Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




H




(これからどうやって外に出ればいいのよ!)


 マスクとかをしたほうがいいのだろうか。

それとも顔が見えないくらい前髪を伸ばすべきか。

どうすれば顔を晒さずに生きていけるかと、

みのりが真剣に模索していると、

頭上から呆れを含んだ碧の声が降ってきた。


「お嬢様と涼介君の微妙にすれ違っている話を聞いてるのも

楽しいのですが、そろそろ本題について話し合いませんか?」

「そうですよね! そうしましょう!」

「本題?」


 ノロノロと顔をあげ碧の顔を見上げると、

ええ、本題です。と口元だけが笑っている側近の黒色の瞳と

目が合った。

眼鏡の奥から見据えてくる碧の真剣な眼差しにハッとする。


「って、そうよ。忘れてたわ」


 自分にはやらなければいけないことがあるのだ。

黄金梅を咲かせ、黄金梅という存在を無くすという大切な目的が。

顔の美醜など些細なこと。すべて終わってから考えればいい。


(それに人間容姿がすべてじゃないわ。

顔が良くたって性格が悪いやつなんてたくさんいるんだから)


 みのりはその代表格でもある碧の顔をちらりと見ると、

碧が、思い出したようですね。と言わんばかりに

眼鏡の位置を直しながらこちらを見返してきた。


(自分の未来のためにもなんとしてでも成功させなくっちゃ)


 優先すべきは本家に見つかる前に黄金梅を咲かせることだ。

そのためになら利用できるものはなんだって利用していこう。

それが例え嫌な相手だったとしても。


「その前に、涼介。あんたの協力者って誰よ?」


 みのりは、気を引き締め直し涼介へ視線を向けた。










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