ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その１０９

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

七

ⅵ

「お義姉さん、せっかく来ていただいたのに

私ばっかり話してしまってすみません」

　事のあらましを話すつもりが

いつの間にか麻里に対する愚痴になってしまった。

義姉が暇を告げなければ気づかなかったかもしれない。

律子は外へ出た直実を見送りながら、頭を下げた。

「いいのよ。律ちゃんの話面白かったし」

　また聞かせてね、と朗らかに笑う義姉に律子は安堵し笑顔で頷く。

「はい。あ、そうだ。お義姉さん、

柚祈にある蜂万（はちまん）神社って知ってますか？」

　家に帰る前に調べたことによると、

昔、峰音寺の境内の一部に蜂万社があり、

雪姫の命で柚祈の蜂万神社へ移動したと書かれてあった。

義姉に話をする前までは自分１人で調べようと思っていたのだが、

もう隠す必要はないだろう。

ただでさえ柚祈という場所は獣人たちが住んでいる地区のため

自分たち人間がおしそれと入ることはできない。

これからそこへ種を植えに行かなければならないのだったら、

獣人の夫を持つ直実の力を借りたほうが得策だろう。

「さっきの話の続きなんですけど、

この種をそこで植えると何か生えてくるらしいんですよ」

　律子は脳内でこれからのことを計算しながら、

こちらを見つめる義姉へ麻里から押しつけられたら種を見せた。

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