県の個性が失われるのではと心配される方も少なくはないようでございます。

 すでに東通村から、平成17年度開校に向けた大規模な学校統合が予定されており、学校における伝統芸能への取り組みについても、その方法などが、検討されているところだという情報をいただいております。
 また、来年度より戸来小学校と統合し閉校することとなる新郷村の小坂小学校(児童数26人)では11月15日に閉校記念の学芸会が開かれ、「古里の宝」をテーマに「ナニャドヤラ」「ヨサコイソーラン小坂バンザイ」の児童の踊りや合唱、そして保護者や地区住民による歌舞伎などの発表が行われ、地域の伝統を心に刻んだと聞きます。

 現在連載で掲載している各学校の情報は平成11年度のものであり、事務局では各市町村の教育委員会に最新データが得られないかお願いしているところでございます。
 これは新学習指導要領の影響で伝統芸能に取り組む学校が、岩手・秋田の両県では増加しており、青森県でも同様のことが考えられ、過去のデータは現在の情報として意味を持たないのではないかという点が一つ。
 もう一つは、学校の統廃合が進む前に、最新データを得ておくことにより、以前この地域でこういった伝統芸能が学校現場でおこなわれていたという「地域史料データ」として将来意味を持ってくるのではないかという点が挙げられます。
 市町村合併が生む弊害に、青森県の多様な文化が影響されないよう、事務局では関係機関と連絡を取り合いながら、青森県の音楽文化という面においてお役に立てないかを、検討しているところでございます。

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〔上十三学区 その2〕

【十和田市】〔 〕内は参加人数

〔米田小学校〕
◎南部駒踊〔35〕
・運動会、神社例大祭、伝統芸能まつり(2年に1回)、
 秋まつり(3年に1回)
◎さんさ踊り〔27〕

〔大不動小学校〕
◎鶏舞〔24〕
・運動会、伝統芸能まつり(2年に1回)、秋祭り(3年に1回)

〔上切田小学校〕
◎南部駒踊〔13〕
・運動会、太素祭、駒っ子まつり、神社例大祭(計4回)、
 伝統芸能まつり(2年に1回)、秋まつり(3年に1回)
◎へいそく舞〔?〕

〔滝沢小学校〕
◎南部駒踊〔13〕
・神社例大祭、運動会、学習発表会、(計3回)、
 伝統芸能まつり(2年に1回)、秋まつり(3年に1回)

〔大深内小学校〕
◎南部駒踊り〔111〕
・運動会、秋まつり、駒フェスタとわだ、
 小牧温泉カッパまつり、老健施設の慰問(計5回)、
 伝統芸能まつり(2年に1回)

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(64)青森県での取り組み その29 2003年12月 4日(木)
 昨日、むつ市教育委員会の担当課より、むつ市も再調査に向けて動きたいとのご返答をいただきました。青森県内各市に限ると、これまでの青森・八戸・弘前・黒石(回答順)に続き、むつ市も、教育現場における伝統芸能への取り組みの再調査に向け、動き出すことになりそうです。
 ところで、むつ市の担当の方から、平成11年調査の経緯はどのようなものなのですかとのご質問を受けました。
 以前、こちらでも触れましたが、それは次のようなものでございます。
 
 木村前知事が「子どもの文化」を施策の中心にしたことで、県教育委員会では「子どもによる郷土芸能フェスティバル」と「子ども音楽家を育てる支援事業」を、子ども関連事業とし、平成12年度より、県文化課で行うことになった。
 その後、青森・岩手・秋田の三県知事サミットが青森県で行われ、様々な共同事業についての話し合いがなされた。そのとき「子どもたちによる郷土芸能フェスティバル」を三県合同で開催しようということとなり、まず一番初め(平成13年度)に青森県から開催することになった。しかし、県民文化祭などで大人の郷土芸能を発表することは何度もあったが、「子どもたちだけの郷土芸能の発表会」は開かれたことがなく、青森県では学校や地域での子どもたちによる郷土芸能の活動状況を全く把握していなかった。
 そこで、各学校に対し、「郷土芸能の活動状況の一斉調査」をすることになった。この調査結果が、平成11年度の資料です。昨日も触れましたが、これが県で把握している一番新しいデータとはいえ、内容が現状に合致していないことが予想され、再調査が望まれておりました。
 昨年度に文化庁の「地域の伝統的な芸能等の活用のあり方に関する調査研究」の報告書『民俗芸能で広がる子どもの世界』(編集・発行 社団法人全日本郷土芸能協会)という
本の編集委員を務められた方からのお話では、学校における様々な取り組みについて知る機会を得たが、なかなか最新のデータが得られずに苦労したとのことです。
 行政主体の調査は、ともすれば一度行うとそのデータ更新が行われず、10年以上もたなざらしとなるケースが少なくない中、再調査に向け、青森県内の各自治体が取り組みの姿勢を見せているというのは大変意義あることではないか、とのご意見をいただいております。
 
