不愉快な呼称 (06.5.3)


やたら耳にする不愉快な表現、不本意ながらときには使わざるをえない流行語がたくさんあります。ひとつは「団塊世代」という、マスコミが流すベビーブーマーの呼称。人にたいして「団塊」もないでしょうが、その無礼さが受けるところが、マスコミ用語たる所以でしょうか。

厳密な意味でのそのベビーブーマー世代に限りませんが、50代のライダーの比重が大きくなっているのも事実です。以前二輪車ユーザーの年齢分布を紹介しましたが、あれからライダーの「高齢化」もさらにすすんでいることでしょう。

それに応じて、年配者ライダー向けのバイク雑誌も発刊されたり、中高年ライダー向けの記事も目立つようになりました。とくに中高年層が大型バイクメーカーにとっては魅力的な市場でありことが、その背景のひとつでもあるのでしょう。バイクに限りませんが、いままで中高年というと仕事以外に能がないような印象をかってに植え付けられていたので、いま中高年が人生の楽しみを広げているのが、遅ればせながら一時的に目立っているだけだと思います。

ただ、そんな中高年向けのバイク雑誌の記事で、気になる共通項があります。それは、申し合わせたように、安易に「おやじ」という呼称を使っていることです。やれ、「おやじライダー」だの、「おやじに似合うバイク」だの、なんだか年がいもなく無理をしている様子がマンガのコマのように連想されます。

他人を「おやじ」呼ばわりするのはもちろんのこと、自嘲か卑下のつもりでも自分のことを「おやじライダー」と呼ぶような、流行らせ語への迎合はいかがなものか。

じゃあ、どう呼べと言うんだ、と突っ込まれそうですが、私は個人的にはそんなレッテル貼りは無用というのが持論です。気負いもなくバイクにまたがり、年齢を意識した気張りもなく、それでいて、年齢相応の体力と運動神経を自覚して安全には人一倍こだわる。そんなさりげなさがオトナのバイクライフ。

それと、バイクに乗るということは、日本の外ではステータスのように思われることがあります。高価なバイクを所有している、という意味ではありません。若いときはいざ知らす、大人になっても、モーターサイクル、とくに大型のハイパワーのバイクを乗りこなせているということは、その人のライディングテクニックばかりでなく自己コントロールができているという意味にとられて、尊敬の目で見られるようです。だから、なにがあっても大型ライダーは決して事故を起こしてはいけない。起こさないように危険を予知予防することもライディングテクニックの一部。さらにバイクに乗ることは、そのつもりはなくても、周囲の人にライディングマナーを見せつけていることになっています。後に続く世代のためにも、そんなことを意識して乗り続けることが、もうひとつのオトナのバイクライフ。



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