青森県音楽資料保存協会

事務局日記バックナンバー

<2012年10月>

(902)小倉尚継 論述集 その73
(903)小倉尚継 論述集 その74
(904)小倉尚継 論述集 その75
(905)小倉尚継 論述集 その76
 
(902)小倉尚継 論述集 その73 2012年10月 6日(土)
【音楽と私 〜 歌の姿さまざま その2】
木造高校稲垣分校での講演  教頭・福岡幹根先生に招かれて(平成元年頃?)


 その頃、いつも通学を共にしていた友人が、歩きながら階名で歌っていたのにはびっくりさせられ、自分も是非そうなりたいものだと思っていました。丁度その折り、壊れかかったギターが手に入り、早速「古賀政男ギター独習30日」を買い、ギターの独学が始まったのでした。高校2年生の夏でした。では、その教則本から1曲。

 歌3 影を慕いて


 ギターを使って楽譜の読み方を勉強し、大抵の楽譜は歌えるようになったのはありがたいことでした。

 高校を出ると、青森市役所前の小さな文具店に務めました。この頃、はじめてのど自慢コンクールに出ました。NHKのど自慢では鐘三つを鳴らしましたが、歌う前は足が震えて喉が乾いて大変なものでした。

 しかし、前奏が始まり、歌が始まるところまで来ると、不思議に震えが止まって、普通に歌えたものでした。


 浪岡町の町村合併記念のど自慢大会では優勝して、馬力大会でもらうような優勝旗と新しいギターをもらいました。


 こんな大会に出ている内に、内気で無口な少年が、いつのまにかそうでなくなっているのに気づきました。それでは当時のど自慢によく歌われた曲を1つ。


 歌4 イヨマンテの夜

(つづく)
 
(903)小倉尚継 論述集 その74 2012年10月 7日(日)
【音楽と私 〜 歌の姿さまざま その3】
木造高校稲垣分校での講演  教頭・福岡幹根先生に招かれて(平成元年頃?)


 文具店は1年半で閉店しました。慌てて勉強し直して、教員になるための大学に入りました。

 今思ってみると文具店の閉店がかえって幸いだったのかも知れません。

 それ以来、どんなことがあっても「禍転じて福となす」のことわざを思い出し、何とか切り抜けることにしています。


 さて、大学に入るとクラシック音楽との付き合いが始まりました。高校2年生から手に取ったギターでの読譜力が大変役立ちました。普通の人より2年年上ですので、何か余裕を持っていられました。奨学資金も必要分だけ頂くことが出来、楽しく暮らすことが出来ました。その頃個室で練習した曲を1つ。


 歌5 マリアマリ


 青森西高校に赴任しましたら、この学校の教頭・福岡先生と一緒になりました。

 若い私達は機会を探しては青春を語り、教育を語り大いに歌ったものでした。


 源兵衛さんの赤ちゃん・夜明けの歌・風・真夜中のギター・希望・一粒の種などでしたが、その中から1曲。福岡先生とご一緒に歌いましょう。


 歌6 一粒の種


(つづく)
 
(904)小倉尚継 論述集 その75 2012年10月21日(日)
【音楽と私 〜 歌の姿さまざま その4】
木造高校稲垣分校での講演  教頭・福岡幹根先生に招かれて(平成元年頃?)


 青森西高校では合唱部を作り指導しましたが、毎年、部の送別会では泣いて別れるのが常でした。一生懸命活動した年ほど涙が多かったようです。

 ある年、送別会の余興で、相馬順子という生徒が「約束」という、とても悲しい歌を歌いました。子供が母親を病気で失うときの事を歌った歌です。思い出して歌ってみましょう。

 歌7 約束


 この稲垣をテーマに失恋の歌を歌ったらどんなものになるでしょうか、ちょっと試してみますのでお聴き下さい。

 歌8 稲垣の四季(四季の中の弘前替え歌)

     初めて愛があなたに芽生えた そんな気がする稲垣の春
     わずかな風にも花びら散らす そんな不安な私への愛
     いで湯の宿の灯が揺れて リンゴの花の匂いのする春
     初めて愛があなたに芽生えた そんな気がする稲垣の春

     ほんの一時熱く燃えるか ねぷた送り絵稲垣の夏
     日暮れ門毎送り火燃えて 燃えて尽きたら又元の闇
     蛍が飛び交う川端は あなたと私の思い出の道
     ほんの一時熱く燃えるか ねぷた送り絵稲垣の夏 以下略



 男声四重唱団ブルービーバーズは、私を含めた四人の男性と伴奏者一人、合計五人で構成されています。津軽に関係あるものを主に歌ってきましたが、その中から楽しい自作曲。

 歌9 雷様の話


 今日はこれまで、いろいろな種類の歌を歌いましたが、どんな歌でも心は一つ、表現する姿は違っていても、目的は、人の心を美しく伝えるということです。


 どうか皆さんも、真剣に心を伝えるための「歌の心」をしっかりと掴んで欲しいと思います。ではおしまいに「さらば草原よ」を歌ってお別れいたしましょう。

 歌10 さらば草原よ

 どうもありがとうございました。


(つづく)
 
(905)小倉尚継 論述集 その76 2012年10月28日(日)
【最近の二大出来事 その1】
(平成10年12月青西高「峰潮」原稿)


1.新校歌作曲

 「空にはばたく大鵬の 宇宙を抱く心持て」

 この言葉で始まる青森西高校新校歌の詩をいただいた時、やはり来るべき時が来たかと、覚悟を決めざるを得なかった。つまり、西高校が女子高校から共学高校に変わったという厳然たる事実と、新校歌の作曲が自分の責任にゆだねられたということに対しての覚悟である。

 思えば、これまでの校歌は、西高校20年勤務の私に完全にしみこんでいた。4月の新入生への校歌指導から、卒業式の全校合唱仕上げまで、何百回弾き、歌ったことだろう。しかも、作曲者の木村繁先生は、私の高校時代の恩師でもある。更に、三十余回の卒業生が、愛する校歌の存続を希望している。


 これらのことがすべてプレッシャーとなり、作曲の作業がなかなか進まなかった。作曲の手が止まった時、私は何と不幸な人間だろうと思ったり、いや、作曲を任されたのだからとても幸せな男なんだよなどと、さまざまに心めぐらし、ようやく完成することとなった。

 冒頭の2行は男子生徒を意識した低い音域で始めた。

 続いて

 「自主は試練の道しるべ 創造は未来の扉を開く」

 この2行では音域を高め、「未来の扉を開く」では短調に転じた。

 音楽には長調と短調の2種類があるので、それをフル活用したかったし、未来の扉も様々な色彩で開かれることを想像したからである。


 「我ら和して学ぶ 共に幸を描き 母校母校 永遠のふるさと 青森西高校に 栄えあれ」

 この部分は各節共通で、「共学と和」「卒業生への思い」を意識したところであろう。


 曲は再び長調にもどり、リズムを引き締め、母校母校と呼びかけ、繁栄を願って歌い終える。


 曲調は、作詞者川島東策先生らしく大らかなものとなった。


 前奏と後奏には、前校歌への想い断ちがたく、「天つ日の光りさやけし」の旋律をとりいれた。過去から未来への架け橋の役を担ってもらったことになる。


(つづく)


←前月     バックナンバートップ     ホームへ     次月→