ヘリオブルーレディッシュ

20






 生一は、二段ベッドの上段で、ぼんやりと天井を見上げていた。

 今朝は、朝の早い時間に蘭丸に送られて、こっそり寮に帰ってきた。そして、蘭丸の勧めも

あり、体調不良を理由に学校を休んだのだ。

 実際、昨日は上着も羽織らず靴下で長時間外を歩き回っていた上に、夜遅くまで蘭丸と
                           すぐ
話し込んでいた事もあり、顔色も悪く、体調が優れなかった。



はあ……

 重い溜息をつき、布団を両手で鼻の上まで引き上げた。

 一人になると、どうしても共一の事ばかり考えてしまう。



 もう潮時なのだろうか。やはり、共一への思いは忘れた方が良いのだろうか…。

 しかし、例え本当に共一へ対する思いが、遙が言うように、執着心の成れの果てなのだと

しても、誰よりも共一の事が好きだという気持ちは本物なのだ。そう簡単に、なかった事には

できない。

 それでも…、いつまでもこのままではいられない。共一が自分を見てくれない以上、いつかは

この思いに終止符をうたなければならない…。

 今がその時なのだろうか……。

(ああ、ダメだ。泣きそう……)



コンコンコンコンッ!
           にじ
 生一が目に涙を滲ませた瞬間、突然 性急なノックの音が響いた。

「はっ、はい!」

 慌てて返事を返すと、カチャリとドアノブが回る。

 今の時間、寮生はみんな学校に行っているはずなので、管理人が様子を見に来たのだろう

か…。



「生一……」

「っ…!」

 しかし、生一の予想を裏切り、ドアを開けて顔を覗かせたのは、今まさに悩みの種として

思い浮かべていた、共一その人だった。




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