(864)小倉尚継 論述集 その35 |
2011年 3月 5日(土) |
【自己表現を育てる合唱指導 その9】
◆そのA 表現力を育てる
●アンサンブル練習の活用
昭和60年4月号「アンサンブル」でも述べましたが、合唱団員が指揮者の指示に必然性を持って従い、十分表現力を発揮するためには、知的共通理解を持っているべきです。
たとえば、自分のパートは曲中の何を歌う役を持つのか、強弱、明暗、軽重、色合いはどうあるべきか、最大の聴かせ所はどこなのかなどです。
それが身にしみてわかるのは、アンサンブル練習だと思うのです。
ただ一方的に命ぜられるのではなく、自分の頭で考え、悩み、解決し、いつの間にか表現力を身につけることができる確実な道だと思うのです。
美しい表現の要素もここで経験し、身につけるでしょう。
より効果的であるためには、生徒達の勤勉な開拓心と、教師の勤勉で適切な助言が必要であることはいうまでもありません。
(つづく)
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(865)小倉尚継 論述集 その36 |
2011年 3月12日(土) |
【自己表現を育てる合唱指導 その10】
◆そのA 表現力を育てる
●意欲を持たせる
いい声でいい合唱を歌いたいという意欲を持たせることは、表現力を育てる確実な近道です。
それでは、どうしたら意欲を持たせられるか、次の十項目を挙げてみます。
(1)適切な曲により満足感・充実感を経験させる
(2)進歩の様子がわかるようにしてやり、ほめてやる
(3)全体の中で自分が活かされているという実感を持たせる
(4)実現しそうな目標をかかげてやる
(5)教師の情熱・積極性を見せる
(6)ほめてやって、少しずつ目標を高める
(7)定期演奏会・小演奏会を企画させる
(8)練習の最後はいつも感動的に終わる
(9)ハーモニーの中で合唱のすばらしさを感じさせる
(10)コンクールに参加する
(つづく)
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(866)小倉尚継 論述集 その37 |
2011年 3月19日(土) |
【自己表現を育てる合唱指導 その11】
◆そのA 表現力を育てる
●語録集の活用
団員が練習している時、フレーズとフレーズのほんの短い間に、指揮者は効果的な言葉を発して団員の表現力を高めることができる。
その語録集とは次のものです。
(1)発声に関するもの
額から吸う、匂いをかぐように、背筋に息を、メガホンを作れ、バケツをかぶれ、煙突立てろ、卵をくわえろ、洞窟作れ、音を縦に、音を釣れ、オはO型、頬を上げて、目を開けろ、体を鳴らせ、空気を鳴らせ、吠えるな、かぶせろ、魅力を出せ、色っぽく、みずみずしく、輝いて、つやを出せ、雑音をとれ、基本はハミング、体重をかけろ、まっすぐな声、安定させろ、もっと遠くへ
(2)歌い方に関するもの
俳句を読むな、流せ、時間いっぱい、はじき歌いだ、弓の矢をうて、気持ちを顔に、いつも新鮮に、休符で蓄積、新しい出発、向かって行け、頂点を極めろ、燃えろ、その音を成長させ、その音にエネルギー、納めて、和音を聴け、和音に埋まって、思いやりを、吐き出し唱歌、しーんと静まれ、弱音に勢いを、音を走らせて、水かき唱法だ。清潔な声。
いかがでしょうか。
なんだかわからないものもあるでしょうが、きっと思い当たる言葉が多いと思います。
これは私一人が集めたものではなく、本誌からも沢山いただいております。
(つづく)
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