 また、この事務局日記でも何度かご紹介している秋田県の「たざわこ芸術村」の(財)民族芸術研究所の小田島清朗氏より、青森県での再調査活動への参考資料として下さい、とのことで岩手県・秋田県で実際に学校への伝統芸能調査で使われたアンケート用紙をいただきました。
 秋田県のものは、小田島氏の民族芸術研究所で原案を作り、秋田県教育委員会に渡したとのことで、実際に用紙を作って調査した後で浮かび上がってきた反省点、こうすればより良くなるという改善ポイントなども同時に頂いております。
 何もないところからスタートするのではなく、こういった過去の蓄積の上に新しい書式を考えることで調査も、より良いものになるのではないかと、いただいた情報は当協会を通じ、再調査の意向を示している県内各自治体担当部署へご提供させていただいております。岩手・秋田の書式を参考に、ここにそれぞれの自治体で把握・調査しておきたい項目を加味していくことで、より効率的・実用的なアンケート調査ができるものと考えております。
 事務局日記で繰り返し強調している点に「情報共有」がございます。各自ゼロから出発するのではなく、過去の失敗や反省点、良かった点などの情報をお互い参考にし合うことで、それぞれ発展的な方向へ成長していくことが可能になる。
 それを再認しているところです。

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〔上十三学区 その3〕

【三沢市】〔 〕内は参加人数

〔三沢小学校〕
◎駒踊り〔114〕・・・運動会

〔三川目小学校〕
◎海鳴り太鼓〔54〕
・運動会、学習発表会、卒業式、三沢ジャパンデー、
 米国基地BX記念祭、県献血推進大会、老人ホーム

〔織笠小学校〕
◎織笠神楽〔6〕
・三沢市民俗芸能発表会、学習発表会、織笠地区のお祭り、
 その他要請時
◎塩釜神楽〔10〕
・三沢市民俗芸能発表会、学習発表会、その他要請時 

〔谷地頭小学校〕
◎鶏舞〔17〕
・斗南藩記念観光村開村祭、老人ホーム、
 三沢市民俗芸能発表会、学習発表会

〔根井小学校〕
◎根井神楽〔13〕
・三沢ワールドマーケット、知的障害者通所授産施設、
 学習発表会、卒業生を送る会
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 文化庁の「地域の伝統的な芸能等の活用のあり方に関する調査研究」報告書
『民俗芸能で広がる子どもの世界』については、次のURLより情報を得ることができます。「書籍」の項目に情報が出ています。

http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~jfpaa/

 
(65)青森県での取り組み その30 2003年12月 5日(金)
 地域の行事が、近代化の波を受け、急速に消滅しかけているのは周知の事実でございます。例えば、現在、青森市に合併されている野木村には、以下のような行事があったといいます。

【2月】(厄払いの節分から一年が始まる)
1日・・三歳の厄払い、初午(はつうま)
3日・・節分

【3月】
3日・・ひなまつり
10日・・駒込沢山の稲荷神社の春の御神酒上げ
16日・・山の神様が田へ降りる日
18日頃・・春の彼岸

【4月】
8日・・花まつり、薬師様の大祭
17日・・野木十和田龍神様、孫内の淡島様、細越神社の大祭。入内神社の神楽。

【5月】
5日・・端午の節句

【6月】
1日・・歯固めのモチ
14日・・横内妙見神社の宵宮
15日・・村のお堂の宵宮
23日・・村の地蔵堂の宵宮。高田豆坂のサイの川原

【7月】
7日・・ナヌカビ。ネブタの川流し。墓所の清掃。
13日・・お盆の入り。仏の棚を作って墓参り
16日・・早朝の仏流し
17日・・村の稲荷神社のお盆の御神酒上げ
20日頃・・土用

【8月】
1日・・お山参詣
15日・・十五夜。南部猿賀神社の大祭
17日・・中郡小栗山神社の大祭

【9月】
10日・・秋の稲荷様
16日・・山の神様が、田から山へ戻る日。入内の石神様。
17日・・村の保食様(馬頭観世音)
21日・・秋彼岸
28日・・ワッパ投げ
29日・・はでの九日

