You are my
reason to be… 2
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「この一番デカイのが竹御克征(たけみ かつゆき)」
デ…カっ
初めに飛鳥(とびと)に紹介されたのは、椎名程ではないものの、ほとんど変わらない位の身長の大男だった。細身の椎名と違い、ガッシリとしたその体格は、デカイの一言に尽きる。
「き…、君もバスケ部?」
「いえ、俺は空手部です」
なるほど。
「で、こっちの一番ちっさいのが友成卓翔(ともなり たくと)で」
ほんとに小さいな、可愛い。…あれ?
「なんか、彼…、どこかで見たことあるような……」
出流(いづる)が首を傾げて呟くと、卓翔は嬉しそうに笑った。
「はい!俺、野巌(のいわ)中で、西原先輩の後輩なんですっ」
「へえ……、そっか」
後輩……。
出流は、今まで後輩を可愛がった事など一度もなかったのだが、慶介への対抗心などもあり、「よしよし」と卓翔の頭を撫ぜてやった。
「それから……」
飛鳥がゴホンと咳払いをし、黒髪の線の細い少年を片腕に引き寄せて続けた。
「これが俺のスイートハニー 浅倉悦司(あさくら えつし)」
「「「は?」」」
出流と椎名、そして何故か、飛鳥に抱き寄せられた少年の声が見事にハモった。
てゆーか……、
女タラシ≠カゃなかったっけ……?
目の前では飛鳥が「誰がハニーだっ」と、悦司にむこうズネを蹴り上げられている。
男子校に入った途端、宗旨変えかよっ!
「長生きするな……、彼」
呆れ顔で呟いた出流に、椎名は「あそこまで節操なしだとは思わなかった……」
と、うなだれた。
一方の飛鳥は、ハニー≠ノ蹴られながらも、嬉しそうに顔をニヤけさせている。
(悦司君…、どうやら逆効果だ。奴はMのようだぞっ)
出流は女タラシ≠カゃなくて人間タラシ≠セな。と、中津川飛鳥の情報を脳内で書き換えた。
「え?」
「ん?だから、土曜日に後輩とちょっと出掛けて来る…って」
後輩……。
「昨日、屋上で会っただろ?七瀬と」
やっぱり……。
今週の土曜日は、珍しく慶介の部活が休みだと聞いていた。久しぶりに二人でゆっくり過ごせると思っていたのに……。
「ふぅん……」
素っ気無い返事を返す出流に、慶介が困ったように続けた。
「買い物に付き合ってほしいって頼まれたんだ。部で使う物とか…、結構な量になりそうだから」
マネージャーは、彼一人ではない筈だ。たとえ他のマネージャーが先輩ばかりで頼みづらかったとしても、一年生部員の中に知り合いは居るだろう。
……なぜ慶介なのか。
「あっそ、勝手にすれば?俺はもう寝る」
バフッと、背中を向けて布団に潜った出流に、慶介は一応
「……ああ、おやすみ」
と声を掛けた。
待ちに待った念願の二人部屋だというのに、この気まずさは何だろう。やり切れなさに涙が出そうになるが、ここで泣いては慶介に気付かれてしまう。
たかが後輩と買い物に出掛けると言っただけで泣かれては、慶介に面倒くさい奴だと思われてしまいそうで、グッと唇を噛んでこらえた。