|
JAZMIN / ARI AMBROSE
ARI AMBROSE-ts
MICHAEL LEONHART-tp
JOE MARTIN-b
RICK MONTLBANO-ds
March 2001
STEEPLECHASE
.JAZMIN
2.WHEN YOUR LOVER HAS GONE
3.ILA
4.ALONG CAME BETTY
5.DOLLAR SHOT
6.BAUBLES,BANGLES AND BEADS
7.WHO KNOWS
|
|
ARI AMBROSE / UNITED |
|
ARI AMBROSE / EARY SONG |
|
WAITING/ARI AMBROSE |
|
円山に戻って最近出来たのであろう木道から少し離れた山道を父の手を握ってほんの少し歩いたりもした。
子どもの時の記憶にある父の手の握力はなかったのだが、逆に僕が父の手を握って連れているという感慨を思いがけず感じていた。
思いがけず親子の体温を感じあう事が出来たのは、「老い」のお陰なんだなと思った。
--------------------------------------
そんなことを書くつもりではなく、久しぶりの郷里札幌でのジャズ的一日いや半日か、のこともあったのだが次にとっておこう。
アリ・アンブローズのことは今まで2回ほど書いた。ネットを通して知ったSTEEPLECHASEの若手のテナーである。
先回エリック・アレクサンダーのVENUS盤に愚痴を書いたが、彼のテナーがクリーニングから戻ったばかりのYシャツに喩えれば、アンブローズのテナーは、よれよれの洗いざらしか、敢えて皺を寄せて着るYシャツの感覚だと思っている。
真っ直ぐなことが嫌いなんじゃなくて、ハーレム的酔いどれテナーの血脈をひいているひとりだなと思う。
ホーキンスとかジーン・アモンズとかアイク・ケベックとかその類だが、トニ・ソラというテナーマンを知っていたら、彼と異母兄弟みたいなと言ったら早いだろう。
しかしやっぱりエリック・アレクサンダーの好青年サラリーマン的真っ直ぐさが嫌いで、ヨレヨレコートを着た刑事コロンボが格好いいと思う感覚だからとやかく言われても仕様がない。
彼の今まで聴いてきたものは、ピアノレスだったが今回もそうである。
今回のはホーンにマイケル・レオンハートが加わっている違いはあるものの基本的にこれまでと同じ吹き荒ぶテナーを体感できる。
サックストリオに共通する無骨な音ががっぷり組んだり、相手を意識し合いながら離れて乱れ打つというような格闘技的なワザをぶつけ合うのを曲ごとに堪能する愉しみである。
楽器は時として武器と化しているようで、しかし本当のところは素手の温もりが伝わる。
アルバム中一番の長尺なベニー・ゴルソンのALONG CAME BETTYで言うと、最初のテーマは静かに相手の出方をみている感じだが、各ソロに入ると出方次第で音にどう重なっていくか探りあっている。アンブローズのよれたテナーのフレーズにレオンハートはテーマのメロディを挿入させてくる。
聞こえようではてんでばらばらにも思えて実は、絶妙にこの曲の随を引き出してカバーつつやはり存分に個性を発揮しあっている。
無頼的だが実のところナイーブな演奏だとも言える。
話は飛ぶが、高田渡が最近亡くなった。「自衛隊に入ろう」を歌った高田渡だ。
彼のラストライブは、僕の住んでいる町の会館であった。風邪の菌が脳にまわって朦朧とした最期だったらしい。一時間かそこらの舞台で何曲歌えたか知らぬが、つき合いで聴きに行った家内は呆れて帰ってきた翌日あたりに訃報を知った。
一曲歌うとポケットからハンカチを出して鼻をかむ。譜面をみようと眼鏡を出す。それらの所作が実に緩慢で危うかったそうだ。
しかし一旦歌い出すと矍鑠と歌う。
時々時計をみて、時間が思ったより進まないので、もう一曲歌って埋めるという按配だったそうだ。
何年か前にテレビに出てトークをしてたが、本番前に一杯煽って出てきたと自分で言っていたから、相当なアル中だ。
しかし印象は無頼でいながらナイーブ。
そういう姿は痛々しくも愛らしい。
話を戻すとこのアンブローズのアルバム7曲中オリジナルはたった2曲だけなのだが、全体の印象はオリジナルオンリーだったような錯覚を覚える。
サックストリオと言えばソニー・ロリンズの諸作を思い浮かべるが、原曲はどこかに吹っ飛んでしまったかに思えて、寧ろストレートに原曲を扱うより曲の本筋を表現し得ている。
それと同じことをこの若手はやってのけている。
|
|
|