Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
七
G
「そ、そうじゃないって!
だから、えっと、こう動悸がするっていうか!」
「動悸! 動悸がするほどの顔ってどんなよ……」
そこまで醜悪な顔をしているのだろうか。
(そういえば、私と目が合ったことがある人ってみんな
引きつった笑みを浮かべながら視線を逸らしてた気がする!)
それはつまり、
見るに耐えない顔をしているということなのだろう。
これまで出会ってきた人たちはきっと、
次期当主である自分に対し嫌な顔はできないが故の
あの顔だったのかもしれない。
(だから麻里先生はいつも気の毒そうな顔をしてたのね……)
気がつくとこちらを見ている
頼りない現国の教師のことが脳裏を過ぎり、
みのりは頭を抱えたくなった。
「涼介、見る目ない。お嬢さま、綺麗、可愛い、いい匂い」
「だから困るんじゃないか!」
「ふふふ。若いってすばらしいマロー」
「か、からかわないでくださいよ!」
打ちひしがれているこちらをよそに、紅と雪姫が話に加わる。
涼介が何やら喚いているようだったが、
みのりはそれどころではなかった。
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