バティスタへの誘(いざな)い
 
 
ジャズサイトを新しく始める人をいくつか知った。最近ジャズにはまってという一方、リアルタイムでモダン・ジャズを体験した往年のジャズ・ファンもである。
 どちらも真摯な気持ちでインターネットと言う世界に自分の思いを披瀝している。
 インターネットこそは、今世紀のキーワードを握っていることに間違いはない。
 お隣中国の反日運動の火付け役はインターネットだった。日本より遙かに情報メディアとして中心的役割を持っているそうだ。
 

PARKER'S MOOD / STEFANO DI BATTISTA


STEFANO DI BATTISTA -as,ss
KENNY BARRON-p
ROSARIO BONACORSO-b
HERLIN RILEY-ds
FLAVIO BOLTRO-tp*1,3,5,8April 10-12 2004
BLUE NOTE

1.SALT PEANUTS
2.EMBRACEABLE YOU
3.NIGHT IN TUNISIA
4.PARKER'S MOOD
5.CONFIRMATION
6.DONNA LEE
7.LAURA
8.HOT HOUSE
9.CONGO BLUES
10.ROUND MIDNIGHT
11.LOVE FOR SALE
12 APRIL IN PARIS

5 birds and a monk

一方、下火もほのめく「韓流」であるが、同じくアジア圏の一国。
 ドラマ・映画とブームは一時的?なのか、新しいうねりの端緒なのか。
 松岡正剛はそこのところを只のブームとはみていない。
 互いの言語を交流し、旧来のイメージを払拭して現在進行形の互いの姿を披瀝し合う時代が来ると。
 靖国神社参拝、アジア支配の過去に対する認識の「誤解」をクリアーにする接点は、政略の世界ではなく意外にもメディアの世界だと。

 僕の読み違えもあろうかと思うが、そんなメディアで僕らは自己を晒していると思うと、ちょっとギョっとなる。

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ジャズファンの気持ちは一定ではない。いや、世間一般を巻き添えにするのはよそう。
 聴くアルバムごとに気分が変わる。いや、一曲ごとに変わってしまうというべきだろう。
 チャーリー・パーカーに因む曲を扱ったこのアルバム。パーカー一色のラインアップだとは言え、頭から順に聴いていくと目まぐるしく変わる雰囲気。
 ビ・バップの典型的な曲からスタンダードなバラード、かと思えばハードバップ色からブルースへ、疾走感に圧倒されたかと思えば粘り着くようなスローバラード・・・。
 
 何年こういうのを聴いていても一括りできないバリエーションに数分ごとに気分を変えられてしまうマジックにかかる。
 特に最近の新人のを聴くとあれもこれもとスタイルを変えて演奏してしまう。そこらが50年代60年代のジャズの流れが流動的であった時代のものとは比較にならない。いったいこいつの個性って?と戸惑うことしきりである。
 一音聴いただけで、ああ、あいつか・・・とわかるようになればミュージシャンもいっぱしだと言われるが、聴く側にしてみれば誰だかわかったことで腰を据えて耳を傾けれるわけで、年を取れば尚更保守的になるから有り難いわけである。
 そういう言い方も世間一般を巻き添えにした言い方か・・・。

 今回のこのアルティスト、ステファノ・ディ・バティスタは、僕にとっては初めてなのだが、ピアノが贔屓のケニー・バロンであるので聴いてみたいと思ったわけだ。
 バロンもあっちこっちと引っ張りだこのピアニストで、彼を全て追っかけていては身が持たない。
 ともかくバロンがいるということで興味があるものとなった。

 バティスタは、イタリア出身で僕の今まで聴いてきたミュージシャンでは、アントニオ・ファラオ、エンリコ・ラヴァ、アルド・ロマーノと言ったヨーロピアンジャズミュージシャンのなかでもまれて育ったようで、これまでの吹き込みでハードバップ、オリジナル中心のもの、そしてジョン・コルトレーンに因むもの、更にはオーケストラをバックにロマンチック・ムードなものをやってきたらしい。
 エルヴィン・ジョーンズのジャズ・マシーンにも参加していたとは、少々驚きである。
 で、今回がパーカーがテーマ。パーカー所縁とかパーカー・トリビュートとかは数多あって、僕が持っているものでも5 BIRD ANDO A MONKとか渡辺貞夫のPARKER'S MOODという同名のアルバムもあるが、とにかくテーマがテーマだけにどういう距離感で扱うのかという興味も自然と湧くのだ。

 バティスタの場合は、パーカーの影を慕いてとか、パーカー・フリークとかべったりパーカーというようにパーカーを「神様」扱いはしていないことだけは言えよう。
 タイトルがそこら辺を物語っている。
 PARKER'S MOOD=パーカーのムード・・・。微妙だ。

 最初に触れたようにムードが目まぐるしく変わる。パーカーも色々やったということだ。馬鹿騒ぎのようなSALT PEANUTSというバップ。パーカーはこれを盟友ディジー・ガレスピーとやっている。
 これは先回のマイルスのアルバムでは馬鹿騒ぎとはならずマイルスらしい処理のされ方をしているが、大抵原曲通りの茶目っ気のあるものとなっている。これは、このアルバムの中では、ほんの触り。プロローグといっていいだろう。
 でも、もうここで彼及びバロン等の猛スピードの演奏で聴く者を暗示にかけてしまっている。
 続くバラードEMBRECEABLE YOUでは、暗示にかかった頭を撫でるようにムーディなバラードで酔わせてくる。最早パーカー云々ではなくてバティスタの懐に「おいでおいで」されているわけである。冷えた頭では、うーん、ソニー・クリスとかルー・ドナルドソンのように粘るアルトだな・・・等と思いつつ、まあ、そんなことはどうだっていいや。バロンも海千山千をこなしたいつものピアノを聴かせてくれるなと有無を言わずポケットに入り込んでトローンとするわけである。
 
 続くNIGHT IN TUNISIAがちょっと聴きもの。最近取り上げたジャッキー・マクリーン入りのアート・ブレイキーとJMのアルバムには遠く及ばないが、結構パーカッシブな鳴り物入りでわくわくするよな演奏である。

 後は、目が眩むような急速調で吹くDONA LEEなど聴き所を持っている。

 僕にとってはバロンが入り口でバティスタへの誘(いざな)い・・・というところか。
 

 

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