【10月】
20日・・百姓の荷縄おろし

【11月】
24日・・ディシコ様の年取り

【12月】
1日・・お岩木様の年取り
2日・・羽黒様の年取り
3日・・淡島様の年取り
5日・・エビス様の年取り
8日・・薬師様の年取り
9日・・大黒様の年取り
10日・・とごろ(自分の集落)の稲荷様の年取り
12日・・山の神様の年取り
13日・・虚空蔵様の年取り
15日・・八幡様の年取り
16日・・神明様とオシラ様の年取り
17日・・とごろの馬頭様の年取り
19日・・とごろの龍神様の年取り
23日・・二十三夜様の年取り
27日・・大掃除
28日・・正月モチをつく日。ご幣上げ
29日・・タヂマヂ(正月料理の食材を買いに行くこと)
31日・・大正月の年取り

【1月】
1日・・大正月、産土神社へ初詣り
3日・・お鏡開き
6日・・小寒
11日・・その年の吉方角にしめ縄を張る
14日・・小正月の年取り
16日・・けの汁を食べる
20日・・ホシモチをつく

 市町村合併により、属性を失った地域の行事が失われていくのは時間の問題なのかもしれません。また、多忙な現代人にとって、こういった事細かな地域の行事に参加しているゆとりがないというのも事実であり、行事の簡略化や省略は仕方のないところだとも思われます。
 ただ、こういった行事のほとんどに何らかの形で音楽が付随しており、地域行事とともに、それらも同時に失われていくのは、なんとも残念だと思われます。明確な形を持たない音楽のような形式は一度廃れたら回復は困難です。残せるとしたら、市町村合併が加速する前。今しかないのかもしれません。

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 さて、連載です。

〔上十三学区 その4〕平成11年 県文化課調査資料より

【東北町】〔 〕内は参加人数

〔千曳小学校〕
◎剣舞〔22〕・・地域の行事(敬老会など)、校内の学習発表会

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【下田町】

〔下田小学校〕
◎本村鶏舞〔131〕
・運動会(本村郷土芸能保存会のお囃子にあわせ披露する)
 学習発表会(保存会に加入の児童が発表)

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(66)青森県での取り組み その31 2003年12月 6日(土)
 当協会の副会長 故 北彰介氏より生前いろいろな青森県の昔のエピソードを聞く機会がありました。
 すでにこちらでいくつかご紹介していますが、ここに取り上げる「荒川」にまつわるお話も印象深いものでございます。

 昭和62年の6月、いつものように北氏は、自動車で荒川にかかっている「金高橋」を渡ろうとしたところ、見慣れぬ標柱が立っているのに気が付いたそうです。下車し、その標柱を見ると「堤川 青森県」。
 荒川村の中央を流れ、子どもの頃、水あぶりに興じた「荒川」が、ある日突然「堤川」とされており、ショック。ふるさとを奪われた気持ちになったそうです。
 地元からも、古くから親しんできた「荒川」の名を残してほしいという意見が次々と出て、大論争に発展していったそうです。
 
 その後、紆余曲折があって昭和63年、「荒川(堤川)」と書かれた標柱が立ち、とりあえず一件落着。でも、なんかサッパリしないんだよねとは北氏。
 北氏の小さい頃は荒川には魚がたくさんおり、それを、割り箸の先を二つに割り、縫い針を2〜3本仕込んだ手製のヤスで突き取り遊んだといいます。
 夕方になると、どこからともなく、ふんどし一本の本物のヤスを持ったオド様が現れ、
何匹か射止め、晩酌の肴にしていたということです。
 こういったたくさんの思い出が「荒川」という呼び名、その響きの中には込められていたのかもしれません。
 このような地域の名称に限らず、ふるさとへの心情、心のよりどころが凝縮されているものの一つが音楽です。
 それは、地域で子どもの頃に耳にしていた伝承音楽、わらべ歌などを老人ホームで耳にしたお年寄りの方の多くが胸に込み上げてくるものを禁じえず、涙されるというところからもわかります。

 今、青森県内の多くで、古くからの地域の様々な呼び名だけではなく、市町村自体も、大きく変わろうとしています。ここで、北氏のような感情を持っておられる方、「ふるさとの魂」のこもったものを、一層大切にしていきたいと考えておられる方は少なくないように推察されます。
 当協会の目的も、ここにつながってまいります。「ふるさとの音楽」を守っていくこと。これが、当協会の一つの役割でございます。
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 連載は十和田湖町となります。

〔上十三学区 その5〕 平成11年 県文化課調査資料より

【十和田湖町】〔 〕内は参加人数です

〔沢田小学校〕
◎鶏舞演舞〔58〕
・運動会、老人ホームとの交流会、
 その他学校外活動(別名称)にて年4回程度

〔十和田湖小学校〕
◎舞踊「十和田湖伝説」〔42〕・・・湖水まつり、運動会
◎子どもねぶた〔42〕・・・・国境祭(2回、学校外活動)

〔十和田湖中学校〕
◎ねぶたハネト〔18〕・・・・国境祭(2回、地域行事に参加)

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