おしゃべり写真館    

■おしゃべり写真館 ■ −第12話−

しまりす 山に登る

 

写真・文    しまりす

ある日のこと、りすはふと思い立って山へ向かった。  以前から一目みたいと思っていたハクサンコザクラという花を撮影するためである。  登山口は快晴。夏の日差しがまぶしい。  往復10キロの比較的楽なコース。それでも一応2000メートル級の山である。

 肩にカメラバック、左肩に三脚、背中にリュックとまじめな装備で元気にかけだしたのもつかの間、30分も登ると汗が出てくる。
 用意しておいた缶の麦茶をあけて、一口飲んだ。
全部飲むとかえってつかれるので、左手に持って少しずつ飲みながら進むことにした。
 1時間ほど昇ったころから、雲行きがあやしくなってきて、あっというまに土砂降り。

んにちはー!」

出会う小学生の子達はレインコートに身を固め、完全防備である。
 
 なぜか傘しか持っていなかったりすは、右手に傘、左手に麦茶、右肩にカメラバック、左肩に三脚と、完全に山をなめた格好。心身ともにボロボロの中、やっとの思いで山頂に着く。

はやんでいるがまだ晴れない。 山小屋を過ぎると、咲いている!可憐なピンクの花が。 撮影するが天気も悪く、思うように撮れない。 「5分でいいから晴れてくれ!」そう思いながら待つ。 結局、晴れ間が出た約10分の間に何とかシャッターを切って、目的を達したしまりすは、満足して元来た道をひきかえすのであった。往復数時間、撮影時間数分の小さなできごとである。

 


 

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