Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




G




「そ、そうじゃないって!

だから、えっと、こう動悸がするっていうか!」

「動悸! 動悸がするほどの顔ってどんなよ……」


 そこまで醜悪な顔をしているのだろうか。


(そういえば、私と目が合ったことがある人ってみんな

引きつった笑みを浮かべながら視線を逸らしてた気がする!)


 それはつまり、

見るに耐えない顔をしているということなのだろう。

これまで出会ってきた人たちはきっと、

次期当主である自分に対し嫌な顔はできないが故の

あの顔だったのかもしれない。


(だから麻里先生はいつも気の毒そうな顔をしてたのね……)


 気がつくとこちらを見ている

頼りない現国の教師のことが脳裏を過ぎり、

みのりは頭を抱えたくなった。


「涼介、見る目ない。お嬢さま、綺麗、可愛い、いい匂い」

「だから困るんじゃないか!」

「ふふふ。若いってすばらしいマロー」

「か、からかわないでくださいよ!」


 打ちひしがれているこちらをよそに、紅と雪姫が話に加わる。

涼介が何やら喚いているようだったが、

みのりはそれどころではなかった。










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