ヘリオブルーレディッシュ

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    せ い
「俺の所為か……」

 再び居心地の悪い沈黙が流れた後、共一の口から、呟くようにポツリと言葉がもれた。

「え……」

「体調悪いの、俺の所為か…?」

「なっ、なんで!?違うよっ」

 予想もしていなかった共一の言葉に、慌てて首を振る。

「だってお前、昔から何か嫌な事があると、熱出したりゲロ吐いたりしてただろ」

「っ…、ゲ…ゲロって……っっ

 確かにそんな事もあったな…。と思い出し、反論する事もできず、生一の頬がピンク色に

染まった。



フゥッ

 共一が、何かを振り切るように、勢いよく肺にためた空気を吐き出した。

「とりあえず聞け」

 その言葉に、生一は無言で頷く。

「お前は大きな誤解をしている」

「誤解…?」

 共一は大きく頷くと、話を続けた。

「まず、俺と遙は恋人なんかじゃない」

「えっ…?」

 テーブルの角を見つめていた生一は、驚いて共一を見上げた。

「なにかオカシな噂を聞いたらしいが、そんな事は絶対に有り得ない話だっ。俺は間違っても

あいつにだけは惚れない!」

 どうやら、嘘を言っている訳ではなさそうな共一の剣幕に圧され、生一はうん、うん、と無言で

二回頷いた。

「それから…。これはお前も、もう気が付いてると思うが…、遙は見かけ通りの優しい人間じゃ

ない。………俺は、お前にはあの手の人間を近付けたくない。『遙に近付くな』と言ったのは

そういう意味だ。他意はない」

「キョウ………」

 それは、生一の事を思って…、という風に受け取っていいのだろうか…。

「あいつの事だから、この先もおもしろがってちょっかいを出してくるだろうが、俺や久堂が

いない所では、遙と関わるな。いいか?」

「うん……」

 生一の目に、熱いものが込み上げる。

 嫌われてはいなかった…。それどころか、こんなにも生一の事を考え、心配してくれるなん

て……。



「それと……」
         うる
 共一は、瞳を潤ませている生一を、チラリと横目で流し見た。




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