Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
二
IC
「なにがなんだかさっぱりわからないんですが……」
素直に疑問を口にすると、
横にいたみのりがいらついたように答えてくる。
「だから追手がきてるのよ」
意味不明だ。だいたいいくら次期当主とはいえ、
たかが数日家出したくらいで追手に追われるなんて聞いた試しがない。
涼介はみのりの顔を覗きこみ再度尋ねた。
「だから、追手って、君いったい何をしたんだい?」
ひたと顔を見据えて問うと、みのりの顔が明らかにこわばった。
「え? あ、いや、だから、その……訓練。そう! 訓練中なのよ私たち」
大げさなジェスチャーとともに苦しい言い訳をしてくる。
(嘘つくのが下手な子だなあ)
ポーカーフェイスが苦手な子でもなかったはずだが。
会合のたびに無表情のまま前列へ座している姿を思いだし、
内心で首をかしげる。
(結構表情ある子だったんだ)
慌てているみのりはずいぶんと年相応に見え、
ふといたずら心をくすぐられた。
「へえ、本家って思った以上に暇なんだね」
意地悪く尋ねると、みのりが大きく頷いてくる。
「ほ、本当よね……あは、あはははは」
「ふうん……」
ごまかし笑いをしてくるみのりを半眼で眺めてやると、
面白いくらいに瞬きを繰り返してきた。
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