Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
七
H
(これからどうやって外に出ればいいのよ!)
マスクとかをしたほうがいいのだろうか。
それとも顔が見えないくらい前髪を伸ばすべきか。
どうすれば顔を晒さずに生きていけるかと、
みのりが真剣に模索していると、
頭上から呆れを含んだ碧の声が降ってきた。
「お嬢様と涼介君の微妙にすれ違っている話を聞いてるのも
楽しいのですが、そろそろ本題について話し合いませんか?」
「そうですよね! そうしましょう!」
「本題?」
ノロノロと顔をあげ碧の顔を見上げると、
ええ、本題です。と口元だけが笑っている側近の黒色の瞳と
目が合った。
眼鏡の奥から見据えてくる碧の真剣な眼差しにハッとする。
「って、そうよ。忘れてたわ」
自分にはやらなければいけないことがあるのだ。
黄金梅を咲かせ、黄金梅という存在を無くすという大切な目的が。
顔の美醜など些細なこと。すべて終わってから考えればいい。
(それに人間容姿がすべてじゃないわ。
顔が良くたって性格が悪いやつなんてたくさんいるんだから)
みのりはその代表格でもある碧の顔をちらりと見ると、
碧が、思い出したようですね。と言わんばかりに
眼鏡の位置を直しながらこちらを見返してきた。
(自分の未来のためにもなんとしてでも成功させなくっちゃ)
優先すべきは本家に見つかる前に黄金梅を咲かせることだ。
そのためになら利用できるものはなんだって利用していこう。
それが例え嫌な相手だったとしても。
「その前に、涼介。あんたの協力者って誰よ?」
みのりは、気を引き締め直し涼介へ視線を向けた。
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