「ど・う・い・う・こ・と・か・な?しぃ〜な」 「あ〜〜…っと、ゴメン」 「ゴメンじゃなくて、ちゃんと説明しろっての」 いづる 翌日の放課後、出流は校舎の屋上で早速椎名を問い詰めていた。 あお 「なんと言うか…、ついついもどかしくて煽りたくなってしまいました」 予想以上に出流が乗ってきてしまった為に、本当の事を言うタイミ ングを逃してしまっ た、と頭を下げた。 「俺にとって慶介は本当に大切な友人で、幸せになってほしくて…。 でも今思うと、余計なお世話だったと思ってる。悪かった」 「1つ確認なんだけど、椎名の慶介に対する好きは、恋愛感情じゃないんだよな?」 「完全なる友情デス」 ふう、と溜め息が出た。 「ごめん」 「いや、そうじゃなくて。…なら良いやって感じ。安心した」 心底気の抜けた顔で呟く出流に、椎名はついつい頬が緩んでしまう。 「出流ちゃんてば、ホントに慶介が好きなんだね」 しみじみと言われ、気恥ずかしさに出流の顔が紅潮する。 「なっ、なんだよ!椎名こそっ」 「うん。俺にとっては慶介は特別だから」 椎名は顎を上げると、眩しそうに目を細めた。 「俺の顔見れば想像つくと思うけど、俺純粋な日本人じゃないんだよね」 「…うん、なんとなくそうかなって思ってた」 「で、椎名の家のモンは、俺以外みんな日本人」 「…それって…?」 おやじ 「俺の母親はスペイン人で、親父の愛人だったんだ。俺も3歳までは母親と一緒に暮らして た。それが、椎名の正妻になかなか子供ができなくて俺が連れて来られた…って訳。まあ それも、その2年後に正妻から弟が生まれて、俺はお役御免なんだけどね」 驚くべき話だった。確かに椎名には、時折妙に悟りきったような発言をする所があり、 家の話にもタブー感を感じてはいたが…。 「当然そんな面白い話は周りにすぐ広がるもんで、俺はどこでも孤立していたわけよ。 ところが、小学校で出会ったあのボーっとした男は、俺にも他と同じように普通に接してきて さ。中学でちょっと仲良くなった頃、その事知らないのかと思ってそれとなく話してみたら 『それ、本当の話だったんだな』って言ったんだよ?」 なんか気にしてる自分がアホらしくなっちゃったよ、と当時を思い出すように懐かしそうに 笑った。 「慶介らしい」 「でしょ?」 クスクスと二人で笑いあう。 椎名が出流を優しく見つめた。 「俺、出流ちゃんの事も大好きだよ」 「俺も、椎名好き」 「おやおや、そういう告白は周りに人が居ない事を確認してからにした方が良いんじゃない のかな?」 「「!!」」 二人が驚いて振り返ると、后が笑顔で腕組みをして立っていた。 ((いつから!?)) |
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