ヘリオブルーレディッシュ
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疲れた。とにかく憂鬱だ…。 ぶっちょうづら 共一は、朝の廊下を教室に向けて歩いていた。…仏頂面を引っさげて。 本当なら、今日は学校になど来るような気分ではない。何てったって、昨日から機嫌は最悪 けびょう だ。仮病でも使ってサボりたい所だが、そこは寮生の悲しい事情…。余程うまくやらないと、 仮病はバレる。 (何で寮になんて入っちまったんだろうな……) 遠い目でそんな事を考えてみるが、理由は至極単純で、寮に入った方が安上がりだったから だ。これはしょうがない。 ハアッ 大げさに溜息をついて教室まであと一歩という角を曲がると、共一のクラス前で大柄なオカマ が仁王立ちしていた。 そ 猛烈な脱力感と共に再び大きく溜息がもれる。もう、足を動かす気力も根こそぎ殺がれてしま った。 もう歩きたくない。何も考えたくない。つーか、帰りたい。 「ちょっと、朝っぱらから何 疲れきってんのよ」 うなだ 共一が廊下の壁にもたれ掛かりながらグッタリと項垂れていると、いつの間にか目の前まで 来ていた蘭丸に、呆れたように声をかけられた。 ああ、やっぱり俺に用事なんだな…。まあ、そりゃそうか。 「何の用だ……」 共一がゆっくりと顔を上げ、不機嫌丸出しの顔を見せると、蘭丸は挑戦的な目でフンッと鼻を 鳴らした。 「話があんのよ。ここじゃ何だから、場所変えましょ」 「……わかった」 共一の返事を聞いて歩き出した蘭丸の後を、共一は重い足と感情を引きずりながら歩きだし た。 「あれ。どうしたの?二人で」 共一と蘭丸が連れ立って歩いていると、横からのん気な声がかかった。 それは蘭丸も聞き覚えのある声で…。 「遙……」 共一の口から怒りのこもった声がもれる。 (清水遙……!) 今回の騒動の元凶だ。 蘭丸は勢いよく体を反転させ、ギロリと遙をにらみ付けた。 |