どんがらがっしゃぁぁぁぁぁぁぁんっ!!
 幸夜さんを呼ぶことに成功した俺たちは帰り際爆発に巻き込まれた。
 これで刑部省での今日の爆発は藤片さんのを含めて二回目となる。
 俺はすでにヤケになってどうにでもなれ状態になってたりする。
「今日はやたら爆発が多いな〜。」
 ガレキの中から平然として出てきた北都は正直な感想を述べた。
 っていうか、この爆発で傷一つないのが不思議でたまらないんだけど……。
 ん?殺気?
 そう思ったとき、爆発の中から黒い影が動いた。
「はぁっ!!」
「?!」
 いきなり黒の忍装束をまとい、顔を隠した刺客が俺に切りつけてきた。俺はとっさに後ろに飛び、日本刀を構えた。
「何者だ?!」
「北都=大邑寺!!覚悟!!」
「いっ?!」
 刺客は、北都ではなく、俺に攻撃を仕掛けてきた。
 だぁぁぁっ!!人違いしてるよ、こいつわ!!
 ぎぃぃぃん…っ!!
 剣と剣が交じり合い、鈍い音を立て、摩擦によって火花が散る。
「おのれ、北都!!よくも……!!」
「誰が、北都だ!!俺は東宮だ!!」
「しらじらしことを!!とぼけるな!!」
「とぼけてない!!向こうが北都だってば!!」
「何?!」
 俺の言葉に刺客は驚き、北都の方を見た。
 北都は北都で壁に背を寄りかかり軽く手を上げて――――
「ども」
 と軽く挨拶した。
 刺客は凝視し、俺と北都を見比べた。
「おのれ、北都!!人質を使うなど卑怯な!!」
 がくっ!!
 開き直っている刺客に俺たちはコケた。
「北都の知り合い?」
 剣を収めながら、俺は北都に尋ねた。
「さあ?忍装束の知り合いなんていないぞ。」
「忘れないとは言わせないぞ!!」
 刺客はそう言うと、顔を覆い隠していた布をはがし、そこから現れたのは、北都と同い年ぐらいの栗色の髪にくりっとした碧眼の少女だった。
 それを見た北都は、「あっ!」と思い出したように、彼女を指差した。
「ああっ!!どんぐり目玉!!」
 ずべしゃぁぁぁぁぁっ!!
 北都の一言に刺客はすっコケた。
「あたいは早百合だっ!!」
 むくりと起き上がり、叫ぶ刺客。
「ああ…。そういう名前だったねぇ……」
 と北都は至ってマイペースだった。
「しかし、なんでまたこんなところに?」
 北都が尋ねると、早百合は北都を指差しわなわなと全身を震わせて叫んだ。
「忘れたと言わさない!!今日が約束の日だぞ。」
『約束?』
 早百合の言葉に俺と北都は首をかしげた。
 ってなんで北都まで?
「約束ってなんかしたっけ?」
「くぅぅっ!!覚えていないのか、このボケ!!」
 思い出さない北都に早百合は地団駄を踏む。
「こうなったら教えてやる!!私が16になったら結婚するという約束だ!!」
『はぁっ?!』
 早百合の言葉に俺と北都は驚愕した。
「誰が?!いつ?!どこで?!」
 さすがにマイペースの北都も驚き慌てふためく。
「あれは三年前、おまえがあたいのファーストキスを奪ったときじゃ!!そのときから既に決まっていたのだ!!」
 驚く北都に早百合はふふんっと笑い答えた。
 なんか一方的だと思うのは俺だけだろうか?
「ってオイ!あれはおまえが一方的にやったことだろうが!!俺のほうがいい迷惑だ!」
「迷惑ではない!!運命だ!!」
 早百合はキッパリ言い切ると、北都に抱き頬を赤くしてこう言った。
「今日こそあたいの物になってもらうぞ。」
 それを聞いた北都は、顔が青ざめ、全身に鳥肌が立ち、いつパニックを起こしてもいい状態になっていた。
 早百合は早百合で右手で北都の胸元で「の」の字を書いている、なんとも不思議の光景だったりする…。
「ひ…洸琉…なんとかしてくれ…」
 と涙目で俺に懇願する北都。
 な…なんか…命のときと同じ状態になっているような気がする…。
「自分がまいた種なんだから自分で何とかしなよ。」
 と俺は冷ややかに返した。
「北都ぉ…。」
 と早百合は北都にべたべたと付き、頬擦りをしている。それをやられた北都はついに――――
「さわるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 ぼきゅるっ!!
 北都は早百合を殴ると、早百合は大きく弧を描いて倒れた。
「おおっ!!あんまり女に手を出さない北都が殴った!!」
 俺は思わず声に出してしまった。
 北都は肩で息をして、俺のほうに向き、早百合を指すと――
「俺はオカマが大っ嫌いなんだよ!!」
 は?
 俺は目が点となり、早百合の方に目をやると、俺はぎょっとした。
 なんと今まで女だと思っていた早百合が男だった!!
 その証拠に今までの早百合の栗色の髪はかつらで、地毛は紫色の五分ガリ頭、化粧も剥げ落ち、今までの女らしさがなくなり男っぽくなっている。
「あ……かつらが……」
 早百合は桂や化粧がが取れていることに気づき、慌ててかつらをつけ、化粧もあっという間にして元の女っぽい早百合になった。
 北都が嫌がった気持ちがよーくわかった。
「とにかく、約束は約束だ!!明日に婚儀を挙げるぞ!!!」
『あげんでいいわ!!』
 俺と北都は思わず叫び、大慌てで早百合の魔の手から逃げていった。
 北都って……ある意味、女運なさすぎだなぁ〜……。

 

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