青森県音楽資料保存協会

事務局日記バックナンバー

<2013年1月>

(912)小倉尚継 論述集 その83
 
(912)小倉尚継 論述集 その83 2013年 1月25日(金)
【東北大会3つの“残念!” その3】

 B 昭和55年東北大会。秋田市。課題曲は「野葡萄」、自由曲はコダーイの「聖霊降臨の村祭り」。野葡萄はともかくとして、自由曲の「聖霊・・・」は絶対の自信作だった。曲の起伏が明白で、千変万化のコンクール向きの曲だった。生徒達も実に良く歌っていたし、指揮者も若かった。ところが、ところがである。審査の発表を見ると愕然とした。五人の審査員の内、四人は97、8点、一人だけが74点。47年の弘前大会と全く同じ結果になったのである。

 漏れ聞くところによると、その一人の方は「聖霊・・・」の発音が駄目だったという。しかし、その方はマジャール語に詳しいかというとそんなことはないという。いくらくやしがっても誰も助けてはくれない、修正もしてくれない、ただ泣くだけである。残念!

 このために翌年の札幌コダーイ合唱祭に出かけたのだ。発音がそんなに駄目なのか、ハンガリーの審査員に聴いて貰うためである。その結果最優秀賞で、発音については一言も注意がなかったではないか。このことは別項「全国大会あれこれ」で述べたとおりである。

 このように手の届かないことで泣かなければいけないのがコンクールで、それが今も続いている。一番になるためには、誰がどの角度から聴いても一番になるような演奏をすることである。これが結論と言うことになるのではなかろうか。


(小倉尚継 論述集 終)


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